対中包囲網を強めるアメリカ、一方中国は共産党建党100周年を迎えますます右傾化。新進気鋭のエコノミストがしたたかな投資戦略を提示。新たな覇権争いのテーマ半導体、脱炭素、EVなど次なる巨大市場を徹底解説!日本再興の道筋を見る。
サプライチェーンの移動
~脱中国を図るアメリカの産業
2020年のアメリカ大統領選挙戦を巡って、トランプ氏は中国叩きで支持を得ようとして何度も強弁を吐き中国の反感を買った。なかでもTVインタビューを受けた際(同年5月 14 日) の「中国との関係を断つこともあり得る」という発言は、中国のみならず世界を驚かせた。
同氏の強弁はこれに止まらなかった。「世界のほんの一部が悪くなると、(そのせいで) 全体がおかしくなってしまうようなサプライチェーンはバカげている。そんなサプライチェーンは持つべきではない。全部アメリカで作るべきだ」とも述べている。あるいは「中国との関係を断てば、5000億ドル(約 54 兆円) を節約できる」などと根拠が判然としない数値まで挙げている。
しかし、こうしたトランプ氏の強弁を振り返れば、中国に強い圧力をかけていたように思えるが、その実態は「アメリカ第一主義」に根差した発言でしかなく、前項でも述べたとおりバイデン新大統領の対中外交姿勢のほうが、したたかでより強硬だと言える。
バイデン大統領は2021年2月 24 日、半導体、電気自動車用高容量電池、医薬品、レアアース(希土類) を重点4品目に指定し、サプライチェーン(供給網) を見直す大統領令に署名した。
この署名に先立って「我々の国益や価値を共有しない外国に依存するわけにはいかない」と述べ、重点4品目のサプライチェーンを100日以内に見直すよう、関係省庁に通達した。この他、防衛、IT(情報技術)、公衆衛生、運輸などの6分野については1年以内に戦略をまとめるとしている。
大統領令には、サプライチェーンの見直しについて「同盟国やパートナーと緊密に連携して取り組む」と明記され、日本などアジア各国・地域との協力を念頭に、安定して調達できる体制を整備する方針だ。
レアアースの調達は、半導体関連などの需要増大で喫緊の課題となっていることから、既にアメリカとオーストラリアが共同で供給増を目指している。アメリカの場合、レアアースの輸入先の80%を中国が占めてきた。米豪共同の調達は安全保障上のリスク軽減につながる。
世界的な半導体需要からレアアースの輸入先である中国への依存が問題に。アメリカをはじめ各国その採掘に躍起になっている。アメリカとオーストラリアは共同で供給量増を目指す。安全保障上のリスクにもつながりかねない問題だ。
中国経済の先行き懸念
中国が覇権行為をさらに強めようとしている理由として、まず経済の停滞が予測されていることが挙げられる。
中国国家統計局は先頃(2021年4月 16 日)、2021年1~3月のGDP(国内総生産) が前年同期比で 18・3%増えたと発表している。この伸び率は、中国が四半期の成長率の記録を取り始めた1992年以降最大で、輸出増大が寄与しているという。
ただし、この数値は2020年1~3月との比較であるため、実態と乖離していると見られ、大きく成長しているとは言い切れない。中国国家統計局の発表によると、2020年第1四半期(1~3月) の中国の実質GDPは、新型コロナ禍の影響で6・8%縮小しているからだ。
中国は2020年に主要国の中で唯一経済成長を遂げたとされているが、成長率は2・3%に止まっており、ここ数十年間で最も低かった。したがって、中国は2020年の経済成長の目標を設定せずに、2021年は6%以上を目標に掲げている。
新型コロナウイルス対策で厳格な措置が取られ、緊急の経済対策も実施されたことで、2021年に入ってから国内消費は幾分改善したものの、コロナ禍の影響を払拭できず、中国経済は今後、停滞すると見るアナリストは多い。
Phase1でも述べたが、バイデン政権は、基本的にトランプ前大統領の対中貿易政策を踏襲しており、むしろトランプ前大統領よりも対中外交の姿勢は強硬だ。サプライチェーンの見直しを含めて、経済的な対中包囲網も形成しようとしている。
グローバル化は「ヒト・モノ・カネ」の動きが自由に行き来することを意味するが、さらにその動きを加速させたのがインターネットの普及であり、グローバリゼーションという現象が起きた。そして、グローバリゼーションの恩恵を一番受けたのが中国であり、これによって中国は発展を遂げることができた。
最初のうちは、衣料品・日用品・家電などの廉価な一般消費財を生産していたが、次第にクルマや工業用部品のメーカーが、人件費のコストを抑制できるということで、海外から中国に進出し、生産拠点を設けることになった。
だが、既に中国の「世界の工場」という役割が危うくなってきている。安い労働力を売りにしていた時代は過ぎ去り、中国自体がベトナムやラオス、ミャンマーなどの安い労働力に依存するようになっている。つまり中国版サプライチェーンの移動だ。
こうした状況に対して中国は、2013年に習近平が提唱した「一帯一路」構想に次いで「双循環」という次期5カ年計画を打ち出している。 「双循環」とは、習近平国家主席が2020年5月14日の政治局常務委員会以来、繰り返してきた「国内大循環を主体として、国内外の双循環が互いに促進する経済の新発展モデルを目指す」という提言で、サプライチェーンの強靭化、消費の拡大による内需拡大と輸出の促進がその主旨だとされている。
しかし「一帯一路」の先行きが不透明な上に、「双循環」が果たして成功するのか、その成否は分からない。
中国が進める一帯一路構想の中で中国の行き過ぎた海洋進出が問題に。その先に中国が見るものとは?覇権を握りたい中国とそれを止めたい欧米諸国。日本も例外ではない。東シナ海での中国のやりたい放題を国際的に止めなければロシアによるウクライナ侵攻のような力による現状変更を許す無秩序な世の中が。
日本経済の再興を考えそのシナリオを描く。日本が直面する問題は避けては通れないまでに肥大化している。そんな現状を分析しながら再び日本が浮上するために必要なこととは何かを模索する。
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