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お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」|大村 大次郎

歴史はお金の流れを見ると本質が見えてくる。「ローマ帝国は“脱税”で滅んだ」「ナポレオンは“金融破綻”で敗れた」など。お金、経済、権力の動きを5,000年にわたって徹底追跡!!

古代ローマは脱税で滅んだ

ローマの共和政が崩壊した要因の一つは、徴税システムが機能しなくなったことにある。

徴税請負人の権力が強くなり、思うように税収が得られなくなった。しかも徴税請負人の腐敗により、民衆の不満が高まり、各地で叛乱が起きるようになった。

古代ローマには、国家システムを改善へと導く強いリーダーが必要だったのである。

そこで登場してきたのが、帝政ローマの初代皇帝アウグストゥスである。

アウグストゥスは、そもそもはローマの執政官(大統領のような職)だったが、徐々に自分の権限を強化し、最終的に皇帝になったのである。

アウグストゥスは、徴税請負人をなるべく通さず、政府が直接、属州に対して徴税を行うように改めようとした。また、新たにローマが手に入れたエジプトを、皇帝の直轄地にし、財政基盤の強化を図った。

アウグストゥスだけではなくローマの歴代の皇帝たちは、徴税システムの簡素化と公平化に心を砕いた。

悪政で名高い皇帝ネロなどもそうである。

ネロは、これまで市民に公開されていなかった「徴税規則」を公表し、税金を払えない者に対する徴収権を1年の時効で消滅させることにし、徴税担当官の不正の撲滅を最優先課題に掲げた。これらの皇帝たちの努力により、古代ローマの徴税システムは、以前に比べて安定するようになった。 が、徴税請負人制度は撤廃されたわけではなく、徴税担当者の腐敗も後を絶たなかった。

かの『新約聖書』は、帝政ローマの支配下に置かれていたイスラエル地方が舞台になっており、ローマの属州に対する治政を垣間見ることができる。この『新約聖書』には、徴税人のエピソードが頻繁に出てくるのだ。

イエスが徴税人たちと一緒に食事をしたために、ユダヤ教の宗派から難癖をつけられるのだ。「なぜあんな罪深い人たちと一緒に食事をするのか」と。しかし、イエスはこう答える。「私は罪人を悔い改めさせるために来ている」と。

いずれにしろ、当時の徴税人というのは、ユダヤ社会では罪深い存在として扱われていた。つまり、古代ローマの徴税人の腐敗は決して改善されたわけではなかったのだ。

徴税、大金を扱うこのようなポジションでは腐敗が横行しがちなのはいつの世も一緒。この間、元国税局の人間が詐欺で捕まっていたがこういう輩を生み出すのもやはり金。大金を目の前にすると狂う人は後を絶たない。

イギリス紳士の悪徳商売

イギリス人というのは、事業を組織化するのが非常にうまかった。それが、大英帝国の経済発展につながっていくのだ。

海賊行為についても、イギリスは国家として組織化したのである。

冒険商人たちの航海は、一航海ごとに事業化された。出資者を募り、船舶、船員、積み荷を準備する。その航海が成功した暁には、出資者に配当金を払うのである。

この冒険航海事業は、マーチャント・アドベンチャラーズ・カンパニーと呼ばれ、最初に行われたのは1407年、ヘンリー4世の時代である。

海賊船長ドレイクの航海も、このようにして一航海ごとに事業化されている。

そして1600年、イギリスは他の西欧諸国に先駆けて、「東インド会社」を設立。東インド会社というと、オランダのものが有名だが、イギリスのほうが2年早いのだ。

東インド会社というのは、東インド地域(東南アジア全域)の貿易独占権を持つ、国策的な貿易会社である。

国策的な会社といっても、出資金のほとんどは民間の商人たちが拠出した。国は東インドでの独占権を与える代わりに、マージンを取るのだ。現在の半官半民の企業のようなものである。

「東インド会社」世界最初の株式会社というと聞こえがいいが、マージンで稼ぐ悪徳商売である。いつの世も楽して稼ぐシステムを考え出す人というのは一定数いて、その結果こうした搾取のシステムが出来上がる。

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