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「傷は絶対に消毒するな 生態系としての皮膚科学」化粧は界面活性剤により肌をかえって老化させる

熱傷を治すためには熱傷創面を白色ワセリンを塗布し食養包装用ラップかプラスモイストで覆い、それを1日1〜3回交換する。毎日の化粧は界面活性剤により肌をかえって老化させることに。医学会や美容業界のパラダイム構造を指摘する。さらに人間の皮膚を居場所にもち皮脂から栄養をとり生き残り戦略をとる皮膚常在菌による病原菌退治について細かく解説した書籍。

病院でのケガの治療の現実

まず、傷の縫合をした医師が外科系の意思でない確率が高いし、たとえ外科系だったとしてもケガ(外傷)の治療を知っているとは限らないのだ。なぜかというと、前に示したように、医学部での教育では「切り傷の治療、擦りむき傷の治療がすっぽりと抜け落ちているからだ。

当直見習い期間に、運よく切り傷やヤケドの患者が受診してくれれば、指導医に治療法を教えてもらうことができるが、そういう患者が来なければ教えてもらう機会がない。

熱傷治療に見るパラダイムの構造ーー熱傷学会に喧嘩を売る

湿潤治療による詳しい治療法はすでに説明した通りであり、熱傷創面を白色ワセリンを塗布した食品包装用ラップかプラスモイストで覆い、それを一日一〜三回交換するだけというシンプルなものだが、どの例も驚くほど早く綺麗に治り、しかも痛みがないのが特徴である。

湿潤治療は痛みも少なく自分で動くことができるので、これまでのように「まず点滴」というようなことはなく、日常生活もちゃんとおくれるのが特徴。「喉が乾いたので水を飲んできます」という患者にわざわざ点滴を入れる必要はない。熱傷は痛みとの戦いというが、痛みの何割かは医師が治療に使っている軟膏によるものだ。医師がその軟膏を使わなければ生じなかった痛みである。実際に食品包装用ラップで治療を受けていた時には普通に歩けていたのに、主治医が変わって、ゲーベンクリームやカデックス軟膏を使うようになってから、痛みで歩けなくなったという例もあるという。

「消毒して軟膏ガーゼで乾かす治療」を受けたければ大学病院や熱傷センターの受診を勧めるが、「消毒せずに傷も乾かさない」熱傷治療を受けたければ、個人開業医や小規模病院を選んだ方がいい。

深い熱傷や広い熱傷が、プラスモイストや食品包装用ラップで覆うだけで治療できるようになって困るのは誰か。もちろん熱傷専門医である。専門医でなくても治療できるこの「消毒せずに傷も乾かさない」熱傷治療は専門医の優位性や存在意義を脅かしかねない。本来患者のヤケドを治すことが目的となるはずが、自分たちの保身のため新しい治療法を受け入れない人々。患者の利益を優先すれば、痛みを伴わず早く治る湿潤治療を行うべきだがそうはなっていない。ちなみに熱傷センターをググって見ると「先進医療への取り組み」について

  • (1)熱傷患者に対する培養皮膚移植
  • (2)同種皮膚移植のための死体皮膚採取と保存
  • (3)広範囲熱傷患者に対するビタミンC投与療法
  • (4)熱傷患者周術期の血液浄化法の応用などを行っています。

とある。熱傷患者に対する培養皮膚移植、確かに先進医療感は満載だが少し大げさにも見える。著者の言い分ばかりでは公平と言えないので『熱傷学会の食品包装用ラップによる治療に対する見解のPDF』も合わせて読んで見ると良い。熱傷医療に精通していない医師による治療で感染症などの報告もあるというがどちらの言い分が正しいのか。熱傷医療に精通した医師は〝自分たちの技術こそ正義〟と新しい治療法を受け入れないだけではないのか。熱傷に限らずあらゆる専門医、そして医療業界以外の専門家にしても自分たちの技術が特殊であり続けることで高い報酬を受け取っている。その技術が陳腐化することを何よりも恐れているが故にパラダイムシフトが起こった時、古い技術は無意味なものになる。IT業界なんかでも新しいプログラミング言語が登場したらそれでコードが書けないと仕事にならない。だから必死になって勉強するのだ。

切り傷だから縫合する?

実は、「痛みと出血を止める」にはいくつか手段があり、傷の縫合はそのいくつかある手段の一つに過ぎないのである。例えば、止血力のある創傷被覆材を貼るだけでも痛みと出血は止まるし、圧迫し出血を止め、それから絆創膏で傷口を寄せるだけで綺麗に治るのだ(筆者のインターネットサイトに治療例を多数掲載しているのでご参照いただきたい)。このような理由から、筆者は小児の顔面などの裂傷はほとんどテーピングのみで治療している。押さえつけて泣かせてまで傷を縫合する必要がないし、テーピングで治した方が小児の患者さんのメリットになるからだ。

こういった例も前述の熱傷治療と同様、傷の縫合を専門とする外科と形成外科医との意見の相違が生まれる。形成外科医が縫合した方があとが綺麗だというがそれは素人目に見てもわからないレベルだそうだ。患者の要望はとにかく痛みと出血を何とかして欲しいというものなので、テーピングで治るならそれでも良いと僕は思う。

化粧というパラダイム

世の中には、「肌を引きしめる化粧品」「毛穴を引きしめる化粧品」「肌のくすみを取る化粧品」「肌の老化を防ぎ、若返らせる化粧品」が氾濫しているがおそらくほとんどインチキ商品であろう。化粧品(クリーム、乳液のほとんど)には乳化剤(界面活性剤)が含まれているからだ。

僕の愛用している『B.C.A.D.HOMME』にもラウロイル乳酸Na、ラウリン酸ポリグリセリル-10という界面活性剤が使われているが、どちらも副作用も少なく安全性が高いものということで安心した。

当たり前と思われている権威やなんかに真っ向から挑む著者。書かれていることをどこまで信じるかは読者に委ねられるが、こうした反骨精神は見習いたい。あまり触れなかったが皮膚常在菌の記述なんかも面白かった。

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