「ノーと言えない人」「真面目な人」…。「いい人」は、なぜ心を病んでしまうのだろうか。それは「いい人」が他人との衝突を恐れ、人に嫌われないように生きようとするからだ。本書は、精神科医である著者が、長年の臨床経験に基づいて、傷つきやすい人の心理を読み解き、人と関わりながら自然に生きるための処方箋を説いた本である。「いい人」が、「必要な人」に生まれ変わるためのきっかけが掴める一冊。
「いい人」であることの不安と自信
「いい人」「悪い人」という二分法で人間を考えるのはそんなに簡単なことではありませんし、あまりに単純化し過ぎるのも危険です。「いい人」というものを、何も嘘をつかず、 諍いごともまったく起こさないような人だと考えてしまうと、その純粋さが単純さと結びついて周りの状況が読めない、あるいはバランスを考えることができない人になってしまいます。これは決して「いい人」として誉められるものではありません。もう少し世の中のことを知って、それにふさわしいバランスのとれた行動や思考をするべきです。 「いい人」として振る舞うということは、それが社会的に一つのアクションとして動けるほどのエネルギーと自己主張できる強さ、人に批判されてもそれに動ずることなく淡々と正しい批判は受け入れ、間違った批判は軽く流すといった知恵をそなえていることです。単純に「いい人」で生きることは現実には難しいのです。私たちは「いい人」「悪い人」という概念を越えて、自分の良心に従い、この世の中でできるだけ創造的に生き、できるだけ多く楽しみ、できるだけ多く学び、できるだけ多く何かを考え、先を考え、全体的視野で生きていくことが必要です。そういった生き方が我々に本当の生き甲斐を与えるものと考えられます。
自分のことを悪人だと思っている人はそうそういないだろう。犯罪者の中にだって自分が「いい人」であると考えてやまない人もいるぐらいだ。人間をそう簡単に「いい人」「悪い人」と分けることなどできない。世の中のいう「いい人」と自分の思う「いい人」との間に乖離が起こるとややこしいことになる。自分が思う以上に自分は「いい人」ではないかもしれないと思っているぐらいがちょうどいい。
「やさしさ」と「弱さ」の精神分析
Aさんは上層部の命令で全国の社員三万人のリストラを実施したそうです。すると、リストラされた社員の家族から連日電話がかかってきて、「どうしてうちの子がこんな目に遭うんだ。まじめにやっているのに」「うちの人はすべてを会社に打ち込んできたのに、それをクビにするとはどういうことか」「会社はいったいなにをしてくれたというんだ」と責めたてられたといいます。初めのうちは、Aさんは「すみません。会社も生きるか死ぬかという状態なものですから」とか、「申しわけありません。私どもにはどうしようもできないのです」と平謝りに謝り続けていたのですが、やがて次第に会社に腹が立ってきたそうです。――会社の重役たちは、自分たちが生き残るために低賃金の部下たちのクビをこれだけ切っておいて、自分たちだけのうのうとしているというのはどういうことだ。許せない。こんな会社辞めてやる!そう思ったとたん、では辞めたらうちの家族はどうなるんだ。自分の再就職は…… といろいろなことが脳裏に浮かび、うつになってしまったのです。
世の中の人事担当者はこうした会社のリストラ策の最前線にいるわけで、戦場で戦う彼らは毎回怨みを買う対象となってしまう。自分も雇われの身で、上からの指示に従って人事を進めているだけなのに、嫌な役回りだ。そんな時「いい人」すぎると鬱になってしまったりするわけだ。
心の病にかかりやすい性格
特に「いい人」であろうとすると、その危険は増すばかりです。他人から嫌われたくないという気持ちがベースにあって、つい怒りを表せない人、「ノー」と言えない人、実直すぎる人、気の弱い人、寂しがりやの人などになってしまう私たち……。いったいどうやって自分を防御すればいいのでしょう。そのためには、まず自分自身の性格を知るべきです。そして、自分の性格がどのような心の病に陥りやすいのかを知るべきです。そのうえで自覚的に自分の生き方や方向を選び取り、心の危険を回避するとともに充実した人生を築き上げなければなりません。といっても人は十人十色、心の病の症状も千差万別です。どのような基準で自分の性格や陥りやすい心の病を知ればいいのか、途方に暮れるばかりです。本当に「いい人」になるには自分の性格を知り、弱点を見つけ、それを少しずつ強さに変えていく努力をすべきでしょう。そうなればその人の心の世界はもっと広がり、人生を楽しむことができるのです。
僕も統合失調症なので心の病を患っていることになるが、「ノー」といえない人は損をしたり人間関係で負担を強いられる事が多い。ある友人は奥さんの誕生日なのでプレゼントしたいのだが一口乗ってくれないかと金銭を要求してきたり、僕をボランティアに強引に連れて行ったり、賭け麻雀に誘ってきたりして負担が大きくなってきたので距離を置くことに。「ノー」という勇気を持たないと自分が潰れてしまうので、気が弱い人でも恐れず「ノー」と行ってみよう。意外と何も起こりませんよ。
世の中を渡っていく上で、虐げられる事が多い「いい人」。心を病む前に負荷をかける人との付き合いはやめて距離を置くことも自己防衛手段の一つと考える事が必要です。
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