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MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論|島倉 原|「貨幣」と「財政」の真実!世界を揺るがせている経済理論とは?

世界を揺るがす経済理論MMT(Modern Monetary Theory)とは如何なるものか?その実態を探りつつ根底にある貨幣論から具体的な政策ビジョンまでをこの一冊で。「貨幣」と「財政」の真実とは?

貨幣の本質

現代のように、発行者が政府に限定されて種類も少なく、しかも額面ごとに一種類の硬貨が発行される制度の下であれば、素材としての価値を確認するのにもさほど手間がかからず、効率的な交換媒体として機能する可能性もあるでしょう。

しかしながら、そうした標準化された硬貨制度ができ上がったのは比較的最近のことであるというのが、MMTの指摘するところです。例えば、中世封建時代のフランスでは、国王以外にも様々な商人、封建領主、貴族、聖職者などが独自に硬貨を発行していて、国王の貨幣以外にも二〇もの貨幣制度が存在し、全部で八〇種類にも及ぶ硬貨が発行されていたといいます。

それらは重さも額面も金属の配合もまちまちで、素材としての価値を適切に評価できるようなものではなく、到底効率的な取引手段たり得なかったと考えられています。事実、貴金属硬貨はそこに含まれた貴金属以上の価値で流通しており、「貴金属硬貨=素材価値を容易に確認できる効率的な交換媒体」という議論の大前提がそもそも成立していなかったといいます。

また、最初期の貴金属硬貨の額面は極めて高額で、最も一般的なものが羊約一〇頭分に相当するなど、およそ日常的な取引の役には立たなかったと考えられています。貴金属硬貨が頻繁には用いられていなかったことの裏付けとしては、摩耗しやすいはずの貴金属硬貨が、たいていの場合極めて良好な保存状態で発見されているという事実も挙げられています。実際に用いられた場合にも、現在の鋳造技術が発明される前の貴金属硬貨は、摩耗しやすい上になまじ素材価値があるため「クリッピング」(金属の縁を削り取ること) の対象となりやすく、むしろ効率的な交換媒体とはほど遠い存在だったとされています。

なお、同様の事実は、MMT以外の研究からも示唆されています。例えば、イングランド銀行が創設された一七世紀のイングランドでは、こうした貴金属硬貨の欠点を背景として、人々はむしろ銀行券すなわち紙幣を好んで受け取っていたという指摘があります。これは、商品貨幣論では説明が困難な現象と言えるでしょう。

ここ日本でも貨幣の歴史を辿ると小判における金の含有量とかで価値が変わる等の悪銭問題があったりと話は尽きない。今のお札や硬貨だって人々の政府に対する信用で成り立っているのでありそこが揺らぐとただの紙切れに。

政府財政は赤字が正常

そして、以上のような主権通貨制度に対する理解から出てくるのが、政府財政が赤字傾向であることはむしろ「正常」である、というMMTの結論です(レイ(二〇一九)三九三ページ)。

こうした議論を理解するには、「誰かの収入は、必ず別の誰かの支出によってもたらされている」という、経済学派を問わず常に正しい命題を念頭に置く必要があります。MMTは経済分析において、こうした収支および資産・負債のバランス構造を極めて重視しています。『MMT入門』でも、そうしたバランス構造について説明するために、第一章(タイトルは「マクロ会計の基礎」) を丸ごと充てているほどです。

誰かの収入が別の誰かの支出によってもたらされているということは、経済全体では「収入の合計=支出の合計」という関係が常に成立していることになります。それはすなわち、誰かが支出を上回る収入を得て収支が「黒字」であれば、必ず別の誰かの収支は支出が収入を上回る「赤字」であることを意味します。また、こうした関係からは、「全ての経済主体の収支を合計すれば、必ずゼロになる」という命題も導き出されます。

つまり、全ての経済主体が同時に黒字になることは原理的に不可能なのです。また、「全ての主体がいずれも収支ゼロ」という状態は理屈の上ではあり得ますが、およそ現実的ではありません。したがって、現実の経済では、いずれかの主体が必ず赤字になっていると考えられます。

一国の経済主体は大まかに「民間部門」「政府部門」「海外部門」の三つに分けることができます。このうち海外部門は一般的に存在感が小さく、しかも全世界の海外部門の収支を合計するとゼロになります(これは、「全世界の海外部門の収支合計=全世界の経済主体の収支を合計して正負を逆にしたもの」という関係から出てくる当然の帰結です)。そこで、一旦は海外部門を議論の対象から外し、民間部門と政府部門のいずれが赤字となるのが適正であるかが論点となります。

先述した政府と民間銀行による貯蓄創造メカニズムの違いも示唆するように、通貨を発行して自らの負債を返済できる政府部門の赤字の方が、民間部門の赤字よりも持続可能性が高いのが現実です。したがって、長期的な経済成長を促進するには政府部門の方が赤字に偏らなければならず、それがむしろ「正常」な状態である──これが、財政赤字を問題視する一般的な議論とは正反対の、MMTの結論です。

誰かの収入は誰かの支出によって賄われている。確かにそうだ。現代の商売といったらお金を吸い上げるシステムを構築したもの勝ちで搾取される人と搾取する側で世界は構築されている。支出ゼロの国家運営はあり得ないし成長を求めれば支出はさらに膨れ上がる。よって赤字国債の発行ななどが随時行われ負債を抱えることになるのだがこれが正常なのだという。

MMT(Modern Monetary Theory)聴いたことはあるが内容までは知らないこの略語の正体を解説。MMTとはなんぞやと思ったら一通り解説してくれる本書を手に取ってみては?

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