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本の読み方 スロー・リーディングの実践|平野 啓一郎|「速読コンプレックス」から解放される、差がつく読書術

速読に憧れ様々な速読術を試したことがる人は案外多いのでは?そして速読は本当に効果があるのか疑問だったりしませんか?闇雲にただ活字を追うだけの読書から深く感じる読書へ。著者も実践している差がつく読書術を大公開。

コミュニケーションとしての読書

読書の面白さの一つは、 読んだ本について、他の人とコミュニケーションが取れる ということだ。

相手がその本を読んでいないときには、是非にと推薦する楽しみがある。自分の感動したものについて、それを誰かに教え、その人にも同じ感動を味わってもらいたいという気持ちを抱く人は多いだろう。

また、すでに読んだという人と、感想を語り合うことも、もちろん楽しいことだ。見ず知らずの人とでも、同じ本を読んでいたというだけで、仲良くなれることもある。同じ感想を抱いていれば、それで大いに盛り上がるだろうし、違っているなら、どう違うのかを話し合うことで、自分の考えの幅を広げることができるだろう。

黙読の習慣が広く一般化したのは、近代になってからだと言われている。一九世紀のヨーロッパ絵画の中には、読書する女性の姿がしばしば見受けられるが、そんなふうに家で一人で女の人が本を読んでいる姿が、当時としては新鮮だったのであろう。現代では、読書は完全にプライヴェートな趣味となったが、しかし、読書という行為は、読み終わった時点で終わりというのではない。ある意味で、 読書は、読み終わったときにこそ本当に始まる。ページを捲りながら、自分なりに考え、感じたことを、これからの生活にどう生かしていくか。──読書という体験は、そこで初めて意味を持ってくるのである。

速読は、読書を読み終わった時点で終わらせてしまう読み方である。しかし、スロー・リーディングは、読書を読後に生かすための読み方である。

ザッと目を通したという程度では、人と語り合う際にも、 曖昧 で、どことなく自信なさそうな語り口となってしまう。相手に話をふられても、「うん、ちゃんと読んでないんだけど……」だとか、「細かいところは、覚えてないんだけど……」などと、不本意な言い訳をしなければならなかったという経験は誰にでもあるのではないだろうか? そうすると、相手は、この人は、本を読んでも、何も感じない、自分の意見一つ満足に持てない人なのだと見なしてしまうものだ。普段、よく会話をする友達ならともかく、初めて会う人は、そうした言動から相手を判断するしかないのである。

見方を変えれば、読書は、コミュニケーションのための準備である。自分の考えをうまく人に伝えられないと悩む人は多いが、いきなり人前に出て、考えてもみなかった事態に対して、何か意見を言ってくれと言われても、難しいのは当然である。読書は、そうした現実に備えて、様々な状況を仮想的に体験させてくれる。そして、スロー・リーディングを通じて、そうした中で、自分だったら、どう感じ、どう行動するかをじっくりと時間をかけて考えておけば、思いがけない事態に直面したときにも、気負わず、普段、考えている通りのことを言えばいいのである。

一冊の本を読むという体験は、誰にとっても同じものではない。独善的にならず、まずは作者の意図を正確に理解し、その上で、自分なりの考えをしっかりと巡らせることができれば、読書はその人だけの個性的な体験となる。  スロー・リーディングは、個性的な読書のために不可欠な技術である。

速読で活字を追うだけでは中身を深く理解するのは難しい。自己啓発本やビジネス本なら複数の本で同じような内容のことも多くその部分は流し読みといった読み方もできるが、多くの初見本では内容を理解するのにある程度じっくり読むことが求められる。特に読後に誰かと内容を共有したいと思うのならばスローリーディングの方が適していると思います。

複数の本を比較する

本を読んでいると、「ああ、これは、別の本の中で別の作家が書いていたことと同じだ」と感じることがある。そういうときには、面倒がらず、一段落ついたときにでも、以前に読んだその本を開いてみよう。

ほとんどの場合、両者がいかに違っていたか、つまり、自分の錯覚だったことに気がつくものだ。人間の記憶とはアテにならないもので、そうして確認してみると、単に今読んでいる本に引きずられて、前に読んだ本の内容が 歪められていただけだということが多い。

それでもやはり、似ていると感じたときには、そのことの意味をじっくり考えてみよう。

スロー・リーダーとしては、やはり、ただ「似ていた」ということだけで終わりたくはない。まず、一字一句まったく同じかどうかを確認する。同じである場合、偶然か、あるいは引用なのかについて前後の文脈から考える。そして、偶然と推測される場合は、どうして別の二人の作家が、まったく同じ表現を用いることになったのか、その言葉が浮かび上がってきた背景について考えてみる。

引用の場合、なぜそれが引用されたのかをやはり考えてみる。影響関係があって、無意識に出た表現だろうというときには、その表現だけでなく、二つの本の影響関係の全体について、考えをまとめてみよう。

まったく同じでない場合は、 何が同じで何が異なっているのか、その違いを丁寧に見ることで、両者の意味はいっそう鮮明になる。これは、単に「似ている」で終わるよりも、はるかに豊かな内容を読者にもたらしてくれるだろう。

また、別の作家の本ではなく、同じ作家の違う時期に書かれた内容を比較することも有意義だ。どんな作家にも、多かれ少なかれ、思想的な変遷はある。それを辿ると、誰それはどういう作家だという単純な断定から、誰それはどういう作家だという単純な断定から、誰それは初期にはこういう考え方だったけど、晩年はこういう考え方に変わっていたと、作家の理解が、もっとずっと立体的で、厚みのあるものとなるだろう。

同じジャンルで複数の書籍を読むと内容が重複していることがある。それが多ければ大きほど真理に近いと考えていいだろう。タイトルに惹かれて買ってはみたものの内容が他のどの本にも書かれていない内容の場合それがどこから得られた情報か確認すべき。著者略歴やバックボーンを調べてみるとなんだか怪しい人の場合も。以前、僕が読んだ本が「マルチ商法で有名な人の本です」と指摘を受けたことがある。本の内容に罪はないが、気分のいいものではないですね(笑)

本当の向き合い方をあらためて考えるきっかけとなる書籍。速読、多読が良い悪いという問題はさておき、自身の読書スタイルがどんなものかを客観的に知流ことができるいい機会になるかとは思います。

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