文章を書くことには、少なくとも次の3つの喜びがあります。「表現する喜び」「理解と共感を得る喜び」「相手や組織や、時には自分自身にも変化をもたらす喜び」です。ですから明快な文章は、読む人に歓迎されるばかりでなく、書く人にとっても快いものなのです。添削方式で文章を学び直す文章力を伸ばす書籍です。
「何が(誰が)、どうした」(主語と述語)
「風がない」「気温が高い」「雨が上がった」「日が射してきた」などの主語+述語の組み合わせがしっかりした文は、意味が明瞭なので、読み手に快い感じを与えます。(◆原文、◇改善案)
東京に初めて女性知事が誕生した時、テレビから次のような興奮したアナウンスが聞こえてきました。
◆新たな歴史が変わりました。
少し落ち着いて考えれば、次のいずれかが適切であることが分かると思います。
◇新たな歴史が生まれました。
◇歴史が変わりました。
語彙が豊かかどうかなどという以前に、誰もが知っているやさしい言葉を適切に組み合わせる力こそが大事なのです。文章が書ける、書けないの分かれ道は、案外こんなところにあります。
ふと思ったのだが、アナウンサーという言葉を操る職業で「新たな歴史が変わりました。」などという間違えた表現をしたら、大変なミスだ。苦情の電話もなることだろう。不自然極まりないし、プロフェッショナルとしてどうかと思う。その点、僕のような素人が書くブログの記事などは間違っていても、誰にも指摘されることなく、誤字脱字の無いようチェックはしているものの、間違った表現のまま放置されていることもしばしば。
このほかにも「目的語と述語の関係」「主語を間違えない」「主語を断りなしに変えない」「述語の共用」「述語を書き忘れない」など基礎的なことを添削方式で(◆原文、◇改善案)載っけています。
重複を排す
簡潔に書くために、まずは重複を省きましょう。(◆原文、◇改善案)
⑴ 同じ言葉をすぐに繰り返さない
◆何かあったら助けてくれる身内が傍にいることがとても安心だったことに気付いたのも、東京に出てから初めて気付きました。
◇何かあったら助けてくれる身内が傍にいることがとても安心だったことにも、東京を出てから初めて気付きました。
声に出して読んでみると、「気付く」の重複に気付くのではないでしょうか。
同じ言葉を重複して用いると、ちょっとくどい感じになってしまい、文章におけるリズムも狂う。僕の場合、一度何も考えずに勢いで書いてみて、あとで見直した時に重複に気付くこともある。そういった際はなるべく同義語で言い換えたりしてごまかしたりしている。しかし、なるべくなら例文のように1つの「気付く」で簡潔にまとまった文章にするべきだ。
より短い表現を探す
「同じことが、もっと少ない字数出かけないか」と、考える習慣をつけてください。(◆原文、◇改善案)
◆私の交通手段は、ほとんど電車で済ますことができている。電車を利用すれば、都内でいけない所はほとんどないように思われる。
◇私は、都内ならどこでも電車で出かける。それで行けない所はほとんどない。
「ほとんど」と「電車」が2度ずつ登場するのは、重複です。「交通手段」「済ますことができる」「ように思われる」などは冗長です。改善案はほぼ40%文字が減っています。
ブログのディスクリプション(検索した時に出てくる120文字程度の紹介文)を書くときのように、簡潔に内容を書かなくては行けないシーンは多く存在する。なるべくなら冗長にならないように注意し、言葉の重複によって生まれる無駄を省きたい。これはひたすら練習するしかないか。より短い表現を探ることで、読み手にも優しい文を心がけたい。
難しい言葉で飾らない
多くの人が無意識のうちに難しい言葉で文章を飾ろうとしています。その意識を捨てれば、文章は脱皮を遂げることができます。特に仕事に関する文章を書く時には少し改まった表現を使うべきだという思い込みが、妨げになっています。(◆原文、◇改善案)
◆現在の職場環境としては、新しく入ってきた人が職場の構成人員比率として高くなっているので、この状況でも間違いのない仕事ができるようにしていく必要がある。(75字)
◇職場で新入社員の比率が高くなっているので、それでも間違いのない仕事ができるようにする必要がある。(47字、37%減)
新しい言葉やなんかを覚えたらついつい使ってしまいたくなるのが人の性。僕も多分にもれず、こういった部類の人間だ。なのでこの言葉は一般的ではないなと思ったら、かっこを使って意味を添えるか、他の簡単な言葉で代用するように心がけている。それでも読みづらい文章になっているときもあるがww
自分の書いている文が文法的に間違っていないか、読み手が負担を感じる文章になっていないかを1つずつ確かめながらみていく。◆原文と◇改善案で添削していく書式なので、それぞれの項目をパラパラめくり、気軽に読んでいけます。
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