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「その日暮らし」の人類学~もう一つの資本主義経済~|小川 さやか|生き方を問い直す

人は働かないことに憧れながら実際には仕事で成果を追い求め今を犠牲にゴールを目指す。しかし、こうした成果主義や資本主義とは異なる価値観で生きるごく少数の人たちもいる。「貧しさ」がないアマゾンの先住民、職を転々とするアフリカ都市民、海賊行為が切り開く新しい経済圏。彼らの生き残り戦略から働き方、人とのつながり、時間的価値観を学ぶ。

最小限の努力で生きる農耕民の世界

わたしが Living for Today なるものに学術的な関心を抱いたきっかけは、二〇一三年一二月に故人となった京都大学名誉教授の掛谷誠先生の講義だった。掛谷は、一九七〇年代初頭にタンザニアの焼畑農耕民トングウェ人の生計経済を調査し、彼らの生計維持のしくみを、「最少生計努力」と「食物の平均化」の二つの傾向性を切り口にして論じた。四〇年以上も前の論文だが、いろいろな意味でわたしの心に強く残ったものなので、少し詳しく紹介したい。

トングウェ人は、タンガニーカ湖の東岸部から東へと広がる乾燥疎開林に暮らす農耕民である。掛谷が調査に入った一九七〇年代当時は、いまだ現金経済はあまり浸透しておらず、トングウェ人は焼畑農耕、狩猟、 漁撈、蜂蜜採集など自然に大きく依存した生業によって、基本的に自給自足の生活を送っていた。掛谷はトングウェ人の生業を綿密に調査し、彼らが年間の推定消費量ぎりぎりしか主食作物を生産していないことを明らかにする。さらにトングウェ人は、森林と森林後退後の二次性草原だけを開墾し、広大な熱帯降雨林やサバンナを農耕の対象とはしていないことや、どのような食べ物が好きかにかかわらず、いちばん手近で簡単に入手できる食糧資源に強く依存する傾向があることも明らかにする。

「トングウェ人は、できるだけ少ない努力で暮らしを成り立たせようとしている」という掛谷の発見は、当時のわたしには衝撃だった。物心がついた頃から「努力」とは最大限にするものであり、努力に「最少の」がつくのは、なんだか語義矛盾に思えたのだ。

最少生計努力の原則は、トングウェ人たちに自然の改変を最小限にとどめ、原野の自然と共存しながら暮らすことを可能にしていた。

今の時代は飽食の時代でそこまで食にお金をかけなくてもいいのにと思うぐらい。皆んな食にうるさい感じがしてならない。僕は無駄に高いだけの食事が嫌いで、もし1,000円の定食と2,000円定食があったらそれは2倍の感動が得られるかどうかを計算してしまう。大抵僕も物差しではそこに至らないので1,000円の方を選択します。

いまあるお金で買えるモノ

アフリカで模造品やコピー商品の消費が拡大している理由はしかし、必ずしも「お金がないから」や「ブランドの価値を理解していないから」ではない。中国製品が経済的な余裕のない人びとでも買うことのできる「安さ」を実現していることは事実だが、この安さの効果とは、「いまこのときの事情において」という 但し書きがついたものである。

日本製品を褒める消費者の多くは、実際に日本製品を中古で購入した経験がある。中国製品が市場を席巻する前には、中古車からテレビや冷蔵庫などの電化製品、中古衣料品、玩具に至るまで、輸入消費財の多くは中古品で賄われていた。新品ではとうてい無理でも、中古品ならば本物の高価なブランド品を購入できる。中古市場で掘り出したアルマーニのシャツやバーバリーのハンドバッグをみせてくれる人びとに遭遇すると、二〇代を貧乏な院生として過ごしたわたしよりも彼らのほうが、有名ブランド品と接した経験は多いのではないかと思うことさえある。大半のコピー商品や模造品に比べ、中古品はわずかに高かったり、少し前の流行品だったり、アフリカ市場向けにつくられた中国製品とは違い現地の嗜好性に即したデザインの品は希少だという難はある。それでもやはり品質や機能は圧倒的に優れているので、コストパフォーマンスは中古品のほうが良いとみな指摘する。

では、なぜ中古品ではなくコピーや模造品を買うのかと聞くと、消費者はみずからの買い物行動を「必要性」と「偶発性」の二つで説明する。前者は、たとえば、「来週から学校にあがる子どもの靴が必要だ」などの場合を指すが、ここでは「必要になったら購入する」よりも「必要に迫られるまで買わない」の意味合いが強い。

中古品より偽ブランド品の方が安いというのは衝撃。最近では技術が流出していて模造品でも本物そっくりで素人目にはわからないなんてこともあるから余計そっちに流れるのだろう。買い物行動を分析すると「必要性」と「偶発性」の二つで説明できる。

失敗しても誰かのフォローで成り立つので気にしない。最小限の努力で生きる。借金を返さなくてもいい方法。違法なのだが社会的には許される商売などを深掘りしていく書籍。

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