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リープフロッグ 逆転勝ちの経済学|野口 悠紀雄|日本は、なぜ中国に追い抜かれてしまったのか?

なぜ経済大国だった日本は中国に追い抜かれてしまったのか?その秘密は「リープフロッグ」!!遅れてきたプレイヤーが先行者をカエルのように飛び越えていく様子からそのような言葉ができた。中国でアリババをはじめとするテック企業が急成長した理由の一つが銀行や固定電話が普及しておらず、スマホ利用に移行しやすい状況があったため。そして、世界の覇権争いの歴史を振り返ると、リープフロッグ=逆転勝ちの連続だったといえる。

精華大学が最先端分野で世界一になった理由

イギリスの教育専門誌 Times Higher Education(THE) が2019年9月に発表した2020年の「THE世界大学ランキング」によると、アジアのトップは中国の清華大学(世界 23 位)、第2位は北京大学(世界 24 位) です。東京大学(世界 36 位) は、アジア第5位でした。世界の上位200校に入る大学数は、中国が7校であるのに対して、日本は、東京大学と京都大学の2校のみです。

最先端の分野では、中国の躍進ぶりはもっと顕著です。コンピュータサイエンスにおける大学のランキングを、 U.S. News & World Report 誌が作成しています。

それによると、中国の清華大学が世界第4位(2017年には第1位) でした。日本のトップである東京大学は、世界ランキングでは第 94 位です。

リープフロッグする中国の大学

なぜこのような状況になるのでしょうか? 中国政府が基礎科学の研究を重視して支援しており、巨額の資金を投入しているからだと説明されます。確かに、そうした事情はあるでしょう。

しかし、それだけではないように思われます。これは私の想像ですが、ここでも、リープフロッグが生じているのではないでしょうか? つまり、伝統的な分野に縛られることなく、最先端の分野に人材や資金を集中できるからではないでしょうか?  そして、それができるのは、中国の大学では、伝統的な分野の力が強くないからだと思われます。

そうなったのは、文化大革命によって、大学が破壊されたからです。清華大学は、文化大革命で紅衛兵の拠点となり、それまでの教授陣が一掃されてしまいました。中国の高等教育と研究のシステムは、ここで全面的に破壊され、過去との連続性が失われ、伝統が引き継がれなくなってしまったのです。いわば、焼け野原になってしまったわけです。  こうした状態のところに、1980年代以降、能力のある若い研究者たちがアメリカに留学し、帰国してから、何もないところに新しい分野を築き上げていったのだと思われます。

日本の大学は研究に関する予算が少ないのだと思います。それが研究分野で世界と差がつく原因かと。国の援助と投資家などの資金流入が少ない日本から優秀な人材がどんどん流出していきます。その結果学生も集まらず、日本の優秀な学生は海外の大学へと進学してしまいます。そのループから脱さないと日本の大学が浮上するこよはないかと。

日本の急速な工業化は、超効率的なキャッチアップ

「リープフロッグ」というより「キャッチアップ」

19 世紀末から 20 世紀初めの第2次産業革命に、少し遅れて、日本も加わりました。日本の国家体制は明治維新で大きく変わりました。これがその当時の中国との大きな違いです。そして工業化に成功し、欧米列強と肩を並べるまでになったのです。

ただし、これは、「リープフロッグ」というよりは、「キャッチアップ」というのが適切なプロセスでした。この違いについては、第1章の9「中国の成長は、これまでの経済発展論では理解できない」で説明しました。

先進国ですでに導入されている技術を導入した場合がほとんどで、日本が自ら新しい技術を開発したわけではなかったからです。「新しい技術を自ら開発して古い技術に囚われている先発国を追い抜いた」というよりは、「先発国で開発された技術を導入して、先発国に追いついた」という面が強かったのです。

後発国は、新技術の発明と開発に必要な多大のコストを負担することなしに新しい技術を用いることができます。したがって、先進国より簡単に経済成長を実現することができるのです。明治維新後の日本の工業化が急速だったのは、それがキャッチアップ過程だったからです。

ただし、イギリスと違って、第1次産業革命を基礎とした産業や社会体制が確立していなかったのは事実です。したがって、イギリスにおけるように古い技術と社会構造が、新しい技術の導入の妨げになることはありませんでした。その意味では、リープフロッグ的な要素があったということもできます。

0から何かを生み出すのは苦手な日本。携帯電話とウォークマンはあったのにそれを組み合わせる発想がなかった。スマホで遅れをとった日本は世界シェアを取ることなく低迷。メイドインジャパン信仰者にのみ受け入れられるという結果に。先行者の真似であるキャッチアップではリープフロッグのように相手を飛び越えることはできない。

中国の躍進を支えた大学教育や先進技術の普及。国が発展に積極的に関与することで先進国としての地位を確立。その原動力となった様子をリープフロッグという言葉と共に解き明かす。

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