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大阪人の「うまいこと言う」技術|福井 栄一

テレビに出ているお笑いの人をみてよくもまああれだけポンポンと言葉が出てくるなとコミュ障な僕は思うのであるが、上手いこと言うには技術があると言うのがこの本の趣旨。僕は人より多く本に触れているのでそれがしっかり機能していれば会話のネタには困らないはずなのだが、知識偏重で実践的ではない僕はしばしばそのギャップに悩むことに。人間関係を円滑に保つ会話術の授業を始めます。

根性悪の姑

【会話例】 「おかん(お母さん)の字は細かいなあ。 なんて書いてあるんか分からへん。 根性悪の姑や」 「なに 言うてんの。 あんたまだ独り者やんか。 嫁さん、はよもろてんか」

【意味】 読みにくい(嫁憎い)。

【解説】 姑と同居するお嫁さんが、ある日、悪筆で有名な知人から来た手紙を見て、「根性悪の姑やわあ」と呟く。それだけなら、ただの独り言である。しかし、かつてはやったマーフィーの法則ではないが、人生、最悪のタイミングで最悪のことが起こるものである。そのときに、そこへたまたま姑が通りかかってこの発言を聞いたとしたら……嫁姑戦争の勃発ないし再燃となる。このしゃれ言葉は、周囲をよく見回してから使う必要がある。 「読み」と「嫁」を通わせるのは正直いって少々苦しいが、にもかかわらずこの種の言い回しが伝えられてきたのは、ひとえに、人類普遍の(?)「姑と嫁はうまくいかない」という法則の威力のゆえだ。嫁と姑の不仲は、古今東西を問わず、当事者を含めた多くの人々を悩ませつづけている。それにしても、漢字というのは、じつにうまく出来ている。「姑」は「古い女」と書き、「嫁」は「家の女」と書く。いままでずっとその家をとり仕切ってきた女性(姑)が、新しく若い女の出現で、突然に主役の座を奪われ、「古い女」とレッテルを貼られる。面白かろうはずがない。一方、嫁は嫁で、押しも押されもせぬその「家の女」として敏腕を振るおうとするが、なにかにつけて守旧派の姑が口を出すので、反感を持つ。両者の衝突は不可避であろう。これに子供(孫)が絡むと、事態はいっそう険悪化する。

読みにくい(嫁憎い)これは分かりにくいが見事なシャレ言葉。使う際は姑のいないところで。巷の嫁が虐げられている様子とその心情を文字の読みにくさなどとかけたものだが、ママ友との間とかで流行らせたらどうだろうか?

爺の喧嘩

【会話例】 「今度のサッカーの試合相手は、 優勝候補の筆頭。 強豪との戦いを勝ち抜いてきとる。 爺の喧嘩やし、ますます気を抜けんで」 「ホンマ、踏んだり蹴ったりやなあ」

【意味】 場(婆)を踏む。

【解説】 「場」を大阪式に「ばあ」と伸ばして発音するから、「婆」の語に通じる。超高齢社会ということもあり、最近よく「お前百まで、わしゃ九十九まで」という言い回しを耳にする。地方自治体主催の敬老パーティーなどでは、市長あたりも開会のスピーチなどで、よく引用している。お爺さんがお婆さんに向かって「お前百まで……」と言うのを目にすると、なにも知らない世間の人々は「嗚呼、素晴らしきかな、夫婦愛」と感動して目頭を熱くする。しかし、この間、「あたしゃ、この言い草は絶対許せないねえ」と憤慨するお婆さんに出会った。「どうしてですか?」と尋ねると、彼女はこう答えてくれた。「だってさあ、いままでさんざん苦労させられたグウタラ亭主に、『オマエさんは百まで生きて、九十九で死ぬワシを介護してくれ。それからなら、いつ死んでくれてもええぞ』と言われるようなもんじゃないか。そこまで馬鹿にされて、誰が嬉しいもんかね」

場(婆)を踏む。これは妻に邪魔者扱いされている長年寄り添った夫(爺)の様子が反映されたシャレ言葉。

馬場の柿の木

【会話例】 「あの社長、交際費をケチりよる。 それで仕事だけはくれやて、 馬場の柿の木もいいとこや」 「ホンマ、渋い人やなあ」

【意味】 なっとらん。

【解説】 大阪城の大手前の広場が、馬場である。地元市民や観光客の憩いのスペースとして親しまれているから、ともかく人出が多い。そこに生える柿の木が一所懸命に実をつけても、その実が十分に熟すまで、みんなが待ってくれるはずがない。通りすがった人は、食欲に駆られ、さらには「旅の恥はかき捨て」的な解放感も手伝って、柿の実を見つけるを幸いに、つぎつぎに枝からむしり取っていくので、柿の木はいつも丸裸で、熟した実がつくのは無理というわけ。こうした柿の木の「なっとらん」と、ある人が不心得者であって話にならない、という意味の「なっとらん」との 音 を通わせて、このしゃれ言葉が成立しているのだが、大事な実をそっくり奪い去られる柿の木からすれば、そうした仕打ちを平気でするような心ない人間こそ「なっとらん」、と言いたいに違いない。

不届きものを揶揄した言葉。馬場という地名と土地柄を知らないと意味がわからないだろうが、大阪ならではのシャレ言葉。

上手いこと言う例え言葉、シャレが効いててその面白さに触れると使ってみたくなるが、なかなかそのシーンに遭遇しないのはご愛嬌。

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