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『大人の語彙力が面白いほど身につく本 LEVEL2』

のっけから恐縮ですが、次の言葉のどこが間違いか、おわかりでしょうか?

  1. いさぎがよい
  2. 相手をたじろかせる
  3. 大勢の人出でにぎあう

1の「いさぎがよい」は「いさぎよい」が正解。「いさぎ」という名詞は存在しないので、助詞の「が」を含む形は作れないのです。また2の「たじろかせる」は「たじろがせる」、3の「にぎあう」は「にぎわう」が正しい形です。日本語には、言い間違い、読み間違い、書き間違いやすいポイントが無数に潜んでいます。そうした誤用の中から、辞書を引いても、なかなか気づきにくい言葉を揃えた書籍です。

読み間違えると、大人の沽券にかかわる日本語

一言もない  ×ひとこと→◯いちごん

言い訳のしようがないという意味の慣用句としては、「いちごんもない」と読む。一方、「詫びの一言もない」は「ひとこと」と読む。

家捜し  ×いえさがし→◯やさがし

「家捜し」は、家の中を残らず探すこと。「家探し」は、住む家をさがすこと。おおむね、「捜す」は「犯人や証拠など、見えないものを捜す」、「探す」は「必要やニーズに応じて探す」と使い分けるのが基本になる。

急坂  ×きゅうざか→◯きゅうはん

この語は、重箱読みではなく、共に音読みにして、「きゅうはん」と読む。

手紙を認める  ×みとめる→◯したためる

「認める」は、同じ形で「みとめる」とも「したためる」とも読む。多くは「みとめる」と読むが、文章に関連するときは「したためる」(書くという意味)と読むケースがあるので注意。

「認める」や「家捜し」は読めたが、「一言もない」「急坂」は間違った読み方をしてしまった。普段から使う「詫びの一言もない」の「ひとこと」に引っ張られて、「いちごん」と読めなかったり、「急坂」などは「急な坂」と表現することが多く、それに引っ張られ、「きゅうざか」と呼んでしまいがち、一度間違えば、頭に残るのでこれからは大丈夫だろう。

読めなきゃ使えない言葉

ブナ林  △ぶなばやし→◯ぶなりん

樹の名に「林」がついたときは、「松林」「杉林」など、「はやし」(ばやし)と読むことが多いが、「ブナ林」は「りん」と読む。

濃紫  ×こいむらさき→◯こむらさき

黒みを帯びた濃い紫のことをいう。なお、「小紫」は同じ読みで、蝶や有名な遊女の名である。

盗人  △ぬすっと→◯ぬすびと

放送局では、「盗人」は「ぬすびと」、「盗っ人」は「ぬすっと」と読み分けている。一方、辞書には「盗人」を「ぬすっととも読む」としているものが多い。

創業家  ×そうぎょうか→◯そうぎょうけ

企業の創業者の家系。某局の7時のニュースで、女子アナがソウギョウカと読み間違い、謝ることになった言葉。

「盗人」と「盗っ人」の読み分けとか、「創業家」の読み間違いとか、やはりアナウンサーなど言葉のプロに対して世間は厳しいのだなと思った。「ブナ林」「盗人」は△になっているので、読み間違えてもさほど問題にはならないようだ。こうやってみていると、漢字の読みは意外と間違って覚えているものが多いことがわかる。パソコンのワープロソフトでも最近では間違った読みを入力しても補正して変換候補を表示してくれるものもあるくらい読み間違いに関しては寛容だ。しかし、知っていて損はないのでこれを機に覚えておこう。

あの言葉、知っている人は絶対間違えません

△ビニール袋→◯ポリ袋

今のゴミ袋やレジ袋は、ビニール製ではなく、ポリエリレンやポリプロピレンで作られている。

×処女航海→◯初めての航海

新聞社などでは、初めてという意味で、「処女」という言葉は使わないことにしている。「処女小説」「処女作品」「処女峰」などは少なくとも大手マスコミでは死語化している。

僕は父親が石油樹脂関連企業に勤めていたので、「ビニール袋」ではなく「ポリ袋」だと指摘されて育ったが、未だに時々ビニール袋と誤用してしまう。初めてという意味で「処女」を使うのが死語化しているというが、テレビでは未だに「処女作」「〇〇童貞」という表現が出演者によって使われていて、プロであるアナウンサーを除けばまだまだ死語化とは言えないのではないかと思う。

まさかそういう意味だったとは!

入籍

「入籍」と「結婚」は同じことではない。戦前の民法では、女性は結婚すると実家の戸籍をはずれ、夫の戸籍に入った。だから、結婚=入籍だったのだが、戦後の民法では、結婚すると、新夫婦は新戸籍を作るのであって、妻が夫の戸籍に入るわけではない。だから、結婚=入籍ではなくなっている。

確信犯

本来の意味は、「政治的・宗教的な確信にもとづいて行う犯罪(者)」だが、文化庁の「国語に関する世論調査」によると、その正しい意味を知っていたのはわずか17.0%で、69.4%もの人が「悪いことと知りつつ、行う犯罪(者)」と思っていた言葉。

よくテレビを見ていると「入籍しました」と芸能人が報告する場面を目にするが、これは間違いということになる。しかし、ここまで根付いた言葉を用法が間違っているからといって、訂正し世間に周知させるには時間がかかると思ってしまう。「確信犯」などもその一例。69.4%もの人が間違いに気づかず普段から使っている言葉の正しい意味への誘導は難しいのではと思ってしまう。一部の知識のある人が異論を唱えるだけでは誤用は減らないだろう。

前回の、書籍『大人の語彙力が面白いほど身につく本』に続く第二弾だが、ブログなどで日々文章を綴るものとしては参考になるものだった。社会人なら覚えておきたい読み間違えなどの誤用が満載。語彙力を高めたいと思っている人にはおすすめです。

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