日々生活する中で受け取るさまざまなシグナル。そんな無数のシグナルの中から信じるべきシグナルを選別し「悪いシグナル=ノイズ」を排除する方法を指南。本当に集中すべきシグナルを見落とすな！
「主流では戦わない」という覚悟が努力の才能を生む
シスコ元ＣＥＯジョン・チェンバースの秘密
シスコの元ＣＥＯがひた隠しにしてきたこと
シリコンバレーにシスコという会社がある。世界最大手のＩＴ企業であり、世界中のインターネットのシステムが、その多くをシスコに頼っている。もしシスコの機器に問題が生じれば、世界中のインターネットが瞬時に不通となる。
この会社のＣＥＯを務めていたのが、ジョン・チェンバースだ。
重責を担うチェンバースだが、彼には誰にも言えない秘密があった。彼はそれについて何十年も口を閉ざし、静かに自分だけの胸の中に秘めていた。
しかしその秘密は、思いがけない場面で世間に知られてしまう。
チェンバースは毎年社員の家族を会社に招待する日を設けていた。毎年約５００人の子どもたちが、世界で重要な役割を担っている両親の姿を、ヒーローを見るかのような 眼差しで見つめた。
子どもたちとの時間を楽しんだチェンバースは、イベントの終盤にいつも１人を指名して直接質問を受けていた。
その年もある女の子にマイクが手渡された。
しかし、その日は何かが違った。少女はしばらくしても黙ったままで、会場は静寂に包まれた。緊張のせいではなかった。ただ言葉を発せずにいたのだ。
あがり症なのだろうか？ しばらくして数百人の前で静かに涙を流し始めた少女の姿がカメラに映った。
そして、ようやく少女が口を開いた。
「私には学習障害があって、思っていることを上手く話せないんです」
そのとたんに会場にはどよめきが起こり、数百人の親とその子どもたちがささやきながら、マイクを握る少女を見つめた。
偶然にもマイクを渡された子が学習障害。彼女は困ったことだろう。しかしよく自分から学習障害があってうまく話せないことを告白できたと思う。僕ならカッコ悪くて隠してしまいそうなシチュエーションだ。
すべての悪いシグナルを断ち、内なるシグナルを信じよ
心理学者スティールが研究したシグナルの力
スティールはなぜ、シグナルに注目したのか？
本書でも何度か登場したスタンフォード大学の心理学者クロード・スティールは、実は黒人だ。
両親は息子に、「高校を出たら就職するように」という当時の黒人社会では平均的なシグナルを送ったが、スティールの瞳は大学を見つめていた。 社会の平均的なグラフを覆すときには「この青年はどれだけ本気なのか」というシグナルと戦わなければならなかったが、スティールにもそれを乗り越えるだけの確固たる意志があった。
しかし不思議なことに、一度「できない」というシグナルを受けたまわりの生徒たちは、いくら学問の道を広げても再び立ち上がることはできなかった。
スティールは次のような研究結果を発表した。 「ハーバード、そしてスタンフォード、どちらの大学の学生にもシグナルの効果は見受けられる」
シグナルの力はどこにでも見つけることができた。最上位の学生たちにも、トップを維持するための努力をさせるシグナルがあった。
それを明らかにするため、スティールは半生をかけてシグナルの力を明らかにした。
世間や親が期待するシグナルと自分が受け取るシグナルは概して違ったりするもの。そこで自分の周りに飛び交うノイズ的シグナルに惑わされずに自分が望む方向へ進む芯の強さが求められる。あなたはうちなるシグナルに向き合いそれを果たすだけです。
シグナルを受け取ってそれを実行する。なんとなく生きていると、そのシグナルに動かされていることに気づかずに日常をおくることだろう。そんなシグナルに着目し、受け取り実行する方策を例を交えつつ紹介。
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