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自分を「平気で盛る」人の正体 増殖する演技性・自己愛性パーソナリティ

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自分を〝偽装〟したり、自分を〝盛る〟ことでよく見せようとする自己アピールの強い人たちが問題を起こすことが増えています。日本人の多くは、これまで「能ある鷹は爪を隠す」が美徳だったのに、自己アピール力がないと、出世できないどころかリストラの対象にされかねない事態に直面している。本書では自分を平気で盛る人を分析していきます。

自分を「平気で盛る」人が増殖

たとえば、初めて行った高級レストランのランチの写真と共にあたかも常連であるかのようなコメントを載せたり、街撮りしたクラシック・コンサートのポスターの写真だけを載せて、まるでそのコンサートに行ってきたフリをしたり、自分の机の上に英字新聞などを置いて写真を撮り、それをブログに貼って〝意識高い系〟を装ったり‥‥‥このようなことが日常茶飯事のように行われています。

自分を少しでもよく見せたいという心理は誰にでもあるもので、〝盛り〟に対して敏感に反応することはないという人もいるが、ちょっと盛ったそれは真実とは異なるので、本当のことが分かった時に、騙されたと思う人もいるはず。「あれ?高級レストランの常連じゃなかったの?」「クラシックが好きだったのでは?」「英字新聞が読めるんじゃなかったの?」といった具合に。

これが個人ならまだいいがメディアなど影響力のある媒体が行うと社会問題に2007年1月に某番組で納豆がダイエットに効くという内容が放映され、全国のスーパーで納豆が飛ぶように売れたが、のちにそれが何の科学的根拠もないことがわかり番組が打ち切りになった。納豆が体に良いことはわかっているので、それをちょっと盛ったわけだがお粗末な結果に。

記憶に新しいところでは、燃費データの改ざんが発覚した三菱自動車の事件もデータを〝盛った〟例といえる。しかしこれも〝盛った〟程度の話で済むはずもなく、補償や賠償問題まで発展し、ついには日産の傘下に入ることとなる。

「盛るのが当たり前」を後押しするAO入試とSNS

AOとはアドミッションズ・オフィスの略で、「入学者を選別するための事務局」と訳されますがAO入試の特徴は、面接や小論文を通して適性や意欲を見て大学側の求める学生像に沿った人を選ぶ点にあります。これまでのようにペーパーテストだけで学生を選別するのではなく、多面的に受験生を評価する入試制度だと言われています。

AO入試にはデメリットもあります。たとえば分数もできないほどの学力しかないのに、自分を盛って面接に挑むことでいくらでも好印象を与えることができてしまう。「AOは〝アホでもオーケー〟の略だ」と皮肉る人もいるほどだ。盛るのが当たり前となった背景にはSNSの普及が挙げられるだろう。LINE(5800万人)Twitter(3500万人)Facebook(2400万人)Instagram(810万人)多くの人が利用するSNS、その他にもブログやホームページ、あるいはYouTubeやニコニコ動画などで情報を発信する人もいる。

個人が大勢の人相手に自己アピールできるツールがこんなにも多く用意されている時代。自分を盛る人には演技性タイプと自己愛性タイプがあり事項で両者を比較していきます。

二つのパーソナリティ障害の診断基準

「演技性パーソナリティ障害」

端的に言えば、過度な情動性があり、演技的、あるいは性的誘惑、嘘をついてまでも周囲から終始注目されようとするような人達のこと。

*以下のうち五つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 自分が注目の的になっていない状態では楽しくない。
  2. 他者との交流は、しばしば不適切なほど性的に誘惑的な、または挑発的な行動によって特徴づけられる。
  3. 浅薄ですばやく変化する情動表出を示す。
  4. 自分への関心を引くために、身体的外見を一貫して用いる。
  5. 過度に印象的だが、内容がない話し方をする。
  6. 自己演劇化、芝居がかった態度、誇張した情動表現をする。
  7. 被暗示的(すなわち、他人または環境の影響を受けやすい)。
  8. 対人関係を実際以上に親密なものと思っている。

「自己愛性パーソナリティ障害」

端的に言えば、自分が大好きすぎて、自分は特別すごいとか、すぐれていると思っていて、他人にはそれを賛美されたい欲求が強いのに、他人には、その気持ちを思いやる気持ちにかける人達のこと。

*以下のうち五つ(またはそれ以上)によって示される。

  1. 自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないのにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
  2. 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な空想にとらわれている。
  3. 自分が「特別」であり、独特であり、他の特別な、または地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係があるべきだと信じている。
  4. 過度な賞賛を求める。
  5. 特権意識(つまり、特別有利な計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)。
  6. 対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
  7. 共感の欠如‥‥他人の気持ち及び欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
  8. しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬してると思い込む。
  9. 尊大で傲慢な行動、または態度。

(アメリカ精神医学会『精神疾患の診断・統計マニュアル』)

5項目以上当てはまったとしても必ずしもパーソナリティ障害とは言えないがその傾向があると言えるだろう。気になる方は一度診断を受けてみると良い。

強いものが威張るのを好まないのが日本の国民性で、大相撲の朝青龍や白鵬の威張った態度を問題視するような声も聞かれたこともある。しかしアメリカではアリやトランプ氏のように尊大な態度をとったり強く自己アピールする人の方が受けたりする。「自分をどう見せたら印象がいいか?」と演技と〝盛り〟の研究に励む方が今の世の中に適応していると言えるのかもしれない。

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