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睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか|櫻井武|人はなぜ眠らなければならないのか?

人間のとって大事な睡眠、なぜ睡眠が必要なのか?アルツハイマー病の予防にもなるという睡眠の研究。世界初の不眠症治療薬、寝不足でたまる「睡眠負債」とは何か?負債はどう返すべきか、最新の研究成果を披露。

ヒトはなぜ眠るのか

ヒトはなぜ眠るのか。どんな脳内物質やメカニズムが眠りを誘い、あるいは覚醒をうながし、私たちの眠りを支配しているのか。このきわめて単純な問いに、現在の脳科学や神経科学はいまだ決定的な解答を出すことができないでいる。そして科学や文明がこれほど発達した現代でも、いや、そんな現代だからこそ、多くの人たちが不眠に苦しんでいる。

私たちは眠りを、受動的な休息の時間と考えている。意識というものは脳がつくりだしていることを、現代人であれば誰もが知っている。睡眠中には、その意識がなくなることも知っている。ということは、睡眠中には脳が機能を停止しているのだろうか。しかし、睡眠中にも意識が「夢」という奇妙な迷宮に迷い込むことがある。夢にはいったいどんな役割があるのだろうか。

そもそも、私たちは何のために眠るのであろうか。眠らずに活動をつづけていると眠気によって心身の機能が低下してくる。しかし睡眠をとることによって、低下していた作業効率が回復する。こうしたことを私たちは毎日実感しているにもかかわらず、睡眠をとっている間に脳の中で生物学的・神経科学的にどのような変化が起こっているのかは、いまだに多くの部分が謎に包まれている。そもそも、どうして眠らないとならないのかという疑問への、科学的に決定的な答えすらまだないのである。

これは睡眠が高等動物に不可欠なものであることを考えると、驚くべきことである。たとえば「どうして食べなければいけないの?」という質問には多くの人が簡単に答えられるだろう。では「どうして眠らなければいけないの?」という質問に対しては、あなたならどう答えるだろう。「休むため」だろうか? それならば、眠らずにゆったりと横になって休息するのではだめなのだろうか? 実は、この非常にシンプルかつ根源的な疑問に対しての、確実な答えはまだ出されていないのだ。唯一確実なのは「眠気を追い払うため」という答えのみ。これではまるで禅問答である。

本書は、このように謎に包まれている睡眠について、現時点でわかっている「睡眠と覚醒のシステム」をわかりやすく解説することを目的としている。一部は仮説も交えることになると思うが、最新の情報を盛り込みながら、睡眠についてのこの素朴で根源的な疑問にもできるかぎり答えを与えていこう。

睡眠の効能は色々あるがなぜ必要なのかと言われると睡眠による様々な機能の低下を追い払う(眠気を追い払う)ためとしか答えられない。眠い時は可能であれば睡眠をとったほうが良い。

眠りを誘う脳内のしくみとは

逆に睡眠とは、「睡眠システム」と「覚醒システム」のバランスが睡眠システム側に傾いた状態である。では、何が「睡眠システム」の活動を刺激して、バランスを睡眠側にもっていくのだろうか?

ここで少し、日常的な「眠り」のことを考えてみよう。あなたが毎日、健康な眠りをとっているのであれば、眠りの大切さを実感することは少ないだろう。もしあなたが眠りの大切さに気がつくとしたら、眠れぬ夜を過ごした翌日だろう。そして睡眠障害を患った方なら、毎日の眠りの大切さをさらに痛感することだろう。

眠りの時間、あるいは質が満ち足りたものでなければ、その「つけ」が翌日にくる。睡眠不足の日は何事にも集中力を欠き、活気に乏しい1日を過ごすことになる。われわれは自身の睡眠に対して、限られたコントロールしかできない。意志の力で1日くらいは眠りをこらえることができるかもしれないが、結局は眠らずに過ごすことはできない。また、睡眠不足の日の翌日は、よりいっそう眠気がましている。これは眠りがわれわれにとって非常に重要な役割をもっていることを示唆しているのだが、では、その眠りを誘うために、脳内ではどのようなことが起きているのだろうか?

眠気が襲ってくるメカニズムが徐々にわかって来ているようだ。睡眠不足が続くと起こる眠気や食事の後に襲ってくる眠気など。眠りを誘うために脳内ではどのような変化が起こっているか?

睡眠を科学する!睡眠のメカニズムがわかればその重要性もわかってくだろう。若いうちは完徹後出勤なんてこともできたが歳をとると厳しくなる。睡眠不足による負債をどのように返済していくかを皆で考える。

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