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君の会社は五年後あるか?|牧野 正幸|最も優秀な人材が興奮する組織とは

学生に人気の「問題解決能力発掘インターンシップ」、転職の時の保険となる復帰可能な「カムバック・パス」、 同僚の評価を年俸に反映する「相互多面評価」など、個性的な組織戦略で急成長を続ける会社の秘密とは?

アップル、AOLを育てた伝説の投資家の登場

優秀な人材を集めれば必ず事業は成功するという自信はあったが、資金集めには予想以上に苦戦した。

私たちのビジネスモデルでは、研究開発費が主な先行投資となる。成長のために顧客数を増やし、研究開発を強化するために採用を加速すると、多くの人件費が発生する。

いかに先行資金を充足させるかが事業成長のカギだった。

しかし、「そんな難しい事業が日本でできるわけがない」と誰も耳を貸してくれなかった。ワークスのこの取り組みが、社会貢献度の高い事業であることなど眼中にもないようだった。おそらく、ベンチャーキャピタル百社には打診しただろうが、 「日本人に、そんなものが作れるはずがない」  と見事に全滅だった。

この点については、私自身も読みが甘かったことを認めざるをえない。何しろこの日本独特の商習慣や業務文化をすべて盛り込んだ高機能なパッケージを開発するためには、莫大な資金を要するのだ。

こうして窮地に陥っている時、最初に手を差し伸べてくださったのはグロービスの堀義人氏だった。当時、彼はニフティの「FBINC(ビジネス創造フォーラム)」で質問に答えており、 「堀さんだったら、理解してくれるかもしれない」

と飛び込みでビジネスプランを送ってみたのだ。

堀さんは「市場はまだ小さいものの莫大なニーズがあり、事業の将来性は高い」と判断し、三千万円の投資を約束してくださった。

そしてその後、さらなる救世主が現れた。アラン・J・パトリコフ氏という伝説のベンチャーキャピタリストである。彼は米国最大手のベンチャーキャピタルの代表であり、米国のベンチャーキャピタル業界を創ってきた人でもあった。アップルやAOLの大株主としても知られる人物だった。

この時彼は、日本での出資先を探していたのだが、彼には実にたくさんのことを教えてもらった。まず彼は、ベンチャーの定義は二つしかないと教えてくれた。

一つ目の条件は、イノベーションを起こすことで社会貢献していること。

そして二つ目の条件は、社員全員が優秀であること。

実際、彼は出資先の企業と面談をする際にも、トップとの面談の時間が少なく、社員との面談に圧倒的に時間をかけていた。

ベンチャーのベンチャーたる所以、社員全員が優秀であること。規模が小さいからこそ優秀な人材で固めることができ身軽に動けるのがベンチャーの魅力。市場の痒いところに手が届くサービスやビジネスはたくさんあり、そこをフォローするのが上手い会社が勝つ。大企業が手を出しにくいところに素早くアクセスすることができ、これから成長分野となり得るビジネスを発掘するのだ。

フラット型組織は六百人が限界

かつて、ワークスも社員六百名程度までは、社内に中間管理職を置かず、私たち三人の代表が社員を直接管理する、フラットな組織だった。具体的には「ステアリング・コミッティー」という五~六人に一人の特に優秀な社員と毎週、もしくは、毎日のように接し、現場で起こっていることを逐次聞き、こちらの想いを伝えていた。

彼らはプレイングマネジャーのようなもので、リーダーではあるが、マネジャーではない。そのチームの中で一番優秀なのだから、リーダーシップを発揮したければそうすればいいし、そうしたくなければ、自分が仕事をする背中を見せて引っ張っていけばいい。そうはっきり伝えた。ワークスの中では、人を育てることは義務ではない。今後の自分のキャリアを考えて、一番、仕事がやりやすい方法を選べばいい。

しかし、会社の成長とともに顧客も増え、製品も進化するなど仕事が複雑化する中で、状況が変わっていった。ワークスが成長するに従って、顧客の我々に対する期待も大きくなっていったのだ。

そのうち、新卒入社の社員や経験の浅い社員の中からは、仕事の負荷やお客様との関係を一人で処理することが難しくなり、成長どころか 潰れてしまう例が散見されるようになっていった。そのため現場ではベテラン層が若手に任せることで発生する失敗を恐れるようになり、新人にチャレンジを促せなくなる守りの風潮が生まれていった。

しかし、我々はベンチャー企業である。人の成長が会社の成長そのものなのだから、会社の成長が鈍化してしまう事態はなんとしても避けなければならない。

そこで、こうした若い層のチャレンジを奨励し、彼らの成長を促すため、また、ワークス独自の「失敗を許容する文化」を持続させるために、二〇〇六年にマネジャーとゼネラルマネジャーの中間管理職を設置し、ピラミッド型の組織を形成した。

このピラミッド型組織は、効率化を目指しての組織化ではない。個人の失敗を組織がカバーすることから、優秀な人材がよりチャレンジしやすい体制が整えられたのだと考えている。

組織が大きくなるほどフラットな形状の組織はうまくいかなくなるので、ピラミッド構造の組織に移行しなくてはならない。組織のフラット化を保つために会社を切り離して運営する場合も。ベンチャーが成長する過程で無視できない規模の組織運営。身軽さを重視した働き方を好む人間の中にはビジネスを売り払い、また新たなチャレンジをすることもしばしば。あなたの会社はどのタイプ?

働きがいのある会社を目指して、組織の構造を徹底的に解説。魅力度No. 1の会社の創業者が語る組織のリアルが描かれていて、これから事業を起こそうとする人たちの希望と羅針盤となる書籍となっております。

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