アフターコロナの生存戦略不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト｜成毛眞

アフターコロナの生存戦略　不安定な情勢でも自由に遊び存分に稼ぐための新コンセプト｜成毛眞

2022年4月20日

コロナ禍で打撃を受ける人がいる一方、この状況を好機とみて新たなビジネスに手を出して成功する人もちらほら。飲食店なども手をこまねいているだけでは生き残れない世の中。シフトチェンジのタイミングを考える。

変化に吉兆を見よ

パタゴニアがアウトドア商品だけでなく軍用の衣料品も手がけていることを考えると、これからの消費は「トレンド」よりも「実用性」が重視されるといえるかもしれない。コロナ以前に苦境に陥っていたアパレル業界も、流行を追いかけるのではなく、実用性というキーワードに着目することで、突破口が開ける可能性があるだろう。「人付き合い」も様変わりした。卑近な例でいえば、外で飲む機会はめっきり減ったという人が多いはずだ。これは当初の「コロナが怖い」という理由から、いまや「面倒くさくなった」という理由に取って代わっているのではないか。

近年、若いビジネスパーソンは上司と飲むのを嫌がるといわれるが、実は、上司のほうでも部下に気を使っていたりする。そういう面倒なことから上司も部下も解放されるのだから、みんなハッピーだ。私自身、ビル・ゲイツ以外はほぼ全員が体育会系のノリだったマイクロソフト時代には、かなりの頻度で飲み会をやっていたが、インスパイア創業後しばらくして面倒になって、飲み会の類はほとんど開催しなくなった。

それでは居酒屋がやっていけないという懸念はたしかにある。ただ、コロナ禍でも繁盛しているお店は多々ある。要は、常連やファンを抱えているかどうかの問題であって、嫌な上司や面倒な部下と飲みにいく機会は減ったとしても、気心の知れた仲間と、愛着のある店で飲みたいという需要は減らないわけだ。

つまり、気乗りのしない飲み会が減り、懐にお金が残る。たとえば月２万円浮いたら、年間にして 24 万円。それを自分の好きなことに使えるなら、こんなにいいことはない。在宅時間が増えれば、インテリアやアート作品などの需要は高まるだろうし、沈む業界があれば、浮かぶ業界もあるのだ。

僕は元々インドア派なので、コロナ禍だからというわけではないが、コーヒー器具や食器など普段使いのものにお金を使うようになった。これが意外とコスパの良い生活改善方法だと気づいた。部屋着なんかもそうだが、おうち時間を劇的に快適にすることができるので普段使いのものをグレードアップするのはおすすめです。

成功の9割は運

これは投資も同じで、ベンチャーキャピタルだって、投資先すべてが成功するなどとは思っていない。ざっくりと５件中１件でも成功すれば御の字という世界なのだ。しかし、目の前にあるチャンスに飛びつかないのはもったいない。

無責任なように聞こえるかもしれないが、仕事人生９割は運だ。私がマイクロソフトの日本法人の社長になって、グローバルの売上の半分をたたき出せたのも、投資会社でうまくいったのも、運。経営の神様・松下幸之助も「運」という言葉をよく使ったと聞くが、本質的に成功している人の多くは運だといっている。

もし、「俺の実力だ」といっている経営者がいたら、気をつけたほうがいい。運で切り抜けたことを自分の才覚のお陰だと勘違いしている可能性が高い。私からすると、元上司のビル・ゲイツが大成功したのも運によるところが大きい。

何を隠そう私自身、運任せで気軽に転職してきた口だ。就職からしてそうで、企業訪問などの就職活動などは一切せずに、自宅近くの日米合弁中小企業に就職した。そこに「大志」などというものはなく、当時の彼女（今の家内）に「就職しないの？」といわれて立ちすくんでいたら、運良く彼女のツテで面接が叶ったというわけだ。

その会社には３年間お世話になって、「北海道の大地も飽きたなあ」と思って、パソコン誌をめくっていたら、出版社のアスキーが中途社員を募集していると書いてあった。「編集者もいいな」と思って上京したところ、入社１週間後にアスキーマイクロソフトという子会社に営業として出向になり、２年後には日本語版ＵＮＩＸの営業担当に。さらに２年後マイクロソフトが日本法人をつくるというので仕方なく転職したら、ビル・ゲイツが上司になった。

45 歳になって、さすがにＩＴ業界も飽きたなあと思って、投資コンサルティング会社インスパイアを創業。しかし、私が２年間もオンラインゲームに夢中になって、危うく潰しそうになったところ、今の社長の高槻君が救ってくれた。

こんな人生を送ったからこそ、転職は気軽に、あとは運任せと自信を持っていえるのだ。あれこれ考えて何もしないより、動いたほうがいい。

僕も転職を繰り返した人間だが今は会社に縛られない生活を細々とおくっている。というか40代も後半になると転職も億劫だし難しくになるというのが本当のところ。よく転職を悩んでなかなか決められない人がいるがそういう人は転職に向いていないと思います。気軽にポンポン職を変えられる身軽な人こそ転職を。

アフターコロナ時代の生存戦略と銘打って現在の世相を分析。生き残るために必要な考え方を考察します。今の状況を脱却したいという人たちに送るシフトチェンジの教科書。

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