92歳を迎えた寂聴さんと50歳年の離れた堀江貴文氏(僕と同世代)二人の対論形式により、生死や子育て、景気、原発の是非、戦争、検察等について語られた本。
生と死と
生死を極めるのが仏教の務めだが、立派なお坊さんでも「あと一週間のお命です」と告げられたら、飛び上がって「死にとうない死にとうない!」といったエピソードはやっぱお坊さんも人間なんだと思った。平均寿命についても興味深いことが書かれており、乳幼児死亡率が下がれば平均寿命は上がる。アフリカなどでは、子供が死にやすい環境なので平均寿命は50歳となり低い。逆に子供の頃を生き延びれば長生きできるとも言える。臓器提供は嫌だという寂聴さんだが実際は「心臓は何歳まで」「肺は何歳まで」と決まっていて、彼女は対象外だったという話はちょっと自虐的で笑えた。
もっと認め合い許し合い譲って生きよう
けっこうみんな我慢して生きてるというか。そういう感じがあります。お互いに見張っていて、逸脱する者がいると徹底的に批判する。俺も我慢してるんだからお前も我慢しろっていう。思うに日本人は多かれ少なかれそういった価値観に貫かれている気がするんです。
例えば、「満員電車とか乗るのやめちゃえばいいのに」とか「お正月に帰省をする必要はない」とか言って度々炎上する彼だが、一人の意見として発した自由な発言を言葉尻を捉えて批判の的にする風潮は日本にはある。有名税みたいなものか。通勤電車(女性専用車両)でのメイクについても触れており、同じ車両に乗るのも嫌なほど不快に思うなら通勤時間を早めにずらすなど方法はいくらでもあると思う。それも嫌なら、見て見ぬ振りや、スマホや本を読むなど神経をそちらに向けないというのも一つの手だ。一昔前はヘッドホンの音漏れ問題等が嫌がられていた時期もあったが、今ではマナーも向上しそんな話は聞かなくなった。車内でのメイクも時間が解決してくれるのではないかとも思う。何事も徐々に変わっていくのが世の中だ。
中絶数は世界トップクラス
日本の中絶数は世界でもトップクラス。中絶は違法だが、母体保護法によって一応グレーなんだけどOKになっている。この対論では養子制度を流行らせれば、少子化対策にもなる(中絶も減る?)としている。子供が欲しい人は山ほどいるのだからそれをマッチングすれば良い。江戸や明治時代まではそれが普通だった。スティーブ・ジョブズも養子だったそうだ。
家族について面白いことを堀江氏が言っていて親子関係までは分かるがよくわからない親戚が絡んでくるとイヤだというがこれは同感だ。SNSで従兄弟みたいなのが絡んできて、変な教材みたいなのをネットで売ってたり、一時期鬱になってどうのこうのと書いてあって、またまたうわあ〜となったりしてという件はあるあるだなと思った。僕の場合、妹が変な教育セミナーみたいなのの協同経営者(数百万払わされた名ばかりの経営者)やってて親戚が集まるところで力説してた。
自殺について
自殺って、プライドの問題だけだと思いますけど。病苦を除けば、日本の場合自殺はそうでしょう。
僕の場合、病気による自殺未遂だったのでこれには該当しないが、病苦でも一般的な人の生活から逸脱してしまった自分とプライドの狭間で苦しんだ側面もある。学校でいじめられている子に対しては学校なんて行かなくていいし、義務教育なんていらないと堀江氏はいう。マスコミの自殺報道については彼と同意見だ。練炭自殺が流行ったのもマスコミが囃し立てたせいでその方法を知らなければ自殺は避けられたかもしれない。僕自身2度の自殺未遂経験者だ。アーティストのhideの影響によるドアノブでの首吊りとオーバードーズだがリストカットは血を見るのがイヤなので(採血で意識を失った事がある程)やったことがない。少なくてもマスコミによる報道がなければ、ドアノブによる首吊りなど思いつかなかった。しかし、今生きているという事は、死にたくなかったんだと振り返って思う。
後半では原発の是非について原子力発電を止める事で起きる様々な影響など意見をぶつけ合う二人。僕自身、原子力発電については他の代替するエネルギーに変えていくべきだとは思うが、原子力に従事する技術者が減少すると廃炉のために必要な新技術や使用済み核燃料棒の廃棄技術も進歩しないというジレンマを抱える事になる。戦争や国家権力(ここでは検察)にも触れるなかで、犯罪報道で使われる写真について書かれていた。連写で何枚も取りそのなかで、一番情けない顔、悪い顔が使われるので、実際会うと、好印象だったりするというのが、面白かった。マスコミと検察はある意味共同体で、検察が事件を作って、リークし、それをコンテンツとして扱うマスコミが報道して喜ぶという図式。ブログを始めて2ヶ月ほど経つがとにかく書く記事に困る。そんなに変わった事は日常的に起こらないし…マスコミの気持ちも分からないでもない。
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