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教育は何を評価してきたのか|本田 由紀 |教育が私たちに求めてきたのは何か?

教育が求めてきたのは学歴か?生きる力か?人間力か?息苦しさを感じるこの日本で教育をめぐる環境を考える。現在までの日本の教育言説を分析し、格差と不安に満ちた社会構造を抜け出す道を探る。

PIAACとPISAにおける日本の結果

興味深いデータがある。二〇一一年から二〇一二年にかけてOECDが実施した、「国際成人力調査」(Programme for the International Assessment of Adult Competencies、以下PIAACと略記)である。これは、二四カ国・地域の一六歳から六五歳までの幅広い年齢層( 調査対象数は各国約五〇〇〇人)を対象として、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力という三つのスキルを、日常生活に密着した具体的な問題を解いてもらうことによって把握した調査である。

このPIAACよりも日本の人々によく知られているのは、一五歳を対象として二〇〇〇年から三年ごとに実施されている「国際学習到達度調査」(Programme for International Student Assessment、以下PISAと略記)のほうだろう。PISAの結果、特に得点ランクにおける日本の順位を文部科学省は非常に気にしており、マスメディアでも多く取り上げられるからだ。

それに比べて、PIAACの結果については、大きな社会的関心が寄せられていないように思われる。しかし、PIAACは、参加国・地域の人口におけるスキルの水準や、それが仕事や社会生活などでどのように発揮されているかを知ることができるという点で、貴重な調査である。OECDによる報告書を国立教育政策研究所が翻訳した『成人スキルの国際比較』から、日本や他の国・地域の人々のPIAAC調査結果を見てみよう。

PIAACの調査結果は、各問題項目の難易度を勘案して五〇〇点満点で示されている。日本の結果( 平均得点)をみると、読解力は二九六点、数的思考力は二八八点であり、いずれも参加国・地域の中で一位である。調査参加国・地域全体の平均点は読解力二七三点、数的思考力二六九点であり、日本がそれよりも高いことは統計的検証からも確かめられている。

また、読解力・数的思考力それぞれの点数について、各国における上位五%の層と下位五%の層との間での得点差をみると、すべての参加国・地域の中で、日本が最も得点差が小さい。日本ではこれらのスキルの格差も少ないことがわかる。

ITを活用した問題解決能力についてはどうだろうか。コンピュータを使用した経験がない者などは紙で調査を実施しており、日本では紙での調査を受けた者の割合が他の参加国・地域よりもやや多くなっている(詳しくは本章末の注1のURLを参照)。しかしコンピュータを使って調査を受けた者についてみると、やはり日本の平均点(二九四点)は参加国・地域の中で一位であり、全体平均の二八三点よりも高いことが統計的に確認されている。

学力テストの平均を見るとまだいずれも高い水準にあるというのに、大学ランキングでは上位に入ってこない。大学に入るまでは受験で必死になって勉強するが目的も曖昧に大学進学するため大学での成績が悪い人が増えている証拠か。とはいえ僕も大学中退。バイトが楽しすぎて在学中にバイト先に就職することを目指しました。普通に考えたら僕の大学では難しい企業だったのでそれはそれで良い経験ができた。

学習指導要領の構造変化

二〇〇七年六月に学校教育法が改正されたのち、約七カ月後の翌年一月に、学習指導要領の方向性を規定する中教審答申が提出され、その二カ月後の三月には改訂学習指導要領が告示されるという慌ただしい動きとなった。その前回の学習指導要領の告示から一〇年を経て、これ以上は告示を遅らせるわけにいかないスケジュールの中で、二〇〇八年告示の学習指導要領は作られた。それは、改正されたばかりの教育基本法・学校教育法の本質を、この学習指導要領が十分に反映できない形で実施されたことを意味する。つまり、その次の改訂にあたる学習指導要領においてこそ、「改正」教育基本法・学校教育法の内実が、満を持して完全装備されることになったのである。その旗標となる言葉が「資質・能力」であった。

二〇一七年改訂では、従来の学習指導要領とまったく異なる構造へと大きな変更が加えられた。二〇一七年三月告示の学習指導要領は、「何ができるようになるか」( 育成を目指す資質・能力)、「何を学ぶか」( 教科・科目の編成)、「どのように学ぶか」( 学習過程)を主要な三つの軸とし、そのうち「資質・能力」はさらに「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という三要素から構成されるという基本構造となっている。従来の学習指導要領との対比で目立つのは、「育成を目指す資質・能力」をまず規定した上で、それを達成するために「教科・科目」と「学習過程」を学校現場で組み立てること( カリキュラム・マネジメント)が要請されており、かつその組み立てを「社会に開かれた形で」行うとされていることである。

学習指導要領も社会の実情に合わせて変えていかないと欲しい人材育成につながらない。学校側は学習の習慣を身につけさせ就職した後も様々な学習をする人材を輩出することを考えなくては社会貢献にならない。仕事を覚えるのに精一杯で新たなスキルを身につける環境にないのも問題。バランス良く仕事をしながらスキルアップを目指せる会社こそ本当に良い会社。そして高度なスキルを身につけた社員が流出しないように待遇面でもきちんと答えられる会社だけが生き残る。

教育に求められるものというのは時代とともに変化してきています。勉強の習熟度は高く平均点も他の国に対して高いのに大学のランキングは低い日本。より実践的なスキル獲得が必須となってきている証拠。

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