フューチャリストの「自分の未来」を変える授業｜Brian David Johnson

未来のことは心配しても仕方がない。現在のようにコロナが猛威を振るう未来だって誰も予測がつかなかったし、その中でなんとか生きていくしかないから。現在を精一杯生きることでしか未来は変わらないのだから。

フューチャリストのように考える方法

この段階まで来ると、未来の物語がより鮮明になり、最初の行動プランもそろそろ形になっているはずだ。そこで最後の力である「専門家」の出番になる。専門家とは、あなたが必要としているアドバイスや情報を持っている人たちのことだ。

『授業を変える：認知心理学のさらなる挑戦』（米国学術研究推進会議他〈著・編〉　森 敏昭他（監修・翻訳）　北大路書房） というすばらしい本がある。１９９９年の出版だが、今でも学生たちにすすめているほどだ。その中で私が特に気に入っているのは「専門家は情報の中に、素人では気づかないような特徴や意味のあるパターンを見つけることができる＊４」という一節だ。

パターンを見つけるという能力は、フューチャーキャストで大きな意味を持つ。だから３つの力のうち、専門家を最後に紹介したのだ。多くの意味で、専門家はこのプロセスで最も大きな力を持つと言ってもいい。

自分の目標をすでに達成している人を探してみよう。前に登場したティムを覚えているだろうか？　健康の不安を山ほど抱えていた 40 歳のクライアントだ。彼が最初にとった行動は、中年になってからダイエットに成功した人の話を聞くことだ。

何人かに話を聞いた後で、学生時代のチームメイトに連絡をとった。若いころはスポーツマンだったが、中年になって体重が増え、健康状態が悪化するという、ティムと同じ経験をした人物だ。その人は最終的に健康を取り戻すことに成功していた。

何度か会話を重ねるうちに、ミッション成功に必要な専門家がだんだんとはっきりしてきた。まずはパーソナルトレーナーについて運動プランをつくってもらう。食事については栄養士のアドバイスをもらう。そして心身のバランスを保つために、ヨガと瞑想のインストラクターの助けを借りる。

理想の未来は人それぞれだ。あなたが目指す未来は、ティムの未来とも、他の誰の未来とも違うだろう。理由は単純で、あなたの人生はあなただけのものだからだ。それと同じように、あなたに必要な専門家のリストも、他の誰のリストにも似ていないはずだ。

専門家のリストができたら、次のステップは実際に専門家を見つけて、学べることはすべて学ぶことだ。この段階で、あなたはスポンジになる。チームのメンバーを相手にするときよりも、さらに知識を吸収するモードにならなければならない。

どんな教えも貪欲に吸収しよう。専門家があなたの理想の未来をすでに実現しているのなら、彼らがたどった道のりのすべてを知らなければならない。あるいは、たとえ目指すところは違っても、彼らの人脈、経験、知識は助けになるはずだ。