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強くはない自分を見つめ、あえて〝強い人〟は目指さない

2012年、気象条件の厳しい秋季エベレスト挑戦時に負った重度の凍傷から9本の指を切断。過酷な治療とリハビリを経て見事復帰を果たした栗城史多が、ブロードピーク(8047m)の頂上で至った新境地。それは、人間の“弱さ"を肯定することだった。「限界」「孤独」「無駄」「比較」「時間」「お金」―僕らを生きにくくする言葉たちの栗城的解釈が、その小さな勇気を後押しする。“弱い"ままで充実した人生を送るための示唆に富んだ一冊。

何としても下山せねば

標高8070メートル。ついに足を踏み入れたのだ。気温マイナス35度、酸素量は地上の3分の1という、「生」を許さない世界。そして目の前には、山頂へと続く道がある。体調は悪くなかった。息苦しさもなく、僕の心の中に燃えている火も消えてはいない。ここを登れば、エベレストの頂へ辿りつける。ただし確実に、この強風の中を生きて帰っては来られないだろう。それだけはわかる。風は岩の溝にも入り込み、複雑な動きをしながらゴーッという唸り声をあげていた。生きて帰るか。登って死ぬか。答えは、すぐに出た。凍った無線機を取り出しベースキャンプに告げる。「風が強く‥‥これ以上は危険と判断しました‥‥。ごめんなさい」成功しても失敗しても、生き続ける。勝っても負けても生き続ける。僕は生きることを選んだのだ。

ちょっと前に雪山でラッセル訓練中の高校生らが雪崩に巻き込まれ死亡する事故があった。それよりもかるかに過酷な状況のエベレスト。山頂を目指すものは多いが、途中で登頂を諦める勇気も必要だ。ちょっとした判断のミスが生死を分ける雪山。次の機会にかけるため下山を決意したことはある意味当然のことだろう。生きていれば次のチャンスはあるが、登って山頂で屍となってしまってはしょうがない。そういった死んでもいいから登り切るという危険を顧みぬ登山家がもいるようで、雪山には数多くの屍が発見されぬまま眠っている。登山家の中でよく言われているのが30台前半が一番山で死亡する確率が高いという。ある程度経験を積んでいることによる過信からだろう。

孤独

孤独は自然の一部

その自然と一体化したときに、孤独は孤独でなくなる。

僕の性格は、基本的に引きこもりやさん。夢や目標があったから外へと出て行けたけど、それがなかったら「水を得た魚」ならぬ「水をなくした魚」だったと思う。友達も少ないし趣味もない。休みの日だって、未だ東京にはどこに遊びに行ったらいいのか、わからない‥‥。知り合いのFacebookを見ていると、休日にみんなで集まって釣りやバーベキューをしたという楽しそうな記事が、続々とアップされている。たまに誘ってくれる人もいるけど、なぜか恥ずかしくて参加できない。そのいっぽうで人と繋がっていたいし、繋がることに喜びを感じる自分もいる。我ながらよくわからない心理ではあるけれど、要は、常に孤独が好きという人間ではない。

夢や目標があって外に出れるのなら、もはや引きこもりではないような気もする。しかも雪山登山なんて超絶アウトドアww 僕の場合、Facebookはまだおじさんたちの同窓会ツールとなる前に登録したが、なんだかよくわからない外国人からのの友達申請が気持ち悪くて完全退会した。LINEもタイムラインに流れてくる文字列とプッシュ通知音を聞いていると使う気にならない。完全に世の中から遠ざかる生活。電車にはかれこれ10年ぐらい乗ってない。AmazonとWiFiがあればそんな人間でも生活できる。ある意味引きこもりのためのインフラが整った世界と言える。この間テレビでLINEのタイムラインでの発言をスクリーンショットで切り取られ拡散されることにより、本音で話せない不便な一面が指摘されていた。若者たちの中にはそれを避けるためリアルに会って話をする方向にベクトルが向け始める者も現れ始めている。ある意味当然の流れだ。

安定

不安定

安定を求めれば求めるほど、不安になる。世の中は常に変化し続けるもの。変化を恐れるのではなく、自ら変化していこう。

「安定」とは、目に見えない幻想だ。僕らは、あると信じてそれを必死に求め、安定を手に入れて、一生、なるべく不安をなくして生きていたいと思っている。人間、誰しも不安を抱えて生きていたくはない。だが「諸行無常」ということばがあるように、この世に存在するものは全て変化し、形あるものはいずれ消え、また生み出されていく。この世に安定しているものは一つもない。だからこそ、求めれば求めるほど不安になってしまうのかもしれない。

人間が太古の昔から現在に至るまで生き残ってこれたのは変化に対応できたからだ。現代でも生きていくには変化に対してついていく気概も必要だろう。安定とともに他人との比較からも解放されることが必要だと思う。

出る杭は打たれる社会で積極的に出る杭となった著者。多くの人にもっと出る杭となってもらい、認め合える世の中であるといいなと思いました。

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