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「一流の人は、本のどこに線を引いているのか」ビジネス書の選書からきになるフレーズの抽出法まで

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出版マーケティングコンサルタント、そしてビジネス書の書評家としての土井氏のビジネスは究極的にはこの一行に凝縮されているという。民俗学者、梅棹忠夫氏の名著『情報の文明学』(中央公論新社)に引かれている「情報の時代には、情報の批評家ないしは解説者が不可欠である」という部分。ブログに感想をアップするようになってから本を読むとき気になったところに付箋を貼ったりするようになったが、プロはどのような一行に線を引いているのか気になって手に取った。

「おもしろいかどうか」はどうでもいい

もしあなたが、本の感想を聞かれて、「おもしろかった」「つまらなかった」などと答えているとしたら注意が必要だ。そこから何を感じたか、自分の世界をどのように広げられそうか、を答えたい。それが答えられないのだとしたら、あなたの目的意識が薄いか、その本に価値がないか、いずれかだろう。

確かに小説なんかと違い、ビジネス書は面白いかどうかは重要ではない。そして「書評」なんていらないとも土井氏は言う。読書は「書評」を書くためにするものではなく、自分が主であり、本は従だ。その本から必要な部分を取り出し、自分のなかに練り込んでいく作業こそが、読み手のやるべきことだろう。土井氏の書評は、その本から自分自身が何を取り込んだかを説明している。本の内容よりも自分自身の変化を述べることにしているという。現在の自分に不足している部分を補うため読書をするのだ。

僕の場合大学も中退しており、今まで読んできた本の数も普通の人に比べ圧倒的に少ないので興味がありそうな本を手に取れば何かしら得るものがある。スッカスカのスポンジ状態の脳だからだ。情報でヒタヒタになるまで本を読み忘れないうちに感想などを書いてアウトプットしておく。1日1冊ペースを守り半年以上になるが読んでいる際に病気の発作が起こり思考停止状態になって1ページ読むのに30分かかったりすることもある。自分に課した目標だがこれが目的になってはいけないと著者は言う。

「全部読まなければいけない」という病

P・F・ドラッカーの『マネジメント』(上田惇生・編訳、ダイヤモンド社)を手に取ったことがある人は、その量を思い出してほしい。内容を凝縮した「エッセンシャル版」でも文字がびっしり詰まって320ページ。同社刊の『ドラッカー名著集』における完全版となると、3巻合わせて1000ページを超える。では、あなたは全てを読むべきだろうか?答えは完全に否である。『マネジメント』のような本は、全てを網羅している。だからこそ、全てを一気に読む必要はない。いま、あなたが気になる部分だけ辞書的にピンポイントで開き、いくつか線を引けばそれでいい。

僕は1日で1冊読みきりたいタイプなので、どうしても大著の類は敬遠しがちだ。買うだけ買って読まずに置いてる本や読んでは見たもののさっぱり意味がわからないヘーゲルの『精神現象学』や少し前に話題になってたので読んでみたトマ・ピケティの『21世紀の資本』だが読了後、累進課税推しになっただけという恐ろしく低脳な僕。全部読まなければという呪縛はどうしても拭いきれず、役に立ちそうにない本も最後まで読んでしまう貧乏性です。

好きな著者の本ばかり読むな

ビジネス書の読書には、いくつかの罠がある。そのひとつは、好きな著者、自分と価値観の合う著者の本ばかり読んでしまうことだ。小説であれば好きな作家の本ばかり読んでもなんら問題はないが、ビジネス書の読書は「消費」ではなく「投資」だ。自分を気持ちよくさせてくれる著者の本だけを読んでいたのでは強くなれない。

これは陥りがちな罠だ。なんとなく題名だけ見て買ったつもりが、また同じ著者だったり、あるいは同じテーマで何冊も書いてる著者だと自然とまた買ってしまい、読了後、前回の本と同じような内容にがっかりすることも。ビジネス書に限らず、娯楽以外の読書全般に言えることではないだろうか。偏った考え方を植え付けられないよう注意したいものだ。

11の読書戦略

  1. 経営者本は「創業者」か「中興の祖」を選ぶ
  2. 「プロフィール」で本物か偽物かを見極める
  3. 著者は「一流の変態」を選ぶ
  4. 「コンサルタント」から学ぶのは王道の戦略
  5. 著者が「専門外」を書いていたら避ける
  6. 本の「タイトル」にだまされない
  7. 「固有名詞」の多い本を選ぶ
  8. 冒頭の数ページで「いい線」が引けそうな本は買い
  9. 膨大な「データ」に立脚した本を選ぶ
  10. 「翻訳書」は良書の確率が高い
  11. 「箇条書き」に注目する

これらを満たすにはやはり実店舗に行き立ち読みして中身を確認せねばならず面倒。地元に文教堂の本店があるが買うのはほとんどAmazonでハズレをつかまされることも多い。とくに自己啓発やコーチングに関する本は巻末にセミナーのご案内などが載ってるものもあり、本の内容見てセミナー行く人もいるんだなと逆に感心してしまう。

ジョコビッチがボリス・ベッカーをコーチにした理由

ジョコビッチはもともとサーブのスピードがさほど速い選手ではなかった。そこで、現役時代に高速サーブで相手を圧倒してきたボリス・ベッカーをコーチに招聘し、その秘訣を徹底的に伝授してもらったのだろう。事実、彼のサーブは年を追うごとに磨きがかかっているし、サービスエースの数も確実に増えた。つまり自分の弱みを埋める「部分練習」をしたのだ。

ジョコビッチのような一流の選手でも部分練習を欠かさない。小さな頃ピアノの練習で右手と左手の片方ずつ練習してから両手で演奏する練習へとステップアップしていったのを思い出す。読書も同じで、自分に足りないところを補ってくれるような内容のものを選ぶようにすれば少しずつ成長につながると信じて選書していきたい。

一流になるための8つの「部分練習」とは?と題し、ビジネスパーソンに向けた弱点克服のための読書法やおすすめの書籍なども書かれており、巻末には著者が引いた44本の線が書籍とともに紹介されている。機会があったら読んでみたい。

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