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「自己啓発」は私を啓発しない|齊藤 正明|自己啓発に600万円突っ込んだ著者の成功の軌跡

会社での人間関係に悩み、会社も傾くなか、いっそのこと独立しようかなんて考えて手に取ったのは自己啓発セミナーへの入り口となる教材。自己啓発に600万円突っ込んだ著者の成功の軌跡。

自己啓発セミナーへの入り口

初級コースでもかなり厳しく言われますが、そのとき、「ああ、厳しかったけど、確かに役に立つな」と思った人が次のコースに来ているので、むしろ厳しく言われることはありがたいことと受け止めているのです。途中で「講師の言っていることは、何かおかしいな」と感じ、口ごたえをするとどうなるかといえば、「そういう屈折したものの見方をするから、社員さんがついてこないんです!」と、事前課題で提出した弱点をザクッと突かれ、たいていの人はシュンとしてしまいます。もし、それにもめげずに反抗すると、「自分の殻に閉じこもったこの哀れな人に、皆さん『援助』をしてあげてください」と講師から言われ、約 40 名の全受講生から、その人に対して、「もっと頑張りましょうよ!」「言い訳しないでください!」「あなたは自分から逃げています!」と、もみくちゃにされて「援助」という名の総攻撃を食らうのです。この援助は長いと1時間にもわたり、途中でメガネを踏み潰されている人もいました。とにかく、そこまで周りの人から自分のことを否定されると、「間違っているのは、やはり自分なのかも……」と考えを変えるようになり、講師の言葉は神の言葉に近づきます。結果、講師から「……ということで、皆さん、わかりましたか?」とたずねられると、「ハイ!」というタイミングの合った軍隊さながらの返事が会場中にこだまし、一糸乱れぬ行動と思想の集団ができあがるのです。教えられる内容としては、「うまくいかなくても、それを他人のせいにしない」「前向きに生きる」「率先して動く」「仲間を大事にする」など、確かに大事な価値観を体験学習で植え付けてもらえるので、それ自体は悪いものではないかもしれません(インターネットの告発サイトを見ると、場合によっては精神を壊してしまう人もいるようなので、けっして手放しに「良い」とは言えないのですが)。セミナーでは、神に等しい講師の意図と外れることをやると、全員の前で血祭りといっていいほど罵倒され、意図に合ったことをやるとクリアできるワークショップになっています。この両極端な仕組みが、「このセミナーの教えは素晴らしい!」「自分はもう、どんな仕事の問題もすぐに解決できる!」と強く信じさせるようにできているのです。

この手の自己啓発セミナーには内部の人間が受講生として潜り込んでいて、自分たちの思い通りにいかない人間を徹底的に洗脳するわけです。そして洗脳された人間の末路は多額のお金を払わされた上に新たな受講者の勧誘とさらなるセミナーへの参加を求められ続けるという連鎖が。そして洗脳された人間は居場所がそこにしか存在しなくなり、ますます世間との乖離がひどくなります。家族がそのセミナーに対して批判などしようものならそのセミナーの講師から得たわけのわからぬ理論で捲し立てて全力で抵抗します。僕の妹はこうした自己啓発セミナー会社にどっぷり浸かりかなりの額を払って共同経営者というなんとも良さげな肩書きを与えられています。そしてリモートワークが進み家にいることが多くなった現在は、一日中ZOOMでセミナー会員とやりとりしていてもう世間と隔絶した生活をおくっています。

自己啓発の本質

〝自己啓発〟というものは、読んで字のごとく「自分で進化・向上していくこと」を目指すものです。しかし、セミナー漬けになっている人のなかには、「何でアイツはこうやらないんだ?」と他人が変わってくれないことに不満を持つ一方、「自分が変わろう」という意識が、あと一歩だけ足りないケースも見られます。このような「自分のほうが正しいことをしているんだから、相手が自分に近づくべきだ」という「べき論」にたどりついてしまうと、それはもう、「宗教対立」と構図は一緒です。意見や考え方が違うお互いが、それぞれ「自分は正しい」と思い込んでしまうと、仲良くできることなどありえません。顔を合わせるたびに衝突を繰り返し、憎み合うことになってしまうのです。

自己の向上を目的としているはずなのに、自己啓発で啓発されない人間がほとんど。だから依然として自己啓発本が売れるわけです。僕もそのうちの一人で数多くの自己啓発本を読んできましたが、いまだに新しい自己啓発本を読んでいます。本当に効果のある自己啓発本があるならその一冊を読んだらそれで変われるはず。良い習慣があってもそれを実行しない、できない人が、僕を含め多いのだと思います。

「自己啓発」は私を啓発しない、その通りだと思います。異業種交流会などに行っても無駄な人脈ができたり、人をネットワークビジネスに引き込んで自分の儲けにしようと考える輩で溢れているので、あまりお勧めできません。

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