行動経済学、学ぶだけではもったいないので使っていきましょう。「ナッジ」の作り方を解説しながら人間の行動特性を踏まえ、自由な選択を確保しつつ、可能な限り良い意思決定、行動を引き出す。
達成できない目標
日本では 4 月が新しい年度の始まりである。会社や大学のキャンパスに新入社員や新入生が入ってくる。新入社員や大学生の中には 1 年間であっという間に成長していくものもいれば、せっかくの成長の機会を十分に生かせない人もいる。多くの人は、なんらかの目標をもって新年度を迎えているのに、それを達成できる人とできない人がいる。彼らを分けるものはなんだろうか。
目標を立てても達成できない原因には、どのようなものがあるだろうか。努力はしたけれど運が悪かったということもあるはずだ。しかし、一番多いのは、目標は立てたけれど、行動が伴わなかったということではないだろうか。体重を減らすという目標を立てても、運動するとか、食事に気をつけるという行動がなければ、目標は達成できない。なぜ、目標を立てたのに、それを実行する行動が伴わないのだろうか。どうすれば、目標と行動のギャップを埋めることができるだろうか。
計画した目標を実行できないことを、行動経済学では現在バイアスで説明することが多い。すでに説明したように、現在バイアスは、将来のことは我慢強い意思決定ができるのに、現在のことについてはせっかちな意思決定しかできないことをいう。もし、現在バイアスが、目標を達成できない理由ならば、先延ばしをすることが難しくなるような状況に自分を追い込むことが解決策だ。最初の計画を達成するように、計画を変更した場合に大きな罰則を科すのもいい。
計画した目標が達成できない理由の一つには、目標そのものを忘れてしまうというものもある。仕事の課題の締め切りに遅れる理由の一つは、多くの課題を抱えていて、一つ一つの仕事の締め切りを忘れてしまうことである。あるいは、課題そのものを忘れてしまうこともある。そのような場合、課題が提出されていないという催促があってはじめて、仕事に取り掛かるということもあるだろう。
このように目標や課題をしっかりと記憶できていないか、記憶が薄らいでくることが、課題を達成できないことの理由であるならば、それを忘れないような仕組みを整備しておけば、目標達成が可能になる。カレンダーに記入して、リマインドメールを送るように設定しておけばいい。
目標が達成できないもう一つの理由は、目標があっても、それを達成するために毎日何をすればいいのかがはっきりしないような計画になっているというものである。私たちは、目標をもっていても、それを達成するために何をするかということにまで落とし込まないと、毎日の行動として実行することができない。
目標達成が頓挫する原因はほぼ行動が伴わないなど内的理由だ。ダイエットしようと決めたのに必要以上に食べてしまったり、筋トレを面倒だからとサボったり。勉強も同じ。人間はほっとくと楽しようとする生き物なのでこうした現象は日常茶飯事。そこをコントロール下に置けるかが鍵。毎日やることを事細かに設定しそれを実行するためのチェック体制をきちんととるなどして目標達成がきちんと行われるか見ていこう。
保険料負担の問題
一般の人の理解
税金や社会保険料を本当に負担しているのは誰だろうか。一般的には、あるいは法的には、税を支払っている人と税を実際に負担している人は同じだと考えられている。社会保険料の事業主負担と労働者負担のことを考えよう。事業主負担分の社会保険料は事業主が払っていて、実際にも事業主が負担していると多くの人は考えている。雇用保険の事業主負担についての使い方を議論する際に、「集められた保険料は事業主に還元されるような使い方をすべきである」という議論がなされることも多い。
「社会保険料の雇用者負担分を減らして事業主負担分を引き上げよ」という主張を労働組合が行うこともある。社会保険料の事業主負担分が、労働者の負担になっていないという考え方をしているのは労働組合だけではない。厚生労働省も、事業主負担分は労働者には負担されないという考え方をとっている。
例えば、厚生労働省は、「第 4 回社会保障の教育推進に関する検討会(平成 24 年 3 月 23 日)」で「社会保障の正確な理解についての 1 つのケーススタディ~社会保障制度の〝世代間格差〟に関する論点~」という資料でこう説明している。この資料では、「厚生労働省の厚生年金における拠出と給付の関係では、〝事業主負担〟を入れていない」と記して、公的年金の事業主負担を労働者の負担だと厚生労働省は考えていないと述べている。
この理由として、厚生労働省はつぎの 2 点を挙げている。第一は、労働者は事業主負担を自分の負担だと認識していないというものである。具体的には、「事業主から見ると、〝事業主負担〟は、従業員に対して負担している額として計上すべきと主張するかもしれないが、従業員からするとその分を負担しているという認識は薄い」と表現されている。
この理屈が成り立つのなら、負担している本人に負担の認識が薄ければ、本当は負担していたとしても負担していることにならない、ということになる。損害賠償請求なら、損害を受けているという認識が損害を受けた人にないと、損害はなかったということになるのかもしれない。しかし、国の政策として、一種の錯覚によって負担感が少ない人に実質的に負担させるというのは、問題である。負担が少ないと思っていたのに、実質的に負担していたことに労働者が後になって気がついたなら、別の政策を支持すべきだったと後悔するかもしれない。
保険料の負担は自分自身に返ってくる大事なもの。パートの収入の壁問題などで社会保険に加入するだけ働くのを嫌がる人も。扶養から外れるデメリットを考えるのだが、会社が許すなら働いたほうがいい場合も。いざという時、厚生年金などを払い続けていれば保証になります。事故やなんかで障害を負った時にも役に立ちます。そんな確率の低い可能性のためにお金を払うのは嫌だという人は仕方がないが、大抵の人はいざという時の備えを自身の貯蓄で賄えるほどの貯金を持ってない。なので、社会保険料を払ったりや自身で保険の加入するわけだ。もちろん、いざという時も大丈夫なぐらい貯蓄がある人は保険の加入はデメリットになる場合も。
行動経済学を日常生活に落とし込む方法をレクチャー。さまざまなシーンで生きてくる行動経済学の美味しいところを味わい尽くそう。
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