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『すぐに未来予測ができるようになる62の法則』日下 公人

時代の変化を恐れるなかれ。変化があれば、チャンスがある。「未来予測の達人」が、予測のための「法則」を大公開。何しろ、未来がわかればこんなにラクな話はない。結果を見てから馬券を買って換金するようなもの。人生、経済、日本はこう変わる。だから上昇気流はこうしてつかめ。

「普及率」の法則

モードとファッションの違いをご存じだろうか。モード、ファッション、スタイル、礼服という言葉の違いは、流行の「順番」を表したものだ。新しい様式が最初に出てきたときが「モード」で、やや時を経て世間に広がった状態が「ファッション」と呼ばれる。さらに時を経て大多数が採用すると、これが「スタイル」。そしてスタイルとなったものの一部は、最後には日常生活とほとんど無縁の「礼服」となり、しだいに社会から消えていく。たとえばネクタイである。歴史的に見ると、古くは古代ローマ時代の軍人が用いた首巻が起源とされているが、現代のネクタイの直接的な起源は、クラバット(cravat)──つまり、十七世紀に外人傭兵としてパリにやってきたクロアチア人の首巻であった。当時のパリジャンにとって、このクラバットは、いかにも田舎者の粗野なオシャレに見えたことだろう。だが、上流階級の一部のモノ好きがこれに飛びつくと、ネクタイは先端のモードとして、フランス社会に登場することとなった。以後、このクラバットに磨きがかけられ、レースや刺繍をしたスカーフ状のネクタイが登場し、結び方の新工夫などもあいまって、これがフランス貴族社会のファッションとして流行するようになった。

パーティーなどの装いも時代とともに変化してきている。昔では考えられなかったが、デニムパンツがOKな場合も。ファッションがスタイルとなり定着した証だろう。流行の順番を意識すれば個々の格好が今どの局面にあるのかがわかるだろう。

「五感」の法則

一番原始的で昔からあるのは触覚で、その次が鼻(嗅覚)である。  したがって鼻に対する刺激は、その人を動かす力が非常に強い。目などは一番最後にできているから、目で教えてもなかなか人は動かない。しかし、いい匂いをかがせるとスッと寄ってくる。いわゆるウナギ屋商法で、最近ではコーヒーチェーンとして世界的に成功したスターバックスがやっている。いい香りをさりげなく外へ出し、お客さんは吸い込まれるように店に入る。もっとよいものをたくさん食べるために、次には歯が生えたり舌ができてくる。嗅覚と味覚は非常に野蛮な神経で、物質にぶつかって反応している。タバコの煙が鼻の粘膜に当たると、ごく微量でもタバコの匂いがするのは物質に感じているのである。味覚も同様。直接接触しないと感じない。耳になると音波に感じるのだから、かなり高級である。その次に目ができる。目は光に感じるから、もっと高級な仕掛けが必要で、それによって微細なものをとらえている。そういう順番で五感が発達していく。

言われてみれば確かにスタバの前を通ると、コーヒーのいい香りが外に漏れている。あれわざとだったんですね。触覚の次に発達したと言われる嗅覚。原始生物にもあったこの感覚は僕たち現代人の中でも比較的上位の感覚であると言えるのだ。

「発展段階」の法則

食べることも着ることも満たされた。おまけに暇な時間もたっぷりある。そうなったときに、人間が最終的に行き着く快楽は何だろう。それは、寄り集まって会話を楽しみ、知的刺激を交換し、情感の共有を確認しあうことである。これ以上の快楽はない。これをなるべくお酒落にやったのがサロンである。これからの日本では、このような欲求がどんどん高まるだろうし、おのずとビジネスチャンスが生まれることだろう。サロンの原型は、ルネッサンス以降の中世ヨーロッパの貴族社会にある。おしゃべりを盛り上げるには、それなりの舞台装置が必要である。センスのいい室内装飾が置かれた部屋。ゆったりとくつろげる香り。心地よい音楽。その場所は、貴族の夫人や愛人やそれを職業とする女性の部屋であった。彼女たちがマダムと称して、サロンの 主 となる。そこに男たちが集まってきて、気ままに飲んだり食べたりしながら、エスプリの利いた言葉をやりとりする。王侯、貴族、芸術家や学者もサロンに招かれる。またはパトロンになる。その話が刺激剤となって、言葉のやりとりという知的ゲームに拍車がかかる。このサロンで育てられ、世に出た芸術家は数多い。いや、近代以前のヨーロッパの芸術家は、ほとんどがサロンの洗礼を受けることによって芸術家となったといっても過言ではない。ヨーロッパ文化とはサロン文化の別称である。

最近ではネット上でもサロンを運営する人が増えている。有名人ともなれば結構な会費をとってそれが商売につながっている人も結構いる。それでもそこに集まってくる意識の高い人同士の交流は意味あるものなのだろう。

変化の早い時代、これからは未来を展望する能力も重要になってくる。それには情報収集能力が欠かせない。この本では、すぐに未来予測ができるようになるために大事なことはにかを解説してくれる。62の法則で自分なりに未来を見据えてみよう。

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