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新L型経済 コロナ後の日本を立て直す|冨山 和彦 , 田原 総一朗|地域経済の復活なしに日本再生はありえない!

現代日本で、もしGAFAのようなグローバル企業が誕生したとしても、そこから雇用は生まれない。エッセンシャルワーカーが本当に稼げる豊かな社会を目指し、数々の企業再生を果たしてきた著者がその道筋を田原総一朗と語る。

ソニーがアップルになれなかった理由

田原  僕はソニーの取材をしていたこともあったけど、ソニーは 井深大、 盛田昭夫、それにソニー初の新卒社長になった 出 井 伸 之 と名物社長がいた。僕は、出井時代のソニーをおもしろい会社だと思った。彼はインターネットの可能性をよく知っていた。

ウォークマンであれだけ時代をリードしたのに、その後、アップル製品に負けた。ソニーはアップルにはなれなかったのか。ここは日本型経営を考える上で、大きな問題だと思う。デジタル革命だというならスタンフォードを出たシリコンバレーの優秀な人材をもっと呼ぶべきだと思う。

冨山  海外の優秀な人材を採用するには、当然今の日本人社員とは全然違うレベルの待遇をしなければなりません。評価体系、評価基準も大きく変えざるを得ない。ただ、そうすると、現状の日本型の雇用体系では、終身雇用で働いている人の仕事を奪ってしまい、多くの社員のモチベーションを下げてしまうんです。たとえばソニーでは東大、慶應、早稲田といった日本の理工系トップを出たエンジニアはたくさんいます。彼らも優秀であるがゆえ、プライドは高いですから、そこに日本の会社の内部事情をあまり知らない外国の、それもソフトウェア系の若造がやってきても、なかなか受け入れることができない。今でも抵抗があるでしょうし、十年以上前であればなおさらです。

田原  日本は年功序列でこうしたエリート人材が日本にやってきても、せいぜい年収一〇〇〇万から。中国やヨーロッパだったら二〇〇〇万、三〇〇〇万からが普通で、日本で働くメリットはないという。

冨山  そうです。それが普通です。そのため、日本型企業の論理と彼らは合わないんですよ。

田原  いまの世界的企業と日本の大企業の差は人材だけなんだろうか。

冨山 もちろんそれだけが原因ではありません。アップルが復活するのは一九九〇年代に入ってからですが、その時期はちょうど出井体制と重なっています。田原さんの指摘の通り、出井さんはインターネットの可能性は知っていました。しかし、これも日本型経営の特徴ですが、トップの力は弱い。社長やCEOの決断だけではうまくリードできず、やたら人数が多い取締役会の根回しを大事にしないといけない時代が長く続きました。ソニー全体はまだまだ移行期で古くて大きい日本の製造業の構造を引きずったままだったからです。

田原 アップルのスティーブ・ジョブズは、あまりにも経営者としてうまくいかないから一回、アップルをクビになるんだけど、ちょうど復活して、新しいパソコンや音楽プレイヤー(iPod)をやろうとした。

冨山 ちょうど私がスタンフォードに留学していた一九九〇年初頭、彼は事実上の失業状態だったんです。アップルのあとに作ったピクサーとかも当時はうまくいっていなくて、彼は終わった人だと思われていました。スタンフォードのビジネススクールには、どちらかと言うと「終わった人」という感じでスピーカーとしてやって来て、「こうやるとベンチャー経営者はおかしくなります」というような、やや自虐的な話をしていました。

誰もが、ジョブズの復活もアップルの復活もないと思っていた。ところが、ここでインターネット革命が起きる。インターネット革命が起きたのと同じ頃に、アップルが苦し紛れに打ち出したネクストコンピュータ構想、要するにジョブズが作った高い技術を活かしたコンピュータを作ると決めて、技術目当てでジョブズごと買い戻したんです。

ここからが物語の始まりで、ジョブズの経営者として最も優れていたことは、ネット時代に何をやったらクールで、おしゃれで、誰もが憧れるモノやサービスを生み出せるかということにしか関心がなかったことです。

ソニーはウォークマンもガラケーも有していたのにスマホという新しい機器を生み出せなかった。発想の転換がなかったからそれぞれ単品での勝負から抜け出せないジレンマのようなものに取り憑かれていたからかもしれない。

大学はリベラルアーツの原点に立ち返るべき

田原  教育と言えば、冨山さんは大学でシェイクスピアを教える必要はない、実用英語教育に特化しろ、簿記会計を教えろと言って、大炎上していた。あの真意を改めて聞きたい。

冨山  大学教育、リベラルアーツの原点に戻るべきだという議論を私はしていて、リベラルアーツというのは、本を正せば、世の中をより良く生きるための知的な技法のことを言っています。それは、ギリシャ、ローマまで遡るし、最近で言うと、オックスフォードとかケンブリッジでやっていたことで、日本で言うと、慶應を作った 福沢諭吉 が『学問のすゝめ』で語っていることを現代的に言い直したということです。『学問のすゝめ』の学問の中には簿記会計がちゃんと入っています。

田原  『学問のすゝめ』にはどんなことが書かれているのか。

冨山  要するに、民主主義は何か、誰が担うのか、そのために実学を学べという話が書かれています。私なりに言い換えると、まずは実践で役に立つことを勉強しようということです。それを皆で勉強することによって、一人ひとりが自力で生きていくことができ、ひいては日本全体が豊かになると語ったんですね。

学ぶべきものの一つは簿記会計だし、一つはちゃんと法律の基本的なことを勉強しなさいとか、あるいはエンジニアリングですよね。機械工学をちゃんと勉強しましょうみたいなことがずっと書いてあるんです。

明治の激動の時代のなかで、日本人一人ひとりが生きていくためにはそういった知的な技法を身に付けてないということを語ったので、当時ベストセラーとなったんです。

田原  なるほど。教養も大事だけど、その前に学ぶことがあると言っている。

冨山  いや、福沢からすると、簿記会計的な実用的な学問こそが教養だと言っているわけです。あの本がなんで売れたかといったら、極めてリアルなことを勧めているからです。それを現代に置き換えると、今の時代にこれから若者が生きていく時に、現実に生きていく上で彼らの武器になるような、知的な技法は何なんですか、ということをもう一回問い直そうよというのが私の問題提起です。

僕の学生時代とは教育も様変わりしていて、より実践的なものに移り変わりつつあるみたいだ。そこでリベラルアーツが再考されるようになってきた。基本的な学問はどの分野にも生きていく素地を作るのに最適。社会人になってから本を読まなくなり勉強もしなくなる人が多い中、それができている人との差は開く一方。学生生活よりも社会人になってからの時間の方が圧倒的に長いので余計に学ぶ姿勢が大事に。

日本再興の鍵を握る方策を著者と田原総一朗で語る対談形式の書籍。これからの日本を語る上で欠かせない経済にスポットを当てつつその可能性を探る。

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