大人が大人になるのがとても難しい時代です。大人が真に内面的に成長・成熟した大人となって、心から満たされた人生を生きるのが難しい時代です。多くの人が、心のどこかで迷いや不確かさを抱えながら生きています。なぜか。それは、今の日本社会では、「いつまでも若々しくあること」、「元気に活動すること」といった外的な価値にばかり重きが置かれていて、「中年期以降における内面的な成長・成熟」ということはないがしろにされ、それを重視する価値観が育まれてこなかったからです。本書はそんな日本社会で成長・成熟した大人として人生の折り返し地点から先を何の悔いもなく全うして生きるためのガイドブックです。
若さ偏重主義
欧米の映画では四〇代くらいの女性がラブコメディーなどでのヒロインと咲いてでていることが多いです。日本ではあまりないことです。しわがあっても、老いを隠さずにヒロインとして映画に出ている。ちゃんとしわがある人が成熟したすてきな女性の代表として描かれている映画が結構あります。一方、日本の恋愛映画で、目尻のしわを隠していないヒロインというのはあまり観たことがありません。これは欧米に比べて日本の中高年の間に「老いることの価値」=「老いていくことによって内面的に成熟することもまた美しさなのだ」、「内面的な成熟も美の表現のひとつなのだ」という認識が成立していないためでしょう。
最近では自撮りをしてSNSにあげることで自己表現する人が増えていて、「いいね!」という承認を得ることが当たり前となっているため、みんな自撮りテクの習得に必死だ。奇跡の一枚を撮るため、目を大きく開け、カラコンで黒目を大きく、ななめ上から撮影し、口角はあげる、仰向けに寝て撮影したり、少しだけ頭を傾けたり。こうして取られた奇跡の一枚に馬鹿な男が引っかかって、ダイレクトメッセージを送ったりするわけだ。実際会ってみたら、奇跡の一枚とは似ても似つかない女性がそこにww
今も昔も変わらないが、アイドル産業なども、若さ偏重主義の最右翼だろう。歳をとってくると、否応無しに引退や卒業を余儀なくされ、そこで今まで培ってきたスキルによって、芸能界から姿を消すか、女優など他のジャンルに鞍替えしたりと実力が試されるのだ。
「心」「内面」の価値の重要さ
中高年の方の中にも、「心」、「内面」の価値の重要さを認識している人は増えています。これから三〇年にもわたる長い「老後」をいきていく決め手になるのは、今さら外的な生産性ではなく、「内面」や「心」の豊かさであることは誰にでもわかります。自らの心の成長を目指して、心理学のワークショップに参加する人も増えています。新海誠監督のアニメーション映画「君の名は。」のヒットに象徴されるように、「現実」と「夢」の間の境界があいまいになり、現実とは共同で見る夢のようなもの(ドリーミング・フィールド)であるという感覚が共有される中、「よい夢」を見るかのようにして、残りの人生を生きていたい、それが人生後半の充実の決め手であろう、と感知している感度の高い中高年も明らかに増えているのです。
とは言っても、容姿が老けてきたり、身体能力が衰えてきたりすると、ただ途方にくれるという人も少なくないであろう。僕の場合、増える中性脂肪がなかなか落ちなくなってきて、一度はダイエットに成功しとものの緩やかなカーブを描き元の体重にじわじわ戻っていくのを必死に抑える毎日です。男性でもスキンケアは大事。と聞けばアンチエイジングのため化粧水や乳液、美容液などを試したり、体臭はそう強くないが、香水をあれこれ試してみたり、内面の成熟よりとりあえず外見の維持に取り憑かれて女子化してしまっています。
中高年にクレーマーが多いわけ
人格が成熟した人は、自分の弱点を人にある程度見せても平気です。自分の弱点を人に見られたくない。人に助けを求めることができない。そのこと自体が未熟さの現れです。もう少し自分のことを理解してほしいとか、大切にしてほしいと言えないとどうなるか。今度は相手を責めます。クレームに出るわけです。その結果、クレーマーがものすごく増加しています。「クレーマー」というのは、「他人に求める行動」の端的な例です。「他人に求める」時に、「もうちょっとこうしてほしいんだけど」とか「私はあなたに、もうちょっとこうしてほしいんだけど、お願いできないだろうか」というような仕方で「きちんとていねいに言える人・言葉で表現できる人」は人格が成熟している証しです。
相手にしてもらいたいことを、言葉でうまく表現できないと、クレーマーのように残念な大人に。成熟した大人としては、相手にも配慮しながら自分の思いや考えを伝える「アサーション」という方法を身につけることが求められる。「アサーション」は自分も相手も大切にする表現のスキルです。アサーションについては『働く人のメンタルヘルス ストレスに負けない強い心のつくり方』でも紹介しているのでそちらで。
成熟した大人の人生哲学とは何か?なども紹介されていて、僕はアラフォーにしてまだまだ子供だと痛感させられる書籍でした。
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