男女間の違いは人類最大のテーマとも言える関心事。それを最新科学で解明!意外で誰でも共感、楽しみながら読める最前線の研究を紹介。女と男の戦略の違いとは?
若さの市場価値
エビデンスが示す「不都合な事実」は、すべての男の関心が若い女性に極端に偏っていることだ。婚活サイトの性格上、ここでは 20 歳以上になっているが、年齢の制約がなくなれば、男の欲望の対象が 10 代の女性にまで広がっていくことは間違いない。
このことから、若い男女の「市場価値」が大きく異なることがわかる。
思春期から 20 代半ばまでの女性は、あらゆる年齢の男から注目を浴びる。それに対して若い男性は、同年代の女性からしか関心を持たれない。すなわち、若い女の価値はものすごく高く、若い男の価値はそれほどでもない。
ニュース番組の「年配の男性キャスターと若く魅力的な女性アシスタント」という組み合わせが典型的な性差別だとして繰り返し批判されている。これは欧米も同じで、#MeToo(ミートゥー) 運動が広がったあともこの「悪習」を変えることができない。なぜなら、視聴率が落ちてしまうから。
女性は自分と同年代の男性に魅力を感じるから、メインターゲットとなる女性視聴者の年齢にちかい男性キャスターの方がいい。それに対して男性の視聴者は、若い女性にしか関心がない。これが、「年配の女性キャスターに若い男性アシスタント」の組み合わせが極端に少ない理由になっているのだろう。
こんなことをわざわざいわなくても、若い女性は自分の「市場価値」を正確に理解している。なんといっても潜在的な「顧客」は人口の半分、世界じゅうに 40 億人ちかくもいるのだ。他のどのような「商品」も、これほど大きなマーケットを持っていない。経済的な価値を持つこの性的魅力は「エロティック・キャピタル(エロス資本)」と呼ばれる。
だがこのとてつもなく大きな資本には「賞味期限」があり、 10 代半ばからの 10 年間が最大で、その後は急速に縮小していく。もちろんこれも、女性ならみんな知っていることだろう。
「若さ」の魅力は、YouTube、インスタグラム、TikTokなどのSNSによって近年急激に膨張している。「40億人のマーケット」はもはやたんなる比喩ではなく、ごくふつうの女の子が一夜明ければ世界のセレブになっていることも夢物語ではなくなった(すくなくともその可能性はある)。
こうして、かぎられた期間に自分のエロス資本を最大限に活用しようとする若い女性が世界じゅうで大量に登場した。その目的は経済的な利益(パパ活やギャラ飲み)かもしれないし、有名になって自己実現すること(地下アイドルやユーチューバー)かもしれないが、世の中を驚かす奇妙な現象の数々は、エロス資本が特定の年齢層の女性に集中していることから経済学的に(ほぼ)説明できるだろう。
こうした主張を「差別的」と感じるひとがいるかもしれない。だがその場合は、「証拠」にもとづいて、より説得力のある解釈を示さなければならない。「いくつになっても若い女のケツを追い回す男はけしからん」と怒っても(気持ちはわかるが)現実は変わらない。
それと、これは強調しておかなくてはならないが、現代社会にはエロス資本しか持っていない若い女性が(かなりたくさん)いる。そんな彼女たちに「愛は無償であるべきだ(エロスを男にタダで提供しろ)」との道徳を強要し、エロス資本のマネタイズを禁ずるのは「搾取」以外のなにものでもない(奇妙なことに、男性優越主義者だけでなく、一部のフェミニストもこういう主張をする)。アダルトビデオや風俗業を違法にするのは、エロス資本に依存するしかない女性たちから生きる方途を奪う「虐待」だ。
女性の市場価値が若さなら男性はお金か。平均収入以下の男は女性に見向きもされない。ごく稀に貧乏でもいいという女神のような女性もいるが大抵は経済力。そうやって男に経済力を求めるのだから若さを基準に男が選り好みするのを否定するのはナンセンス。要は市場価値がどこにあるのか自身で分かった上で相手を選ぶことには変わりはない。差別的と男性を非難するなら女性側も男性に求めるものを考え直さなくてはならない。
男と女の人間関係の作り方
少年マンガでは野球やサッカーから暴走族まで、「集団」を描く作品が人気を集めている。それに対して少女マンガでは、ヒロインと女友だちとの「個人」的な関係に焦点が当てられる。
男が集団を好み、女が一対一の友だち関係を大事にするのは、経験的にはむかしから知られていた。「男と女で人間関係のつくり方(社会構造) がちがうのか?」が本格的に調べられたのは1980年代からで、さまざまな研究が、3歳児から成年に至るまであらゆる年齢で男女差が現われることを示している。
そこで今回は、 10 歳の子どもを対象にした実験を見てみよう。ここでは〝協力〟を必要とする課題を使って、男の子と女の子の戦略のちがいが調べられた。
実験に参加したのはイギリスの3つの小学校から集められた 98 人で、同性同士の2人グループ(一対一) と5人グループ(集団) にランダムに振り分けられた。同じクラスの子どもは同じ組になるようにしたから、お互いに顔見知りだ。 子どもたちは、「鳥の名前は?」というような問題文といっしょにアルファベットを書いた紙を渡される。その文字から始まる単語を4つ書き出すというのが課題だ。
鳥の名前の問題で紙に「S」と書かれていたら、Swan(白鳥)、Sparrow(スズメ) のように空欄を埋めていく。「台所にあるものは?」「青いものは?」など問題文は6つ、アルファベットはそれぞれ8つで、合わせて 48 枚の質問紙が床に置かれた。4つの答えが揃えば1ポイントで、3つ以下なら加算されない。スペルミスは、なにをいいたいかがわかれば認められた。
書き出す単語を4つにしたのは、 10 歳児が平均して、この課題で3つの単語を思いつくことができるからだ。その一方で単語を5つにすると、こんどは難しすぎてやる気をなくす。自分一人では難しく、仲間と協力すればクリアできるように巧妙に問題がつくられているのだ。
課題が始まる前に、グループ内でどう役割分担するかを話し合える。子どもたちはすぐにやるべきことを理解し、作戦会議に5分以上かかったグループはなかった。課題のあいだも自由に会話できる。制限時間は15分で、そのあいだにできるだけ多くのポイントを獲得し、優勝すると全員の名前が入った額がもらえる(個人は表彰されない)。
さて、結果はどうなっただろうか。それが図表㉛─Aで、集団(5人)では男子の得点が高く、一対一(2人)では女子の得点が高かった。予備調査では、単独でこの課題を解かせると男女差は観察されなかったから、得点の性差は人間関係のつくり方から生まれたことになる。
集団か、一対一の関係を重視するか男女で性差が出るのはなんと無くわかるが実際に研究結果もそのようになった。集団では男性の方が得点が高く、一対一だと女性の方が得点が高い。今は女性も社会進出してきていて組織の中で活躍する場も増えてきてはいるが、この性差を上司がわかっていないと能力を存分に発揮させる土壌が生成できない。
男女のさまざまな違いを最新の科学で紐解く面白い書籍。どちらの性別の人でも共感を呼ぶ性差についての研究は組織でリーダーとなる人間にはわかっておいてほしい必須の考え方。性別が違う故の違いを知ることでモヤモヤが晴れます。
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