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「娘と話す世界の貧困と格差ってなに?」富を力尽くで奪い合う世界って一体何なんだろう?

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「南北問題」(1960年代に入って指摘された、先進資本国と発展途上国の経済格差とその是正をめぐる問題。豊かな国が世界地図上の北側に、貧しい国が南側に偏っていることから南北問題と呼ばれる)などの格差はどのようにして生まれたのか。開発経済学、アフリカ地域研究を専門とする父が、娘との対話を通して「格差と貧困」の本質を探る。

東西から南北へ移る国際問題

いままで国際問題と言えば、いま言った東西問題と呼ばれた米国、西欧と日本という西側とソ連、その支配下の東欧や中国からなる東側との対立だった。南にいくつもの植民地を持っていたヨーロッパ諸国は、植民地問題は内政問題と思ってきたし、国際社会でもそう主張してきた。しかし、これらの「南」の植民地が独立し始めた。一九五五年インドネシアのバンドンで開かれたアジア・アフリカ会議は、若いアジアとアフリカの国々のリーダーが参加してまだ残ってる植民地の独立への戦いを助けることを決めている。つまり、「南」の国々が、より対等な関係を求めるようになって、新たに南北問題という国際問題が登場することになった。

先進資本国と発展途上国の経済格差を語る時、南側の視点からいうと、「援助をしてくれてありがとう」から「僕たちの国の主人公は僕たちだ」という意識の変化が挙げられる。最近では世界2位の超大国となったBRICsの中国によるアフリカ諸国への経済援助が中国の影響力を強める要因として問題視する声もちらほら。実際には途上国のこれからの利益を阻害するような援助の仕方が問題となっている。南の国の独立国どんなに人口が少なくとも国連において一票を持っているのでそこに付け込んだわけだ。しかし、そんな中国にも、まだまだ格差は残り先進国とは言えない現状もある。一人あたりの国民所得を考えると日本の6分の1程度で一部の大金持ちを除き多くの人々はまだまだ貧しい。同じBRICsのインドもやはり「南」グループだがより経済力の弱い「南」に援助している。「南」と言っても多様なのがわかる。

世界の弱者が最も多く住む「南」

だからグローバル化時代には、日本のような富裕国の格差と南北格差、さらには、南の国々の中の格差といったいろんな格差があるけれど、日本の国内事情と世界の事情がますます重なり合ってモノゴトが起きているから、それぞれを別のモノゴトとして学ぶのは、かえって無理がある。確かに格差の度合いや中身は必ずしも同じではない。しかし他方では、いま世界中に広がっている各国内部の格差問題が、根っこの部分では相互につながっているのは事実だ。

格差は日本国内にもあり進学を諦めなければならない家庭やいわゆる貧困と呼ばれる層にまず援助すべきではという議論は度々起こる。一握りのお金持ちを羨ましく思い自分もお金持ちになりたいと奮起する要因になるため格差はある程度あったほうが良いとする意見や、いや一生使い切れないほどの財産を代々相続していくなんて不平等だとする意見もある。そのあらわれか『相続税及び贈与税の税制改正』が平成27年1月1日施行され今まで非課税だった多くの土地付きの家(そこそこの広さのある都内の戸建ては対象になるところが多い)が相続税の対象になることに。詳しくは国税庁のホームページのPDFでもダウンロードしてください。しかしこれは所謂庶民に対する締め付けでもあり、本当のお金持ちは全然身を切らない内容だ。そこでいつもの「強めの累進課税を!」(←ピケティの影響w)ということを言いたい。財産を海外に移し蓄財する輩や、節税節税と日々いかに税金を払わないかに注力する輩からゴッソリ取ってやればいい。

お金やモノがより多く、より速く回り出す時代

「かつての自動車のように、自国内でつくって同じ国の人がそれを買うことで国民が豊かになる経済は、もうなくなった。グローバル経済はますますお互いにリンクして、複雑化している。日本の大企業も、世界の市場競争をにらみながらグローバル化している。また国民も、輸入品を買うほうがより安上がりに済むから得策だという考えが強くなった。この考えの背後には、グローバル化は時代の大きな流れで、自国の経済も自分たちではもう勝手に決められない、というあきらめもあると思う。ここに来て国民向き経済、ナショナル・エコノミーは過去のもので、自分たちの国の経済は世界全体の一部(ローカル)として、絶えずグローバルな動きに合わせなければ、と外向き経済が当たり前になっていく。」

今の世の中、生産の効率化が図られ、物流も世界規模で展開することでお金やモノがより多く、より速く回り出す時代となっている。インターネットで外国からモノを買っても一週間もあれば届くし、配送物の追跡などのサービスにより今どこの空港に荷物があるのか調べられたりもする。国内消費だけではやっていけない現実がここにある。

他にも格差の減らし方としての税金のことが平易な言葉で解説されており、税金だけでは格差を作る仕組みは治せないなどといったことが述べられている。国内、世界での格差について再認識できる書籍となっています。

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