マイナス金利とは?TPPで日本はどうなる?消費税はなぜ上げる?円安が進んでいるけど景気はどうなる?今更聞けない経済の基本をぎゅっと凝縮。
日本はもう昔のように成長できないのか?
日本経済は成熟した安定成長の時期に入ったので、昔のような高度成長を再現することはできないし、その必要もありません。それを無理してバラマキ公共事業やインフレ政策で成長させようとすると、今のように経済が混乱するのです。豊かな経済を維持する近道はありません。 成長率を上げるには、企業買収やリストラで労働人口を流動化して生産性を上げ、経済を効率化するしかない のです。
★ Point ★
▶日本経済が失速した原因は、労働人口が減少したうえに、その人口が地方に分散したこと
▶労働生産性が上がれば、労働人口が減っても成長できる
▶成長率を上げるには、経済を効率化して労働生産性を上げるしかない。
成熟した経済では成長率が鈍化するのは当たり前と言えばそうなのだが、それでもやはり成長は大事なので生産性を上げて経済の効率化を図っていく努力は続けなくてはならない。逆に頑張っても経済成長しないよねと建設的な行動を国民がしなくなると鈍化どころか下降線を辿ることだろう。
日本での格差
Q26 日本で格差は広がっているんですか?
【A】 森口千晶さん(一橋大学教授)は、ピケティの共同研究者と一緒に彼と同じ方法で、1890年以降の日本の所得格差を計測しました。その結果、[図51]のように、 戦前の日本はピケティのいうヨーロッパ型に近かったのですが、戦後はきわめて平等で、所得格差もあまり拡大していない という結果が出ました。
この原因は複雑ですが、 戦後の日本では財閥や大地主がいなくなり、よくも悪くも欧米のような「資本家」が少なくなった ことが最大の原因でしょう。しかし日本では、別の格差が広がっています。前にもみたように、日本では非正社員の比率が増え、とくに年収300万円以下の労働者の比率が40% を超えています。
そのひとつの原因は、ピケティも指摘する テクノロジーの変化 です。いままで高い賃金をもらっていたホワイトカラーの事務労働がコンピュータに代替され、パートや契約社員でもできるようになったのです。
もうひとつの原因は、 グローバル化 です。中国など新興国との競争激化で、正社員の多い製造業が拠点を海外に移す一方、国内ではサービス業の短期雇用が増えました。このため、製造業の単純労働者の賃金は新興国に引き寄せられて下がり、国内格差が広がっているのです。
グローバルにみると、所得格差は劇的に縮まっています。この最大の原因は、中国が「世界の工場」になったこと です。中国の賃金は日本の1~2割ですから、日本でつくっていた100円ライターのような簡単な日用品は、中国でつくって輸入したほうが安いので、工場は中国に建てられます。
そうすると日本では時給1000円の労働者でつくっているライターが、中国ではもっと安くつくれるので、労働者の時給を100円から200円に上げても採算があいます。しかし日本の労働者は職を失って時給800円の牛丼屋でアルバイトするようになるかもしれません。これは日本の労働者にとっては不幸なことですが、世界全体では貧しい労働者が豊かになるので、格差は縮まります。
世界規模の実証研究によれば、[図52]のように1970年から2006年にかけて、世界の貧困率は80%下がり、毎日1ドル以下の絶対的貧困者([図52]の左側の縦線より左)の数も60%減って1億5000万人になりました。「空洞化」は日本にとってはよくないことであっても、世界にとってはいいことなのです。
だから中国でもつくれるような商品をつくっている労働者の賃金は、中国に近づいて下がっていきます。つまり世界的には格差が縮まっているのに、日本国内では格差が広がるのです。この格差は、とくに「正社員」とパート・アルバイトなどの「非正社員」の間で大きく、しかも非正社員は増えています。
この傾向は避けることができないし、避けるべきではありません。日本の企業もグローバル化して賃金の安い国で海外生産すればいいのです。この点では日本のグローバル化は、むしろ足りないのです。
★Point★
▶ピケティのいうような意味の階級間格差は、日本ではさほど大きくない
▶ただし、いま「新しい格差」が広がっている
▶グローバルにみると、中国が「世界の工場」になったことで所得格差は劇的に縮まっている
▶グローバル化によって単純労働者の賃金は新興国に近づく。これが「新しい格差」の一因
格差は広がっているのかと言う問題だが日本でも皆が知らないだけで格差は生じています。お金の話を積極的にしない、いわゆるタブーと化している日本では他人の資産状況とかが分かりにくい。あなたの隣人はビットコインや株でひと財産築いてもうリタイアしている人かも。そう思うとやはり格差はあると思っていた方が良いだろう。働いても働いても搾取される人はされ続ける。そんな残酷な事実。
Q&A方式であなたの疑問に答えます。経済のあれこれを噛み砕いて載せてあるので、自分の知りたいところからでも良いので読んでみると頭のモヤモヤが晴れること間違いなし。
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