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不安をしずめる心理学|加藤 諦三|抱える不安を心理学的に正しく理解して、有効な解決法を解説

次々と問題が起こるのが人生。それを解決し不安解消するプロセスが人生の面白さとも言える。つまり生きることとは問題解決の連続。不安を抱えるメカニズムを理解し有効な解決法を解説。

精神的に成長するためには

人生の課題の一つにナルシシズムがあります。

人は誰もがナルシシズムを持って生まれてきます。生きていく過程で、そのナルシシズムを昇華し、克服して、我々は成長していくわけです。

人間が成長していくためには、その時期、その時期でどうしても解決しなければならない課題がありますが、このナルシシズムを解消することで精神的に成長していくのもその一つです。ところが、世の中には、この克服すべきナルシシズムを満足させるようなものがたくさんあります。「このバッグを持ったら、すてきですよ」というのは、まさにナルシシズムを満たしてくれる商品の一つです。

本来、人間は成長とその反対である退行の葛藤の中で、生きていくべき存在です。しかし、消費社会というのは、我慢や苦労なしで安易に欲求を満たしてしまう社会なのです。

一時的には成長に伴う苦しい試練に直面せずに生きていける社会ではあるのですが、成長を避けていると、結局人生に行き詰まります。

ナルシシズムや退行を無理に乗り越えなくても、楽しく生きていける社会であれば、いいのではないか、という考えもあるでしょう。しかし、歳を重ねてある年齢に達し、自分の人生を振り返った時に、本当に心から触れ合える人というのは、自分が成長していなくては得られません。そういう人が誰もいなかったことに、人生の終盤で初めて気づくとしたら、これほど寂しいことはありません。

それにもかかわらず、消費社会は「そういう生き方が一番いいですよ」とすすめているのです。

人間が成長していく中での課題には、ナルシシズムや退行の克服だけではなく、もう一つ、親からの自立、つまり「オイディプス・コンプレックス」の克服があります。

これは、フロイトが「人類普遍の課題である」と述べたほどで、当然簡単に解決できるはずのないものです。

ところが消費社会では、そうした課題に対しても、「ここに行けば解決する」「この本を読めば解決する」という情報が売られています。真の成長が得られない解決法が、「これで解決できる」と言って売られているのです。

本来、人生の充足というのは、そのように簡単に解決できるものではありません。人生における不可避的な課題が、次から次へとたくさんあって、それらを解決しながら何とか成長することで、その結果、ようやく手に入るものです。成長と退行の葛藤の中で生きていくことには、ものすごい負担とリスクが伴うのです。

一方で、そうした負担とリスクを負わずに生きていくこともできますし、いまの社会はその方法も教えてくれます。ただしその場合、前にも述べたように、人生に必要な成長を遂げていないので、最終的には行き詰まることになります。

だからいま、誰もが不安に陥っているのです。

不安というのはどんな立場の人にも程度の違いさえあれど存在するもの。お金で言えば持っていなければ不足の不安、持っていればなくなる不安があるわけで不安というのはどんな状況でも生まれる厄介なもの。消費社会において消費はナルシシズムの表れ。一度その蜜を味わってしまうと、それを無くそうとするのはなかなか難しい。NBAのプレイヤーの何割かが引退後、消費の規模を縮小できず破産するケースが絶えないのはそのせいだ。

不安から依存症に逃げるケースが多い

四つ目は「依存症」です。これは依存症、例えばアルコール依存症などのことです。

アルコール依存症の人も、好き好んでアルコールに依存しているわけではありません。会社や家でさまざまな嫌なことがあって、「酒でも飲んでいなきゃ、やってられない」ということで、お酒に走ってしまったわけです。

依存症は、お酒ばかりではありません。ワーカホリックといわれるように、仕事依存症もあります。

夫婦関係の危機に直面している人がいたとします。本来はその問題に立ち向かうことで、人間は成長するのですが、それに向き合わず、仕事が忙しいと言って問題に向き合うことを拒否して仕事に逃げる。その結果、ワーカホリックになっていくわけです。

依存症患者に共通するのは、不安な時にその不安をきちんと意識しなかったということです。夫婦関係がうまくいっていない時、その不安から逃げるために、仕事依存症、あるいはギャンブル依存症など、何らかの依存症になってしまったのです。

我々が生きている現代社会は、依存症を容認している依存症社会だともいえます。

日本には「依存症」という言葉が少ない。この点にむしろ現代が依存症社会であることが端的に示されています。「アルコール依存症」という言葉は、よく耳にすると思いますが、「砂糖依存症」「完全依存症」「人間関係依存症」というように、依存症はそれだけではなく他にもたくさんあります。

もちろん、お酒は合法的なものですから、飲んでもあまり責められることはありません。お酒への依存に対して、日本の社会は甘い面があります。しかし、不安からそれが過ぎると、アルコール依存症になってしまいます。

前述したように、仕事依存症になる人もいます。昔でいえば手帳、いまでいえば、パソコンのスケジュール表に予定がぎっしり埋まっていないと、安心できないのです。

不安をしずめようと、我を忘れて活動する。社会にかかわることによって孤独を隠そうとする。孤独の恐怖から社会参加し、自分が人気者である、好かれていると思い込もうとしているのです。  しかし、それは幻想でしかないので、どれだけスケジュールを埋めても、どこかで不満がくすぶり、心の中にはもやもやが残ります。

そういう人が身近な人に対して正体不明の不満や怒りを感じるのは、心の底では誰ともつながっていないことに起因するものです。

ですから、社交的に見える人が、実は対人恐怖症ということもあります。

先ほどダンスパーティの話をしましたが、「私はパーティが嫌い」と言って不安から逃れようとする人もいれば、反対に何もかも忘れるために、積極的にパーティなどに参加している人もいます。

依存症は一度陥ってしまうとなかなか習慣改善が難しい。僕もタバコと酒を辞めるのに苦労した経験が。仕事を辞めて収入が減ったタイミングで止めなければならなかったのになかなかうまくいきませんでした。たとえば病院で強く止められるとか、そういった外的要因があると止めやすいかも。流石に医者に健康状態に関して脅されると本気で飲酒や喫煙を止める気になりますよね。

不安という万人につきまとう問題を解決するための方法をその原因とともに解説。不安の生成される原因を理解すれば立ち向かう武器になるはず。あなたの不安はどこから?

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