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『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』全員悪人!

ワールドカップ開催、それにともなうスポンサー、放映権。七〇年代半ばまでヨーロッパ中心だったサッカー界を大きく成長させ、そして腐敗させたアベランジェとブラッターというFIFAのドン。その背景には、日本の総合広告代理店・電通の影があった。誰がサッカーを“仕切る"のか。2月末の会長選を前に、サッカービジネスを知り尽くす電通元専務取締役が、すべてを語った。巨大化するサッカーとカネの関係にメスを入れる。

看板とNHK

何度か会議を重ねるうちにブラッターは、日本で大会を開催する難しさに気がついたはずだと高橋は振り返る。「日本にプロリーグがない上、出場するのは二〇歳以下の名前もしれないプレーヤーばかり。その大会にテレビ放送を行い、客を集めてスポンサーのコカ・コーラにも喜んでもらわなければならない。大変なことだねとブラッターは口にするようになった」まずは試合を中継するテレビ局を探すことからだった。ペレの引退試合と違っていたのは、大会の正式名称に「ワールドユース・フォー・コカ・コーラ」と企業名が入っていることだった。民放のテレビ局の放映を持ち掛ければ、スポンサー枠の話になる。当然、コカ・コーラ社の同業他社にテレビCMを販売できない。「民放だと、電通は幾らコマーシャル料を保証してくれるんだという話になる。コカ・コーラに予算を訊ねてみると、大した金額は残っていなかった。とても番組スポンサーになれない」

FIFAからはもう一つ厄介な条件を出されていた。大会全試合の映像を撮影、国際映像として世界中に配信しなければならなかった。中継しない試合の映像制作費を考えると一試合1000万円としても莫大な費用がかかる。それに当時は衛星中継は一般的ではなく、民放には技術的な問題があったため、NHKと交渉することになる。そこで浮上した問題がピッチサイドに並べられた看板だ。すでに大会にはオフィシャルスポンサーがついていたのだ。そこで世界のサッカー中継には看板が普通に写っていて削ることばかり意識していたら、いいサッカーの映像は撮れない。石ころを写していると思ってくださいと説得した。

現金入りの封筒

「空港に着いたら車が待っていて、ランダーシャイムへ向かった。コテージにはちゃんとした部屋が準備してあって、〝ゆっくり、くつろいでください〟と言われた。ランチはワインを飲みながら、一二時から始まって三時ぐらいまでやっているんだよね。部屋に戻ったら、今度は七時からディナーだという。まだ腹一杯なのにまた飯を食べるのかって思ったね。そしてまた夜はフルコース。ワインセラーにいろいろなワインがあって、なんでも飲んでくださいという感じ」邸宅を去る日になると、ダスラーハウスの地下に案内される。そこは靴、ウエア、鞄、様々なアディダスの製品がずらりと並べられており、客はどの製品でも好きなだけ持って帰ることができた。「最後に運賃の建て替え分というような名目で、キャッシュの入った封筒を渡されるんだ。いや、いや、いりませんと断っても、これは来てもらった運賃だ、受け取ってくれと。うちからのコントリビューション(寄付)だと」もちろんーーランダーシャイムまでの運賃は各競技団体、あるいは企業が必要経費としてまかなっているはずだ。つまり、運賃の建て替えという名目の「賄賂」である。

最近では世間の目が厳しく「賄賂」なんてもらっていたらすぐさまアウトになってしまうが、当時のサッカー業界を取り巻く環境下ではこのような賄賂が横行していたことがわかる。SNSが浸透した今ではどこで誰に見られているかわからない。賄賂を渡す瞬間をいざとなった時、道連れにするために会話を録音されているまもしれないし、もしそんな音声データをSNSで拡散されたら一発でアウトだ。バッシングの嵐となって、昼の帯番組で何度も繰り返し放送されることとなり、人前に出ることすらできなくなるくらい追い込まれる。待っているのは精神科への入院だ。

日本か、韓国か

現代グループを率いるは、韓国の招致活動のために六〇億円近い資金を用意したと言われていた。一方、日本の招致委員会の内実は、サッカー協会の他、電通、三菱商事から出向してきた人間である。

日本のメンバーも賄賂に手を染めていないはずがない、相手がやっている以上、対抗策としては当然のことというのが当時の共通認識。誰が資金を捻出して、どのように動いたのか。高橋が差配した8億円でISLがロビー活動を行なっていたと考えれば合点がいく。そこで思わぬ横槍が入る。8億円のロビー活動費という名目で電通がヨーロッパに資産を隠しているのではないかという国税局からのツッコミ。日本にはこのロビー活動費という費目がなかったためまずはそこから説明しなければならなかった。結局ご存知の通りW杯は日韓共同開催という運びとなる。

サッカーに群がる男たちのダーティーな部分が描かれた書籍。実際、アメリカの司法省が国際サッカー連盟(FIFA)副会長を含む14人を贈収賄の容疑で起訴した。全員悪人とも言えるFIFAはこれから生まれ変わることができるのか?

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