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テンプルトン卿の流儀|ローレン・C・テンプルトン|20世紀最高のストックピッカー(銘柄選択者)

20世紀最高のストックピッカーと称された伝説のファンドマネージャー、ジョン・テンプルトン卿。その50年にわたり市場平均アウトパフォームした原則と方法を紹介。

悲観の極みの中での最初の取引

バーゲンハンターは、近所の人や理髪店、あるいはウォール街最高のアナリストから聞いた巧みな物語を基にしてオールラウンドの投資戦略をとってはならない。想定される企業価値を株価が十分下回っているかどうかに関する自分自身の評価を基礎とするのでなければならない。それだけが将来の誘導灯となる。また懐疑心が羅針盤となる。企業に関する物語だけを頼りに株を買うのは、神話のセイレーンの歌に魅せられて岩礁地帯に近づくようなものだ。そこには物語を信じ込んだ投資家の死体が漂っている。

だから物語を基にした話題株をどうやって見つけだして回避するかが重要な問題となる。一方、数字はウソをつかない。株価を一株当たり売上高、一株当たり収益、あるいは一株当たり純資産で割った値に着目しよう。その計算値が競合会社や関連する株式指数に比べて大幅に高かったら、過熱した話題株の可能性が高い。それを示す証拠もある。過去五〇年の膨大な実証的研究によれば、株価売上高倍率(PSR)、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)の高い銘柄は長期的に見て良い投資対象と言えない。この点については非常にたくさんの研究があるのでここで詳しくは述べない。それに関する統計的研究を詳しく説明した入手容易な良書が何冊もあり、そうした特徴をもつ高人気の銘柄を買ったら投資が長期的にどんな結果になるのかも書かれている。人気株はえてして市場で最も割高な銘柄である。つまり株式市場の全銘柄をPSR、PERあるいはPBRの高い順に並べてみると、市場で最も過熱した銘柄はたいていリストの上位に入っている。

いろいろな研究によれば人気株ばかり買っていると成績が市場平均を下回る。しばらく平均よりも良いことがあっても結局は失敗に終わる。この知識があれば人気株を追いかけることはなくなる。市場に当てはまる経験的な確率に反する行動をわざわざとるのは意味をなさない。長期的に株式市場全体を上回る成績を上げるのは容易でないが、値下がりが確実な銘柄を買わないようにすることがそうした困難な目標に向けた第一歩となる。単に人気株を避けることで成功率を上げることができるわけだ。

最後に言えば、公表された見通しが最も有望な企業の株が高レシオ銘柄になることは偶然ではない。逆に、PSR、PER、PBR、株価キャッシュフロー倍率(PCFR)などの高い順に並べた銘柄リストで最下位辺りに並ぶ銘柄は、多くの場合、市場でも一番注目度の低い不人気株である。皮肉なことにそうした銘柄を買うことで長期的に最大の成果を収められることが明らかになっている。リストの下位一〇%だけに投資の焦点を絞ることで投資の成功率を大幅に高めることができるだろう。注意深いバーゲンハンターにとってリストの最後尾は株式投資で成功するための絶好の狩り場となっている。

PER、PBRなどの指標を使った銘柄選択は基本だが、みんながその指標を普通に使うことで、ほとんど織り込み済みであることも多い。それでも個別銘柄を物色しようと日々まだ見ぬ優良銘柄を探す旅は続く。バーゲンハントの醍醐味は自分だけのバーゲン銘柄を見つけた時の喜びにある。保有し思った通り株価が上昇した時はアドレナリンが放出されなんとも言われぬ気分に。競馬などのギャンブルにも似たこの感覚が忘れられないで個別銘柄を物色する人も多いのでは?

危機はチャンス

前もって決めた価格で買う無期限注文を出しておけば、皆が売っているときに買い向かうときの大きなプレッシャーを避けることができる。

買いを決断するとき何よりも大切なのは、澄んだ頭で考えその判断が目前の出来事に影響されないようにすることだ。危機の急落時には、もともと適切な判断をあとで考え直してしまうことがよくある。市場でそんなに多くの人が売り急ぎ株価が急落するということは、見境なく投げ売りされる状況では健全な判断力が働かなくなることの何よりのあかしである。買いの決断で重要な第二の点は、自分がバーゲンと確信する銘柄のみを買う厳格な規律を維持することだ。自分の得意分野に限定して株価や会社のバリュエーションを入念に検討するなら、一層正確な評価が可能となるだろう。たとえば突然市場が急落したときに単に値下がりしたという理由だけで好みの銘柄を買うというのでは、良いバーゲン銘柄を見つけだすことはできない。過大評価された企業の株価がやや修正された程度の水準で買ってしまうことが多いのだ。その場合、割高度がやや薄れていること以外にその銘柄を買って得られるメリットはない。  市場価格を大幅に下回る買い注文を出す戦略の要点は、市場のボラティリティを活用する立場に立つということにある。ボラティリティを利用し自分の味方につけるというのが基本的な考え方になるのだ。株式市場でボラティリティが突発的に高まる好例としては、コンセンサスの見方が不確実性のために崩れたり、ネガティブサプライズが生じたりする場合がある。そうした脅威の瞬間をとらえてそれに乗ずる用意と計画を持っていないかぎり、自分自身も荒波の海で浮き輪につかまったまま浮き沈みする感覚に捕らわれることになる。

この戦略の実行で考慮すべきもうひとつの重要事項は選定する企業の特徴と関連している。市場がおびえてパニック的な売りに走るさまざまな原因のなかには景気後退や景気下降が含まれていることを考えるなら、バランスシートに問題のない企業を選ぶように気を配らなければならない。つまり債務負担のない企業、不景気になっても債務を背負い込むことのない企業を選定する。現時点で過剰な債務を負っていないように見える企業でも、経営環境の悪化に伴って債務額が過剰とならない保証はない。良い状況と悪い状況の両方を想定して企業を検討することが大事なのだ。売上高の減少や利益率の低下が始まったときに債務返済に苦しむような企業に投資したとしたら、買いの選択が賢明でなかったことになるだろう。

指値注文を出して後は機を待つという売買方法は状況が変わったらすぐに変える柔軟性が必要。市場の状況は常に変化しているので、指値注文後に市況が変化したらそれに対応しなくてはならない。放っておいて損をすることもあるのでやはり簡単には行かない。自分の思い描いた方向と逆の動きをした時、柔軟な対応が求められる。

バリュー投資をしているけど成果が出ない人にはもってこいの書籍。自分に何が足りないかがわかります。もしもこの書籍を読んで難しいと思うなら早々に個別銘柄物色から手を引くことをお勧めします。それだけ市場平均をアウトパフォームするのは難しいので。

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