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「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」で格差を目の当たりにする

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『下流老人 一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)の著者の著書。この本における所謂、「貧困世代」の定義とは外れてしまうが、病気で離職し、未婚で収入が少なく実家住まいという点では同じなので共感する部分も多かった。結婚・出産なんて「ぜいたく」だという帯はなんとも刺激的なフレーズだ。ちょっと前に「保育園落ちた、日本死ね」という匿名ブログが話題になったが、少子化問題は結婚・出産以前に結婚すらできない人々の問題にも言及すべきだ。努力や我慢が足りないと言われれば、そこで議論がストップしてしまうので、そういった努力至上主義的な考えは横に置いておくべきだ。戦後と現代では時代背景も違うのだ。

物質的に貧しくても、人間関係は豊かであり、自助や共助によって、今より多くの人が救済されていたとも言える。ひるがえって、現在の若者はどうだろうか。家族や親族、近所のおじさん・おばさんが困りごとに対応してくれるだろうか。以前ほど安い下宿先はあるだろうか。職場でも正社員か非正規社員かで分断され、連帯できる仲間意識が形成されにくいことに、考えは及んでるだろうか。

僕も働いていたところ(非正規)は待遇や福利厚生が悪かった訳ではないが、病気で離職した。以来精神疾患で10年以上精神科に通っているがセーフティーネットと家族の理解があったおかげで、なんとか日々過ごしている。しかし、僕のようにセーフティーネットからこぼれ落ち、家族の理解がなかったらと思うとゾッとする。同じような状態で実家での生活を余儀なくされている若者を檻のない「牢獄」と化した実家と表現している。

若者が抱える様ような問題

向学心を削ぎ落とすブラックバイト、高額な授業料と親の収入減による仕送りの低下から起こる、住居の問題。奨学金は給付型から貸与型へ、利用者の数も大学生の半数以上に及んでいる。卒業後に就職できずに非正規職に就かざるを得なかったり、正規雇用でも賃金が低いなどの就職状況に奨学金の返還問題が絡んでくる。この本では、住宅がなければ、少子化ひいては人口減少も止まらないとし、住宅こそ最大の福祉制度だと主張している。海外に目を向けると公営住宅や社会住宅(低家賃の公的住宅)が整備されている国ほど世帯形成率が高くなっているそうだ。

高額家賃の都市部では、低家賃の住まいさえ安定供給されれば、将来への不安は大部分で軽減され、結婚や子育ても考えられるようになるはずである。将来への不安や自身の生活の苦しさが少子化の根本的な原因になっているのだから。

貧困や格差は自分がそこに身を置くか、意識しないと見えてこない。そういったことからこの本のように「見える化」した情報は重要だと思った。

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