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経済学で読み解くこれからの日本と世界|伊藤 元重

世の中は今、激変の時代となっております。様々な最新技術によって業界の様相がガラッと変わるところも。通信やエネルギー国際情勢、経済学の視点から今の世の中を読み解いていきます。

世界経済のゆくえに懸念

二〇一二年十月現在、世界経済の景気の先行きに強い懸念を持つ人が増えている。米国経済は二〇〇七年のサブプライム問題の深刻化以来六年近くの景気低迷が続いている。欧州経済はユーロ危機への対応が遅れ、経済全体の先行きを不安視する専門家が多い。世界でもっとも速いスピードで成長してきた中国経済も、ここにきて減速を始めている。中国経済は本格的な転換期に来ており、対応を誤れば経済成長率はさらに落ちることも予想される。日本では、二十年前にバブル崩壊が起きてから、ずっと景気低迷が続いている。世界の主要国が一斉に減速を始めている。世界のどこを見渡しても、景気の先行きに期待を持たせる話は見つからない。海外出張の先でいろいろな国の専門家と意見交換をする機会が多いが、最近は誰も世界景気の先行きへの不安を訴える。困ったことに、この景気低迷と財政問題が同時進行で起きている。そもそも欧州経済の低迷の原因となったのは財政危機である。景気が回復しない米国では政府は懸命の財政刺激策を行ってきた。その影響もあって、米国の公的債務も相当な大きさに膨れ上がっている。日本の公的債務は危機的な状況にある。景気が悪ければ減税をして、そして財政支出を増やせばよい。これが通常の教科書的な議論である。公的債務の大きさがそうした政策の出動にブレーキをかけている。

主要各国の経済の先行きは不安要素が強いが世界を見渡してみるとまだまだ経済成長の途中の国は多くある。そういった国への青田買いが続く。ここにきてそうした国々への投資もレッドオーシャン化してきており、世界経済は混迷を極める。自国の景気が悪いのもこうした投資が鈍る原因となっているのだ。

中国政府

中国政府が人民元を管理するグリップを強く握っていることは間違いない。今回、中国が人民元の変動幅拡大に踏み切ったのは、中国の経済成長が鈍化しており、二〇一二年二月には大幅な貿易赤字を出すなど、人民元が一方的に値上がりする環境にはないと見た、と解釈する向きもある。ドルが安くなることで、人民元がドルに対し多少値上がりしても、全通貨に対するレートで見れば値上がりとはならない、という見方もある。より強い自由化を求める米国と、小出しに自由化を進めながらも為替管理のグリップは握り続けようとする中国、という構図は当分続くだろう。ただ、少し先を見れば、こうした構図が崩れ、人民元が本格的に自由化されていくというシナリオが見えてくる。この半年ほど前、北京で中国国務院と世界銀行が共催する会議に招待された。テーマは二〇三〇年の中国のあるべき姿を論議するためである。様々なテーマが論議されたが、人民元については完全自由化と書かれていた。中国が世界経済のメーンプレーヤーとして成長し、人民元の影響力を拡大していくためには、人民元の自由化以外に道がないのは明らかだ。足元を見れば自由化を進めるのにいろいろ障害はあるが、二十年先を見れば自由化以外の道は考えられない。

中国の人民元管理には各国から非難が相次いでいるため、世界のメーンプレーヤーとして成長していくためには人民元の自由化は避けて通れないステップの一つだろう。

EU

米国と並んで巨大な経済地域であるEUと経済連携協定を結べることは、日本にとっては大きな意義があることだ。日本の政府関係者は交渉に入れるように努力しているが、その努力が実を結ぶことを期待している。さて、米国はTPP(環太平洋パートナーシップ)に参加することで、アジア太平洋での経済連携に関わろうとしている。もともとはシンガポールやニュージーランドなどいくつかの小国の間での経済連携の枠組みであったTPPは、米国が参加することでその性格が大きく変わってしまった。今後のアジア太平洋の通商の枠組みを大きく変える存在である。もし日本がTPPに参加すれば、TPPでカバーされる経済規模が世界の四〇%を超えるような規模になるという。そうなれば、アジア太平洋どころか、世界全体の通商の枠組みに影響を及ぼす存在になる。中国は日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)で東アジアの自由貿易地域を構築しようと考えている。当面は尖閣諸島や反日暴動など、日中間の外交関係は緊張が続くので、経済連携協定の交渉は難しい。ただ、TPPへの対抗という意味でも、中国が日中韓の協定を重要視していることは間違いない。

日本は結局TPPに参加する形に。そこでアメリカの立場が微妙に。2国間で交渉のテーブルは用意されているものの、関税の陣取り合戦はなかなか思うようには進まないようだ。

世界経済がわかれば今後の日本の行く末が見えてくる。日本が激変する時代の中で勝機を見出すのはどのようなチャンスかがわかります。情報の見方、考え方が変わる55の視点とは?

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