五〇歳からの勉強法｜和田秀樹｜51Blog｜この年代以降に特有の生理的障害をあげ、その対策も

五〇歳からの勉強法｜和田秀樹｜この年代以降に特有の生理的障害をあげ、その対策も

2023年3月1日

目的によって異なる50歳からの勉強法。その中でも共通するのは準備をきちんとすること。前頭葉の機能低下などによる意欲の低下など、この年代以降に特有の生理的障害をあげ、その対策についても語っている。

覚える能力そのものは低下しない

わたしたちが老化を最初に感じるのは、人の名前がなかなか出てこない、あれとかこれ、といった代名詞を使うことが多くなったときではないだろうか。特に最近の芸能人の名前やＩＴ用語となると、すぐに忘れてしまうから、いまさら資格試験や外国語の学習など困難だと考える。

しかし、エビングハウスの忘却曲線で見る限り、六〇代と二〇代でも大差ないという話を日本における記憶研究の大家の池谷裕二先生から聞いたことがある。

エビングハウスの忘却曲線というのは、ドイツの心理学者だったエビングハウス氏が無意味な言葉の丸暗記から見いだした「忘却は覚えた直後に急速に進む」という法則で、かれの実験によると、次ページの図のように、人は暗記した後、二〇分後には四二％を忘れ、一時間後には五六％を忘れ、一日後には七四％を忘れる。一週間後には七七％を忘れ、一ヵ月後には七九％を忘れるという。だから、一〇分後、一時間後、一日後と、忘れる前に間隔を空けて繰り返し復習することで、効率よく覚えられる、とされる。

年齢を重ねるとともに記憶力が低下したなと思ってしまう原因は繰り返しインプットする数の低下によるものが多い。芸能人の名前などを覚えられないというのは若い頃に比べ芸能人の名前を見る機会が減っただけだと思います。アイドルの名前なども自分の推しなら覚えますよね。繰り返しインプットするからです。覚えられなくなった理由は昔ほど芸能人に興味がなくなったのでは？

四〇歳を境にＥＱは低下する？

『ＥＱ』を書いたダニエル・ゴールマン氏によると、ＥＱ、すなわちEmotional Intelligence Quotient（＝心の知能指数と邦訳されている）は、四〇歳までは順調に伸びていくものの四〇歳を過ぎると、低下していくという。

ＥＱというのは、自己や他人の感情を知覚し、また、自分の感情をコントロールする知的能力だ。よい人間関係を持つには必須の知能だとも言える。

一般には、通常の知能であるＩＱは歳をとるごとに下がるが、ＥＱのほうは逆に歳を重ねて人間的に円熟味が増して上がってくると思われているかもしれないが、実際はその逆だった。四〇歳を過ぎても、ＩＱはほとんど変わらないのに、ＥＱ、すなわち、人間関係を保つのに重要な知能は次第に低下していくというのだ。

というより、たしかに四〇歳ぐらいまでは、だんだん穏やかに、円熟していくかもしれないが、それを過ぎると、逆にだんだん切れやすくなってしまうのである。

実際、切れる老人というのを最近よく見聞きする。これは、前頭葉の老化が原因なのだろうが、それ以外にも、おそらく、会社にいるうちは、ある程度の年齢になれば地位もそれなりに上がるので、周りが気を遣ってくれる結果、切れないでいられたのが、引退したとたんにそれらもなくなり、思いどおりにならない周囲の人々に欲求不満が増えていく、という面もあるのだろう。

〈ＥＱの五大要素〉

①自分の感情を正確に知る

②自分の感情をコントロールできる

③楽観的に物事を考える、もしくは自己を動機づける

④相手の感情を知る

⑤社交能力、対人関係能力

このように、ＥＱの低下、特に感情のコントロール能力の低下は前頭葉の萎縮によるところが大きいのだが、あわせて、男性の場合は、男性ホルモンの分泌低下も影響している。男性ホルモンの低下は、意欲の低下、異性への関心の低下だけでなく、同性の友人への興味の低下をももたらすことが認められているからだ。つまり、人間関係そのものが億劫になってしまう。

もともと男性よりコミュニケーション能力に優れるとされる女性が、更年期を過ぎると、ますます社交的になっていくのは、女性ホルモンが減少し、逆に男性ホルモンの分泌が増すことも大いに関連しているのであろう。

同性の友人への興味の低下、男性の場合は男性ホルモンの分泌低下の影響だというが、逆に言えば異性への興味は興味は尽きることが無いということ。僕のように人間関係が億劫になる一方女性のアイドルや俳優さん、モデルさんにはまだ興味が尽きないのが普通なんだなと（笑）

50歳からの勉強法とあるがそれ以外にも50代になったら若い頃と変わることなどにも触れていてアラフィフなら読んでおいて損はない書籍かと。自分は異常だと思っていたことが異常じゃなくアラフィフ特有のものだとわかるので。

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