旧ソ連の秘密文書公開にともなう「ヴェノナ文書」をいち早く日本に紹介したことで、世の注目を浴びた著者。雑誌「正論」に3年にわたって連載中の「世界の『歴史』最前線」に大幅な加筆訂正を施し、再編集したものの単行本化した書籍。保守派の若手論客として注目を集める著者の初の歴史論文集となり、西尾幹二氏、中西輝政先生が推薦。従来の常識を覆す新しい論点が次々と提示され、読者を知的興奮に誘う。
「コミンテルンの陰謀」説の真偽
1939年5月、スターリンは、英国人を妻とし英米仏で受けがよかったユダヤ人マクシム・リトヴィノフ外相を解任し、首相のモロトフに外相を兼務させ、独ソ連携の動きを加速させる。実はソ連は驚くべき方法で、独ソ接近を日本に伝えていた。リトヴィノフ派解任される前、東郷茂駐ソ大使の妻エディートに、次のように直接伝えていたのだ。自分は、大島浩駐独大使主導の日独伊軍事同盟は独伊の意向で失敗することを、正確に知らされており(genauunterrichtet)、独伊はソ連との関係を整えようと(Verhaltniszurrangieren)としている、と。
エディートはこの国家機密をドイツ大使館ナンバー2のヴェルナー・フォン・ティッペルスキルヒ参事官に、絶対口外しないという約束で漏らしていた。当然のようにティッペルスキルヒは速攻でドイツ本国政府に報告(1939年3月20日付独公文書)。
ロシア語専門の情報将校であった小松原は、ソ連大使館付武官時代、モスクワでハニートラップに掛かり、それ以降、ソ連側に脅されていた。同時期に駐在武官を務めた、海軍の小柳喜三郎大佐は、同様にハニートラップにかかったものの、自らの不明を恥じ、1929年3月モスクワの武官官舎で割腹自殺した。自殺の背景にスパイ工作があったことは、当時、朝日新聞(1929年4月4日付夕刊)でも報道されている。
こんな駆け引きが歴史の裏舞台で常時行われている。下手なフィクション映画を見るよりこういったものを見る方が興奮する。しかし、ハニートラップが原因で割腹自殺なんて、普通に生きていると縁がないよな。ハニートラップにかかったことを公言している芸能人もいるが、やはりお金や地位のあるところにはそういった輩が近づいてくるんだなと感心した。
米国民ベトナム戦争強硬策支持率
職業で分けて見ると、上層ホワイトカラー(専門職・管理職)の強硬策支持が55%から38%と大幅に低下したのに対し、非熟練労働者・失業者は38%から35%で、最初から強硬策支持率が低く、変化は誤差の範囲と言える。次に、学歴で分けてみると、大卒以上の強硬策支持が58%から33%とやはり大幅に低下したのに対し、中卒以下(就学年数8年以下)は32%から33%で、最初から強硬策支持率が低く、変化はこれまた誤差の範囲といえる。なお、現在と違い当時の大学進学率は低かったので、大卒というのはエリートであったことに注意が必要である。
強硬策の支持率が、全体では1964年の49%から、1968年には37%に低下し、戦争が長引くにつれ、反戦気分が高まったことが見て取れる。一方、エリートと大衆では、戦争への態度が大きく違ったことも分かるだろう。当初、大衆は戦争反対率が高く、エリートは好戦的だったと言える。こういった傾向はベトナム戦争が特異というわけではなく、むしろ普遍的現象である。
大衆と知識人
日本のエリートも例外ではない。表向きはダイバーシティ(多様性)の尊重と推進を唱えながら、自分の子供は、近所の庶民の子供と一緒になる公立中学校を避け、育った環境と学力の類似した子供の集まる国私立中高一貫校ーーしかも、私立の場合はほとんどが男女別学ーーに通わせているのである。
表向きはダイバーシティの尊重と推進を唱えながら…というところは忸怩たる思いになる人は多いのではないだろうか。格差や性別に関する問題から雇用形態や病気、障害に至るまで多様性を唱えるエリートは多いが、自分の周りにはそういった人が少ないのではないだろうか。僕の周りにはLGBTと精神疾患で悩み自殺未遂をしたことで、片足を失い不自由な暮らしを余儀なくされた知り合いがいたが、僕自身病気を抱えていたので、相手にしきれず現在の消息はわからなくなっている。
中国共産党政権誕生の真実
20世紀前半の中国大陸の歴史は、毛沢東の共産党と蒋介石の国民党による、古来繰り返されてきた天下統一の争いであった。初期の劣勢にもかかわらず、最終的には勝者となったのは、スターリンの強力な支援を得た毛沢東であった。
毛沢東の天下統一は、いくらスターリンの絶大な支援があったとはいえ、日本の「協力」なしには決して完遂できなかったことも確かである。
日本は「歴史の進行を追い立てる鞭として選ばれた間抜け」な脇役に過ぎない。国民党は腐敗や日本との好戦によって疲弊していき結果、漁夫の利を得ることになった毛沢東共産党。中国共産党を襲った幾度かの危機において、収拾がつかなくなった小説やドラマで最後に唐突に現れ、無理やり結末をつける神のごとく、日本は共産党の救世主として登場する。
世界史は様々な国が絡み合い、カタカナの名前も多く出てきてちょっと苦手意識が強かったが歴史の裏舞台はやはりスリリングで面白い、これがドラマや映画、小説ではなく史実なのだから興味はひとしおだ。
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