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世界史を変えたパンデミック|小長谷正明|人類の歴史は感染症との闘いの記録

2020年新型コロナウィルスの感染拡大により世の中が一変した。僕ら世代では初のパンデミックだが人類の歴史上は感染症との戦いの記録が数々残されている。そのたびに起こる混乱。そんな感染症との戦いを紐解き人類がウィルスといかに闘い、打ち勝ったかを明らかにする。

疫病がスペイン風邪となった軍事的理由

1918年5月、中立国スペインには戦争の惨禍は及んでいなかったものの、世界経済の破綻で国内はインフレにあえぎ、社会情勢は不安定であった。

首都マドリードでは、不景気を吹っ飛ばそうと盛り上がった守護聖人サン・イシドロ祭りの直後、発熱と消化器症状と全身倦怠を症状とする病人が次々と現れた。

5月 22 日にマドリードABC新聞がこの病気を記事にし、さらに国王アルフォンソ 13 世や大臣たちも発症したことなどから、5月末にロンドンのロイター通信が〝マドリードに変わった伝染病が発生した。軽い症状で、死亡例は報告されていない〟と配信した。

これらが、第一次世界大戦の戦中から戦後にかけて世界的に大流行したインフルエンザの最初の報道であり、以後、スペイン風邪(Spanish fluまたはSpanish Lady)と呼ばれるようになった。

実はインフルエンザはかなり前から各国で流行っていて、すでに1916年~ 17 年にかけて、イギリスからのヨーロッパ派遣軍では時々発生していた。

16 年の暮れ、イギリス南部の病院で傷病兵を看護していたアガサ・クリスティーも悪性のインフルエンザに罹り、復帰後、薬局勤務に回され、以後、薬物をプロットとするミステリーを書くことになる。

ドイツ側の交戦国であるオーストリアのウィーンでは、1918年2月に華麗な画風で知られるグスタフ・クリムトがインフルエンザで死亡した。

だが、戦争当事国では、特に集団生活をする軍隊での流行は戦力に影響するため秘密事項とされていて、疫病の発生は報道されていなかった。スペインは中立国で平和だったので、ここでの悪性のインフルエンザ流行が最初に報道されることになって、疫病の名前にされてしまったのだ。スペインにとってはまことに迷惑なネーミングである。

スペイン風邪って悪性のインフルだったの!?オーストリアでは軍事的理由からその報告が闇に葬られていたことによって、その後中立国であったスペインでの発症が報道されることになりスペイン風邪に。実際はウィーン風邪とかオーストリア風邪だったかもしれないってことだ。こうした病気のネーミングには慎重論が最近では出てきていて、コロナも武漢風邪とならないように中国はヒヤヒヤものだったに違いない。

流行病に立ち向かった偉大な人々

2019年暮れに突然、中国湖北省武漢市に出現した新型コロナウィルス(COVID-19)による感染症の流行で、翌2020年1月には中国政府によって武漢市は都市封鎖を宣言され、周囲と隔絶されてしまった。

荒涼としている市内の映像や、困窮を訴える市民の声が報道されていたが、 21 世紀の今日に、戦争でもないのに都市封鎖などという事態が起こるとは、それまで思われなかった。

3月には、ミラノなどイタリアの都市も封鎖されはじめ、そして世界中の都市で封鎖が相次いだ。それらの街の中でも、カミュの小説のような人間模様が起こっているのだろうか? 日本でも首都東京の 都市封鎖 の可能性が取り沙汰された。

ペスト制圧の立役者となった日本人

14 世紀にローマ教皇に仕えた詩人で、恋人ラウラを黒死病で奪われたペトラルカは、次のような辛らつな言葉を、医師や医学に対して残しているが、その状況は長らく変わらなかった*1。

(男が少なくとも勇敢に死ねる戦争とは異なり、ペストにおいては)薬も慰めもないのだ。あらゆる不幸の上に、病の根拠、原因を知らずという事実が加わる。けれどもこの無知も病自体も医者たちの言い逃れやでたらめほどに憎むべきではない。医者たちはなんでも主張するけれどなにも知らず(中略) しまいには黙り込む。

しかし、 19 世紀末にこの病気の本体が分かり、病気蔓延のメカニズムも明らかにされ、やっと、制圧できるようになった。

その陰には、日清戦争直前の時期に、香港に流行したペストと闘い、その病気に感染して死線を 彷徨 った日本人医師がいた。彼へのメモリアルとして、香港の九龍半島海岸沿いの幹線道路に、青山公路という名称が付けられている。

コロナとの戦いにおいても医療従事者を称える動きが各国で見られる。有事の際にはこうした人々の活躍無くして乗り切れない。比較的医学が進んだ今でも後手後手に回りがちな感染症では制圧にはこうした力が必須、頭が下がる。

過去を見ながらコロナとの戦いを精査する書籍。記録に残っている感染症は数えるほどしかないが、それでもどのようにコロナと戦っていけば良いかは過去の事例から学べることも多い。日本はお国柄からか他国と比べても比較的抑えられているがこの先どうなるかは未知数。感染拡大の最終段階でどのように振る舞うかが予防につながる。

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