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「この国の冷たさの正体」から迷惑をかけるのが人の性と知る

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生活保護受給者やギャンブル・アルコール依存症患者などの弱者だけが「自己責任」の名の下に責められる。自分が責められる対象にならないように強者の意見を代弁し、弱者叩きをする弱者たち。そんな日本に苦言を呈し、弱者は自分を責める必要はないと説いた書籍。

「国に迷惑をかけるな」の異常さ

生活保護バッシングで必ず引き合いに出されるのが不正受給問題、しかし、その割合は0.53%と全体としてはほんの一部なのだ。テレビが彼らを大きくクローズアップすることで、生活保護受給者の多くが不正受給者であるかのようなイメージを与え続けている。

憲法第9条については色々議論するものの、第25条の生存権については議論の対象にすることはまずありません。

日本では生活保護受給資格があるにもかかわらず、受給を受けていない人が約8割もいるというデータも出ている。当然の権利であるにもにもかかわらず、自責の念にかられ、あるいは周囲の目を気にしている人が多いのが現実だ。

ここ20年の日本では専業主婦までバッシングの対象になっている。「一億総活躍社会」を掲げ外に出て働く女性が理想とされ、専業主婦は税制上の控除も奪われようとしている。そもそも専業主婦だろうが働いていようが、その家庭のなかで選択された形なので他人がどうこういうのはおかしいと思う。

バッシングの対象なしではいられない弱者

現代の日本は、バッシングの対象を絶えず探していて、東京五輪エンブレム問題の佐野研二郎さんやSTAP細胞の小保方晴子さんなど異常なまでの叩かれ方する人が出てくる。国民の価値観が多様化するのは成熟社会の証だが、誰かをバッシングしなければ気が済まない国民性には疑問が残る。これは日本人の認知的成熟度が年々低くなっているのではないかと著者はいう。

テレビ局の経費削減による質の低下とCM

現在のテレビ局は、経費節減のため、街の声を集めたVTRなどでも使い回しが多い。スポンサーの顔色をうかがって、都合の悪いことは報道しない。挙げ句の果てにはアルコールやギャンブル、キャッシングのCMを堂々と放送するなど、海外では考えられないことが常態化している。これだけ公然と広告をうつのに、いざ、アルコールやギャンブル依存症になっても、それは自己責任でそれを販売・運営する側は責任を取らない。最近ではこれに加え、課金型のスマホゲーム中毒なども問題となっているがこれも無課金でも遊べるので課金は自己責任でというスタンスだ。風営法で営業時間が決まっているパチンコなどと違い24時間365日遊べるのでさらにたちが悪いとも言える。テレビ局員の年収1,500万円を守るため魂を売っているとしか思えない。これらのサービスを提供する企業は依存症患者に責任を持つべきだという著者の意見に僕も賛成だ。さらにテレビで専門家としてコメントを収録される場合、発言内容に対してどのように編集されても文句は言わないという誓約書を書かされるそうだ。コメンテーターの嘘に騙されない心構えも必要だということだ。

高い消費税はヨーロッパ並み、粗末な福祉はアメリカ並み

グローバルスタンダードにおいて、消費税は高く、法人税は安くしなければならないと信じ込まされているが、アメリカでは法人税率40.75%(カルフォルニア州。ニューヨーク市は45.67%)で日本の31.33%より高く、消費税が10%を超えている州は一つもない。

日本の富裕層はアメリカの富裕層よりタチが悪い。アメリカの大富豪と呼ばれる人たちの中にはあえて自分たちにもっと課税しろと主張する人もいる。(マイクロソフトのビル・ゲイツや株式投資家のウォーレン・バフェットなど)

何があっても自分を責めるな

「失敗したのはあなたのせいだ」と言われ「あ、そうかもしれない」と思ってしまうことを、精神医学の認知療法で「自己関連づけ」といい、うつ病を引き起こす原因となる認知の歪みなのだという。「こうあるべきだ」という思い込みをやめれば楽になる。実際、無職になって思うことだが、自分の代わりはいくらでもいるし、自分が少し失敗したり、業績(成績)が悪かったとしても会社は潰れることはないということ。

たった一つしか評価基準がない人は、その評価基準でしか自分を評価することができません。世の中は単純ではないですから、その判断基準からはみ出した自分を認められなくなってしまうのです。

確かに仕事という評価基準でだけで自分を評価していた時は、無職であるのが辛かったが、読書を通して様々な知識を得て、それ以外のことに目を向けることができるようになってきて少し楽になってきた実感がある。

人間は生きているだけで「迷惑」の塊だと気づくことが大事だと思います。

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