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経済学を味わう──東大1、2年生に大人気の授業|市村 英彦,岡崎 哲二,佐藤 泰裕,松井 彰彦

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分配の公平性

市場の失敗への対処と並んで、 公共経済学が取り組むもう1の重要な課題は、分配の公平性をどう実現するかである。 しばしば私たちは、人々の間での所得や資産の格差を見て、不公平や不平等の問題を感じる。 所得を獲得する手段は働くことだ。そこから得る労働所得は、労働を提供した本人の努力や勤勉さなどを大なり小なり反映するので、 その意味では、人々の間で所得の格差があっても、あるいはあるからこそ公平だといえるかもしれない。

しかし市場では、そのような観点で見たとしても容認できない ほどの所得格差が生じる場合もある。 そもそも、 先天的な能力や、 病気・事故など、 その原因を本人に帰することができないものが、 労働市場を通じて所得格差を生むとしたら、 市場は不公平を助長する役割を果たしていることになる。 また、 自分の努力とは無関係に親から多額の遺産などを受け継ぐ人もいる。 本人がどれだけ 努力しても、到底容認できず、また解消しえないような格差がある世の中であれば、 努力することさえ諦めてしまうかもしれない。 市場の価格調整は、1人ひとりの所得や資産の状況に応じて行わ れるわけではない。 市場では公平な分配が保障されないことを、 広い意味での市場の失敗ということもある。 そのため、市場における価格調整メカニズムでは果たすことのできない、平等で公平な社会の実現については、所得や富の再分配を行うことを通じて、政府にその役割が期待されているのである。

所得や富の再分配。世の中どうしてもお金があるところにお金が集まりがち。普通にサラリーマンをやっている人より元々遺産相続なんかでお金がある人の方が圧倒的に高所得だったりする。投資で得たお金などが最たる例。今の日本では一応所得によって税金が上がる仕組みになっているが一億を超える所得がある人についてはそのパーセンテージが和らぐようになっている。そこを改善するだけでも公平になると思うのだが高額所得者は権力を持っているのでその力を発揮し、そうならないよう働きかけるだろう。分配の公平性を今一度考えてもらいたい。

所得分配とは

ここまで、一国単位の国民所得を増やしていくために、 経済政 策はどのようなことができるのかということを説明してきた。本節では、そうして生産された一国内の付加価値をどのようにして 各家計に配るのかという、所得分配に着目する。

経済学では、誰にどの財をどれだけ割り当てるかという、 「資 「源配分」の問題と、 誰がどれだけ所得を得ているかという 「分配」の問題を切り分けて考える。 厚生経済学の基本定理に見られ るように、 経済学が威力を発揮するのは資源配分の効率性の問題であり、望ましい分配は何かという問題には立ち入らないことが 多い。しかしながら、市場経済がどのような分配をもたらすのか については、 経済学なしでは分析できない。

よくいわれるように、所得分配には非常に大きな偏りがある。 貧しい人もいれば、お金持ちもいる。 アメリカの場合、典型的な 労働者の年収とその労働者が勤めている会社の社長 (CEO) 所得を比べると、 200倍以上もの格差がある。この差はどのよう にして生じるのだろうか。

生産物を売り上げて得られた国民所得は、 本源的生産要素である労働と資本に分配される。 労働と資本の大きな違いは、労働が年々の労働時間というフロー量であるのに対し、 資本は年々の投 資を蓄積して築かれるストック量であることだ。 労働の価格である賃金が揺れ動いても、労働時間には上限がある以上、 労働所得の振れ幅には上限がある。 一方で、資本の対価である金利が揺れ動くと、資本所得は大きな違いを生み出すことになる。資本蓄積に上限はないからだ。

このことから、蓄積可能な生産要素である資本に対する所得は、労働所得とは異なって大きな格差を生み出しうることがわかる。 リスキーな事業に乗り出した企業家を考えてみよう。 企業家は年々ランダムな資本リターンを得て、受け取った資本所得を再投資している。この企業家が蓄積した資本は、指数関数的に成長しうる。 4節の経済成長の項で見たように、 指数関数的成長では、 成長率のちょっとした違いが結果的に何倍もの違いを生み出す。 実際に、所得トップ1%層の所得分布は、その他99%とは異質な、 裾密度の重い形状に従うことが知られている (発見者にちなんで 「パレート分布」と呼ばれる) 企業家の倍々ゲームによって、こ のように大きな所得格差を説明することができる。

注意したいのは、富裕層の富の源泉は昔と今では大きく変わっているということである。 19世紀より昔の時代は、広大な土地を 持つ地主や貴族がいて地代で暮らしていた。 しかし、 20世紀を通 じて、こういった人々はいなくなってしまった。 現在台頭している新しい大金持ちは、地代で生活する貴族のような人たちではなく、ものすごく働いている。 アップルを創業した故スティーブ・ ジョブズ、アマゾンのジェフ・ベゾス、ソフトバンクの孫正義など、いずれにしてもものすごく働いている。 現代の新興富裕層の 特徴は、ワーキングリッチだということである。 彼らワーキング リッチが示しているのは、現代の重要な生産要素は単なる物的資本ではなく、働く企業家自身に蓄積された経験や人脈などの「人 的資本」に変わりつつある、ということかもしれない。

ワーキングリッチについては格差が生まれるのは仕方がないことかとは思うが、それでももう少し公平性を保った税制に変える必要がありそうだ。元々そういった人たちは使いきれないほどお金を持っているので投資に回す傾向がある。そこで経済が循環するのだが、さらに格差が広がる傾向に。リスクをとっているのだから仕方がないと考えるか、それとも投資で得たお金は貰いすぎであると非難するべきか悩ましいところだ。

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