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ドイツ人はなぜ、毎日出社しなくても世界一成果を出せるのか|熊谷 徹|7割テレワークでも生産性が日本の1.5倍の秘密

コロナ禍でのテレワークの普及によりドイツでは無闇に出社させない社会が出来上がってきている。好きな場所、好きな時間に働いて効率よく成果を出すのが当たり前に。オフタイムをさじ加減で調整しワークライフバランスを整えるドイツ人流・消耗しない働き方。

テレワークで生活の質が改善

テレワークで生活の質が改善

日本企業の大部分は、「テレワークはあくまでも例外」と考えている。だが私が住んでいるドイツでは、テレワークが例外ではなく、通常の業務形態の一部になりつつある。多くの企業がコロナ終息後も、テレワークを勤務態勢の一部にしようとしている。さらに政治家・経営者、組合関係者らが、将来のテレワークに関する法的枠組みについて 侃々諤々 の議論を行っている。

ドイツでも以前は日本と同様に、毎日出社して働くのが常識だった。しかし同国は、2020年春のコロナ禍勃発以降、テレワーク大国への道を歩みつつある。 日本では、「製造業にはテレワークの導入は不可能」という意見が強い。しかしドイツでは、製造業も含めてデジタル化を目指すことにより、より多くの人がテレワークをできる方向に経済全体を変えようとする動きが始まっている。

多くのドイツ企業はコロナ・パンデミックの第1波によって、初めて社員の大半にテレワークを行わせることを余儀なくされた。この体験を通じて、企業経営者・労働者たちは様々な発見をした。その結果、将来の働き方を大きく変えるための「テレワーク革命」が進んでいるのだ。ドイツはこれまでも世界で最もワークライフバランスが高い国の1つだった。だが、通勤時間がゼロになり、働く時間帯を自分で決めることができ、家族と過ごす時間が増え、同国での生活の質はテレワーク浸透によりさらに高まる。

7割在宅でゆったり働く

2020年春のコロナ・パンデミック第1波の際に、ドイツの企業は日本企業よりもはるかに積極的にテレワークを実施した。  フラウンホーファー労働経済・組織研究所(IAO)とドイツ人事労務協会(DGFP)は、2020年5月5日から 22 日までに、500社の企業を対象としてテレワークに関するアンケートを行った。同年7月に公表された調査結果によると、「社員にテレワークを行わせている」と答えた企業の比率は、コロナ禍勃発前には32%だった。だが、コロナ禍が始まって以降は、回答企業の70%が「全ての社員もしくは大半を自宅で働かせた」と答えた。

またベルリン商工会議所が2020年7~8月に約300社の企業経営者を対象に行ったアンケート調査でも、「コロナ禍の勃発以来、テレワークを拡大した」と答えた回答企業の比率は、65・8%にのぼった。

これらの意識調査から、2020年春のコロナ第1波の時には、ドイツ企業のほぼ6~7割が社員にテレワークを行わせていたことがわかる。これは日本の数字を大きく上回る。内閣府が2020年6月に発表した日本の就業者に対する意識調査の結果によると、「2020年春のコロナ第1波の際には、勤務時間の半分以上がテレワークだった」と答えた人の比率は21・5%に留まっている。

テレワークが普及しているにも関わらず、日本ではコロナが落ち着くと出社する方向に舵を切る会社がほとんど。なぜかテレワークだと上司の目がないから生産性が下がると思われている。ここはドイツに倣って7割在宅を目指した方が合理的。出社組が減れば小さなオフィスで事足りるので、オフィスの賃料も少なくて済むし会社にとってメリットが多い。そのことに気づいた若い会社は既にドイツばりのテレワークで業務を遂行している。乗り遅れないためにも今すぐテレワークに対する考え方を変えるべき。

部下の健康を守らない上司は降格

もう1つ日独間のテレワークの普及度に大きな差をつけたのは、社員の健康に対する考え方の違いだ。

ドイツの雇用者は従業員に対する「保護義務」を負わされている。 つまり雇用者は、労働安全法、労働時間法、母親保護法、差別禁止法などの様々な法律によって、従業員の健康と安全を最優先にすることを義務付けられている。この保護義務に違反した管理職は、上司や組合から厳しく批判され、最悪の場合には降格させられる。このため ドイツ企業の管理職は、「健康や安全よりも仕事優先だ」という態度は取らない。

その好例が、年配の社員の扱いだ。ドイツの国立感染症研究機関のロベルト・コッホ研究所(RKI)は、「新型コロナウイルスに感染した場合、 50 ~ 60 歳以上の市民や心臓病、糖尿病、肝臓病、腎臓病などの基礎疾患がある市民は、重症化する危険が高い」として、これらの市民を「リスクグループ(重症に陥る危険度が高い集団)」と位置付けている。

ドイツ人会社員のWさんは、 60 歳を超えている上に持病があり、毎日治療薬を飲んでいる。つまりRKIの定義によるリスクグループに属する。Wさんが新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する危険が高い。だがWさんが自宅から会社へ行くには、毎日1時間近く地下鉄やバスに乗らなくてはならない。自家用車での通勤もできない。会社側はWさんの説明を受け入れて、100%のテレワークを許可した。こうした例は、珍しくない。

社員は個人の事情を上司に説明して、週の内2~3回出社するか、もしくは100%テレワークにするかを決める。もちろん社員は、会社側が要請した場合、自分がリスクグループに属することを医師の診断書などによって証明する必要がある。証拠の提示を求めない会社もある。

さらに、社員本人ではなく、配偶者や子ども、一緒に自宅に住んでいる両親などがリスクグループに属する場合も、経営者は社員に出社を強制しない。万一オフィスで社員が感染した場合、社員の自宅に入り込んだウイルスが家族にうつって重症化させる危険があるからだ。

もちろん上司にとっては、部下が全員オフィスにいる方が仕事を進めやすい。しかしこの国では社員の健康と安全を守るという「保護義務」が最優先となるため、上司は健康不安を持つ社員に出社を強制してはならない。リスクグループに属する社員が上司から出社を強制されたら、その人は組合に駆け込むだろう。

日本ではいまだに部下を精神的に追い詰め、離職させるような上司が多くいる。このような上司はパワハラで降格させてしまう企業風土を醸成させた方が良い。会社を挙げて健康増進(心の健康も)を図る会社に勤めたいものだ。よくあるのが、我が社はアットホームな雰囲気で働きやすい職場ですと言いながらその連帯を逆手に取りブラックな働き方をさせる企業。会社がアットホームである必要はなくそれよりも働き方がきちんと現代的である会社を選ぶべき。

ドイツの7割テレワークに習うべく、働き方について考える書籍。生産性アップはテレワーク下でもできるという実例をもとに日本のワークライフバランスについて見直していく。

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