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人生は、なんとかなるものである|森田 雄三

還暦を迎えてからブログを始めた筆者のお悩み相談から生まれた人生論的書籍。寄せられる質問や悩みは千差万別。肩の力を抜いて読める書籍です。

「貧乏と結婚」について

「一人じゃ食えないけど、二人になったら食えるものだ」という、格言というか、諺は、もうないのかな。僕らの若い頃は、年配者がよく言ったものだ。最近「ルームシェアー」という言葉をよく聞く。部屋代の負担が半減できるのが都合いいとか。知り合いの三十代半ばの女性が二人、同居の楽しさを語ってくれた。部屋に戻って「人の気配」が、何ものにも代えがたく「心休まる」とか。僕も二十歳代に、数年間「ルームシェアー」をしていた。八畳と四畳半の風呂なしの木造アパートに、二段ベッドの同居だったからタコ部屋に近い。相方はマメな男で、必ず夕食を作ってくれた。一人で食べるより、雑談しながらの食事は楽しい、というよりそれまでが外食だったから、味噌汁におしんこといった、普通のおかずがありがたかった。未だに記憶があるのは、銭湯の湯船に浸かりながらのバカ話。帰りの貧乏くさい惣菜選びも、愉快だった。ほとんど収入がなかった僕が、二十歳代を乗り越えられたのは彼のお陰だと思っている。相方の家庭の事情で、同居は解散となったが、その後の一人部屋でのアパート暮らしは、今にして思えば辛かったのかもしれない。無論、経済的にだ。一年後には結婚している。部屋代が払えなくなり、今の連れ合いに荷物を預かってもらい、劇団の稽古場の隅で寝泊まりしようと考えたのだ。それが、あれよあれよという間に、同居、入籍となった。

最近では専業主婦(主夫)になるより共働きでダブルインカムになった方が生活が金銭的に豊かになるといった考え方をする人が増えたような気がする。僕らの親世代はギリギリ経済が成長する時代に生まれているのでそれほど共働き世帯は多くなかったが、女性の社会進出で現在は共働きの方が主流となっている。金銭的問題から共働きをする人や、子供が生まれることで養育費が必要となり、子育てしながら育休取りつつ働く人も。世の中変わったもんだ。

「貴族階級!?」

僕が住む 二子玉川 にあるデパートには、セレブな母娘が買い物に来ている。多分、彼女たちは、有名幼稚園から始まって、私立のお嬢様学校というコースを歩んだのだろう。昔でいう「貴族階級」。我々「庶民階級」とは関係ないと思った方がいい。我々は金持ちに成ろうとしたって、成れないのです。金持ちには「金持ちの幸福」があるように、貧乏人には「貧乏人の幸福」があると思った方がいいのではないでしょうか。結婚して一年目に、僕は台所のテーブルを照らす照明器具を買いにヤマギワまで、連れ合いと出かけた。相手をしてくれた店員さんは、「新入社員です」と名乗って親切にしてくれたのを覚えている。買い求めた半円形の照明器具を台所に吊るすと、店で見たより大きかった。二人で、その明るさの中で「大き過ぎたね」と何度も言い合ったものだ。長男が二歳の頃、買い置きのビールが常備されるほど、我が家は豊かではなかった。その日の缶ビールを飲むかどうか迷った末に、坂の上の酒屋まで、一個のビールの為に歩いたものだ。幼子を連れて、一個のビールを買いに来る僕たち親子を、酒屋の爺さんが同情してか、面白がってか、息子に駄菓子を握らせてくれるようになった。それ以来息子は、「いいもん屋さん」と酒屋を呼ぶようになり、小躍りしてついてくるようになった。貧乏は豊かで楽しいことなのです。しかし、孤独の貧乏は辛い。

二子玉川というと僕の家からも近いので親しみがある。僕が若かった頃は高島屋と東急ハンズぐらいしかなかったので、もっぱらその2店舗を行き来するぐらいだったが、現在は再開発も進み、おしゃれでリーズナブルな価格帯のものが多く揃う若者にも優しい街へと変貌した。

「何もかも嫌になってる時」について

食べ物がない(金がない)という目先の問題なのに、「夫婦間の愛情」の問題とすり替えている。「あんたのチャランポランが嫌だった」「好きだと言ったくせに」みたいな金とは関係ない喧嘩。このケースでは、双方共に「離婚だ」と騒ぐが、別れると、経済状況がもっと厳しくなるのが分かり切っているから、夫婦別れしないのも一般的。例外があって、妻の実家が裕福な場合は離婚する。だって、元々夫婦の「愛情の問題」ではなく、「お金の問題」なのだから。稀に、稼ぎの良い愛人がいて、それに乗り換えての離婚もある。人間は「お金の問題」には直面できないと思った方がいいだろう。「愛情の問題」にすり替える癖があるのです。金がなくなってからの「夫婦喧嘩」は止めた方がよい、というのは僕の忠告です。逆にいうと「夫婦喧嘩」のほとんどに、金が絡んでいる。ちなみに「浮気」すると、連れ合いと行ったレストランや温泉旅館より、必ずといっていいほどワンランク上なのだ。つまり、金をかけている。キリギリスがキリギリス振りを発揮しているというのが「浮気」なのだろう。

お金がないと浮気もできないと思うのは僕だけだろうか、というか恋愛さえままならないのが貧乏の悲哀。

人生はなんとかなるものであると楽観していた方が面白い。僕は意外と環境適応能力が高いせいもあり、様々な環境で自分の楽しいことを見つけてそれを楽しむことは慣れっこだ。人生つまずいた時に読むと楽観できるマインドに戻してくれる書籍です。

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