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生活者視点で変わる小売業の未来|上田 隆穂

小売業は今転換期を迎えている。ネット通販の台頭やリユース市場の拡大など小売業者にとっては厳しい風雨にさらされている。価値ある商品を取り揃えるためにどこの小売業者も必死だ。新しい決済方法もだいぶ普及してきていて、商品の受け取り方も様々、生活者が多様なライフスタイルになっているので小売も変わらなくてはならない。小売の未来系を語るビジネス書。

未来店舗をどう考えればいいのか

商圏マネジメントを行い、顧客をロイヤル化し、その購買意欲を高める未来店舗の存在意義は、生活者が必要とするモノ・コトの供給、アシストである。方向性としては、生活者の視点に立ち、潜在意識のニーズを正確に探り、それらを満たして、生活価値の形成をアシストしていくことだ。それには昔の神社仏閣のような地域(商圏)の核となって、生活の中心になることが重要になってくる。そして、商圏顧客を支える存在として、モノを売るだけの存在ではなく、店舗を超えた希望のスタート地点である駅のような存在、つまり生活プラットホームになるべきである。大事なのは、日常レベルの希望を発生させる仕組みが必要だということ。それは生活者のライフステージごとに異なるということ。そして商圏内のコミュニティにどう対応して商圏マネジメントをしていくか。つまり「ライフステージ」「商圏マネジメント」「希望学」という考え方で、この三つから未来店舗の方向性が決まってくるだろう。

確かにネットでなんでも完結する時代、実店舗には様々なネットにない部分を押し出していかないとならなくなった。客足が伸び悩む店舗ではより未来志向な店舗運営で客を呼ぶしかない。

ライフステージごとに商品情報を提供

顧客の潜在ニーズに四つの製品カテゴリーのクロスMDで相乗効果をつくり出す試みをしている。菓子ではオーガニックやアレルギー情報。それから、デコ料理レシピ、つまり菓子で飾りをつくったり、楽しいものをつくったりすることなどの提案である。牛乳では、親子でスイーツづくりや、子供の栄養、骨格の成長などの提案がある。アルコール&ノンアルコールはママ友会の息抜きなどがある。オーラルケアでは子供の虫歯予防などがある。これらだけを個別にバラバラに見ると、どこにでもある普通の訴求だと思えるだろう。しかし、この組み合わせが相乗効果をもたらすシーンとはなんだろうか。たとえば、小さな子供を育てるお母さんは、天気の良い日はどこに行くだろうか。普通は、公園がすぐ思い浮かぶだろう。けれど雨が降ったら行くところがなくなるので、児童館、ママ友宅に行くことが多くなる。ママ友宅へ行くと、息抜きのためのノンアルコールビールを飲み、そして子供と楽しく過ごすためにお菓子をつくり、みんな一緒に食べることが多い。最後に子供の歯磨きをして帰るとなると、きれいにこのシーンに当てはまることになる。特にこの図表の点線で囲んだ部分が相乗効果を出してくれそうである。これは、子育て期においてどのようなことが価値を持ち、普段子育てに悩んでいる人たちのストレスをいかに解消できるかという顧客への提案になる。

人生生きていくとライフステージの変化によって購買行動が一気に変わることもある。子育てや介護といったものに加え子供や孫の成長に合わせて必要なものが変わってくる。そのニーズをしっかり汲んでディスプレイしたりすると売り上げが上がったなんて例も紹介されていた。

過疎地において小売はどういう方向を取るべきか

この移動販売車やそのほかのコミュニティづくりに関するコープさっぽろの活動は、これからの小売のイノベーションの萌芽的な存在と考えてもよかろう。  この事例は、マーケティングの流れである、社会貢献と利益向上を同時に実現しようとする、コトラーが提唱するマーケティング3・0やポーター提唱の共通価値の創造(CSV)の実現に合致している。生協であるから当然であるというのは間違いであり、社会から存在を認められ、必要とされる企業になってはじめて長期の存続が可能になる。この事例では、商圏マネジメントを社会的利益の観点から実践している様子を描いたが、まさに小売業として長期に存続できるイノベーションの萌芽としてのビジネスモデルといえよう。

移動販売などはコストの面から言うと決して儲けになるものではないが、こうした取り組みは地域に貢献するといった点から見ると極めて重要。

生活者視点で小売を見ると小売業が今後歩むべき道を示唆してくれる。購買意欲を起こさせる商圏マネジメントの重要性を説いた書籍。

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