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憂うつデトックス 「未来の不幸な自分」が幸せになる方法|大嶋 信頼|憂うつな気分から自分を解放!

未来の不安を想像し、あらゆる最悪の事態を考えてしまう。普段からそういった思考の癖がある人は意外と多いのかなと。この書籍では人気カウンセラーが憂鬱な気分から自身を解放し、今を生きるための方法を紹介します。

「確実に不幸なことが起きる」という確信

私が憂うつな気分になっている時は「周りの人と比べて自分は何も成し遂げられていない」と思い悩んでしまいます。私以外の人たちは、友達もたくさんいて職場の同僚や上司などとも仲良くやっていて、プライベートや仕事も充実している。家に帰れば幸せそうな家族がいて、家族から尊敬されていたりします。

でも、自分は友達もいないし、職場の同僚からは馬鹿にされていて、一緒に仕事をやっていても「ただ自分はみんなからいいように利用されているだけ」と惨めな気持ちになってしまう。一生懸命に働いたってお金はちっとも貯まっていないし、このままお金が貯まらなければ貧乏になって惨めな生活を送ることになる……と将来の破綻がイメージできちゃいます。

ちょっとしたことで仕事を失敗してしまい、そこからお金も家族もすべて失って生活が破綻し、慣れない肉体労働をやりながら身体を壊して、だれからも見向きもされなく人生が終わっていく自分の未来がハッキリ見えてしまいます。

「これって私だけなのかな?」とか「私だけがおかしいのかな?」と思っていたのですが、憂うつな気分になりやすい人のお話を聞いていたら「あー、私と一緒なんだ」と気が付きました。

たとえば人の話を聞いていて「まだ起きていない将来のことなんかわからないでしょ!」とか「そんな先のことを考えても仕方がないでしょ!」と突っ込みたくなる場面があると思います。でも、私自身が憂うつな気分になっている時を振り返ってみると「あ! 同じことをやっている!」と、将来起きるかもしれない不幸を次から次へと考えて嘆いていたんです。そして、憂うつな気分になっている方の話を聞いていたら「そんな他人が自分と比べて幸せかどうかなんかわからないでしょ!」と話を遮りたくなります。でも、私自身のことを考えてみたらたしかに、「他人は自分よりも幸せであると確信を持っている」という感覚になっていることに気づいたんです。

人の話を聞いていたら「他人のことなどわからない」とか「未来に何が起きるかなんて知れるわけがない」と常識的に考えられるのですが、自分が憂うつな気分になっている時は「みんな自分よりは幸せ」とか「未来に確実に不幸なことが起きる」という確信があって、そこから抜け出すことができなくなります。

未来への不安から気分が落ち込む人は意外と多い。そんな人におすすめしているのが、今ある不安を書き出すこと。そして、その不安が的中しているかどうか確認を取ること。大抵の不安は取り越し苦労で実際には起こらない。人間というのは弱い生き物なので、不安になることで備えたりすることができるといった特性を皆、遺伝子的に持っています。それを理解した上でこのように不安を書き出すといった作業を行えば実際と想像は違うことがわかります。

考えないありがたさを感じる

自分では「何気なく先のことを考えている」と思っていたのに、それが「それをすることで時間旅行をしている」というだけで「すごいことをしているんだ」と先のことを考えることに対して慎重になります。「ただ考えているだけ」と思っていたのが「時間旅行で莫大なエネルギーを消費する」なんて言われてしまったら「あまり頻繁に考えてはいけないんだ」と〝物語〟とわかっていても注意するようになるわけです。そして、時間旅行をすることでたくさんの未来が存在している、ということがわかります。自分のちょっとした選択で、未来が変わってしまうから。

自分が憂うつになるということは「成功した未来の自分」という今の自分とは別の時間軸があって、その犠牲者となるから憂うつな気分になってしまう。ただ、ダメで失敗ばかりの未来が待っているのだったら「ドナドナ(子牛が牧場から市場に引かれていく歌) 状態」で悲しいけど、憂うつな気分にはなりません。そこには希望がない訳ですから。自分の未来の失敗の陰に成功した自分が存在しているから「なんで自分だけ惨めな目に遭うんだ」となり「憂うつになる」という物語を展開させてしまいます。

「自分が弱いから憂うつになる」ということであれば、先のことを考えた時に時間旅行をして「未来の強い自分」が存在している時間軸を垣間見てしまうから「強いor弱い」が出てくる。そして「強い未来の自分」の犠牲になっている現在の自分を感じ取るから「憂うつになる」となります。

「人間関係が合わない」という状況でも、先のことを考える時に時間旅行で「職場の人間関係が合っている自分」という時間軸が存在していて「あの時間軸の犠牲になっている」ので憂うつな気分になる、という物語です。物語として聞いていても「はっ! たしかに先のことを考えていない時は憂うつじゃないし、考えないでうまくことが進んでいる」ということに気がつくわけです。

そうしたら「自分が憂うつじゃない時って、たくさんの他の失敗の時間軸の自分が犠牲になってくれているのかも」と思ったら「考えないありがたさ」を感じることができます。「考えないって、自分が何も努力していないみたいで嫌!」と多くの人は思ってしまうのですが、その背後にたくさんの自分の犠牲があるから自動的に成功できるんだ、ということだったら、全然「考えない」の意味づけが違ってきます。

成功した自分を想像するから失敗した自分を憂鬱に感じてしまう。絶望しかなければそもそも憂鬱どころの話ではない。何%か成功した自分を信じたいという気持ちが不安な未来を憂鬱に感じさせるのだ。

憂鬱の正体を知りそのメカニズムがわかれば対処法はある。些細なことで悩まない、悩んでも沼には入らないためのテクニックをふんだんに紹介。あなたの憂鬱を吹き飛ばします。

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