医師がすすめる少食ライフ｜石黒成治｜51Blog｜デトックスの実際、食事法のコツなどを提示

医師がすすめる少食ライフ｜石黒成治｜デトックスの実際、食事法のコツなどを提示

2022年6月16日

ここ最近のトレンド「食べないこと」。「空腹」「断食」「ファスティング」「デトックス」などの健康法が多数出回っています。中でも「何を、どの程度食べるのか？」は、大きなテーマ。心身を整えることからはじまって、デトックスの実際、食事法のコツなどを教えます。

医者の不養生な生活から、少食ライフの実践へ

食べすぎることを戒める言葉は古くから存在します。江戸時代の儒学者・漢方医である貝原益軒は『養生訓』の中で「珍しいものや、おいしいものに出合っても、八、九分でやめるのがよい。腹一杯食べるのはあとで禍がある」と食べすぎの弊害を説いています。益軒はいつも慎んで食欲を我慢しないと人は病気になると考えていました。一方で、 16 世紀のイタリアの貴族で１０２歳まで生きたルイジ・コルナロは『無病法』の中で節食の健康に与える影響について説明しています。食事を食べすぎる弊害については中国古典医学書『黄帝内経』やインド古代医学のアーユルベーダの教えにも記載されています。

少食にするといいのであれば、「食べなければいいんですね」と安易にとらえる人がいるかもしれません。しかしどのような栄養をとるか、どのような生活スタイルを送るかを明確にデザインせず、単に食べる量を減らしてみても、ほとんどの人が欲に勝てなくなります。ちょっとストレスがたまると甘いものを食べすぎたりして元の生活に戻ってしまいます。必要な栄養素を摂取すること、筋肉を落とさないように運動を行うこと、睡眠時間を確保すること、ストレスない生活を送ることができなければ、少食ライフを継続することはできません。

本書では満腹になるまで食べて寝ていた、医者の不養生を自ら実践していた生活を改善し、少食ライフを開始、継続していく方法についてお話ししていきます。現代人は、テレビ・雑誌・インターネットから食欲を刺激され続け、食欲に振りまわされ、知らず知らずに過食に陥っています。

飽食の時代ネットでお取り寄せなんか始めたらうまいものだらけでついつい食欲が。体重値が肥満になってからダイエットを開始して標準体重まで落としたらまた食べ出すの繰り返しです。美味しいものを前にしてどれだけ我慢できるかが肝。少しの量で我慢できるようになったらスリムな体型も健康も手に入る。

デトックスのすすめ

トイレが詰まっているのに水を流したらどうなるか？

言うまでもなく便器の中のものが溢れかえってきます。肝臓が頑張って毒素を処理した毒素は確実に体の外に出ていかなくてはいけません。

肝臓は胆汁という形で毒素を無毒化して腸の中に廃棄します。しかし便秘で腸が動いていなかったら、肝臓は詰まった便器にどんどん毒を捨てているようなもので毒素は一向に流れていきません。流れていかないだけですめばいいのですが、実際には毒素が再吸収されてしまうのです。

肝臓は最終的に抱合という処理で毒素を無毒化します。抱合とは別の化合物を合体させることです。女性ホルモンのエストロゲンはグルクロン酸という化合物を合体させて活性のない形に変えられて腸の中に捨てられます。しかし、腸内細菌の中にはこのグルクロン酸を外してしまうものも存在します。グルクロン酸が外れてしまうとエストロゲンは再び活性化します。その活性化されたエストロゲンは体内に再吸収されます。すなわち、腸内細菌はエストロゲンをもう一度吸収するか、便の中に捨てるかを決定する能力を持っているのです［Oncotarget. 2018］。とくにこのエストロゲンのグルクロン酸を外してしまう腸内細菌をエストロボロームと呼びます［Cell Host Microbe. 2011］。

エストロボロームによるエストロゲン代謝は近年注目されています。月経過多やひどい生理痛、更年期、閉経後の症状はエストロゲンともうひとつの性ホルモンであるプロゲステロンのバランスが影響しています。

多くの女性のホルモンバランスの異常はエストロゲンが相対的に過剰になるエストロゲン優位症によって引き起こされます。腸内環境が悪くなると、エストロゲンの再吸収が高まります。エストロゲン過剰になると乳がん、子宮体がん、卵巣がんのリスクが上がり、肥満などの影響が出ることが分かっています［J Steroid Biochem Mol Biol. 2000］。実際乳がんの女性の腸内細菌は、健康な女性のそれとは異なることが示されています［Int J Environ Res Public Health. 2018］。

腸内環境を良くする機能性表示食品も多く出回っているので常用している人もいるだろうが、便秘が治るだけでも効果はてきめん。デトックスを扱った本も溢れているのでそれらを一冊読んでみるのもよいかと思います。僕は気になるテーマがあったら深掘りするためにもう一冊手にとります。そうやって知識の重層化を図ることで欲を満たしています（笑）

少食ライフ。今はダイエットよりもお酒やおつまみを買い漁るフェーズなので難しいですが、本当にやばくなったらチャレンジしたいので知識として読んでみた。明日からできる5つの実践！！

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