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「はじめての森田療法」悩むことを厭わないであるがままにという考え方を取り入れる

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明治期、森田療法の創始者、森田正馬(1874〜1938)は新しい時代に適応できず苦しむ多くの青年たちと同様に悩み苦しんでいた。その悩みを解決したくて精神科医となり自ら森田療法を作り出したのだ。現在、考え方の本質はそのままに、入院ではなく外来での治療が確立。現代人の生活にも対応ができるよう進化している。森田療法の考え方のエッセンスを紹介しながら、うつ病や心身症などへどういう風にに効果を発揮していくのか、実際の症例をもとに解説し、生き辛さを抱えた人々に、悩みから抜け出すヒントを与えてくれる書籍となっています。

感情の両面性を知る

苦があるから、楽があり、苦の中にこそ楽があります。このような感情というものの両面性を知ることは重要です。私たちは苦悩を味わうとき、ついつい楽を求め、苦を取り除こうとして悪戦苦闘します。その結果として苦を強めてしまうのです。

例えば僕が病気であるのは残念で不幸なことに見えるが、一方では保護されることで目的を達成できる。こんな幸福はどこにあろうかと考えるのだ。それに加え、不安やパニック、恐怖、抗うつでもピークをやり過ごし、その感情を受け止めながら、考え、行動することがその人の成長にそのままつながる。感情を引き受け、抱え込むことは確実にその人の心の器を大きくし、懐を深くする。できないことを受け入れ、できることをするというのが森田療法の基本的な考え方だ。

素直な生の欲望の自覚

①恐ろしいものは恐ろしい、それは仕方ないこと。それをどうにかしようとするとき苦悩が始まるのです。その心の事実をあきらめ、ありのままに受け入れ、経験することがあるがままの一面。それにはまず苦になること。そこから楽が見えてくる。

②その苦悩になり切ったときに、もう一つの重要な心の事実が自然に浮かび上がってくる。それが生の欲望(生きる力)だ。その人の素直な気持ちがそのまま感じられるようになり、生活世界での柔軟で自在な行動として発揮されるようになる。生の欲望と死の恐怖は密接に絡み合っているので両方受け入れてこそ、私たちは生き生きと世界を感じ、素直に人と交流し、不安、恐怖、落ち込み、悲しみ、喜び、怒りなどをしっかり感じながら、生きることができ、それが生きる実感となる。

③素直な◯◯したいという気持ち(生の欲望/生きる力)はときを経て変化し、流動する心の経験だ。その経験は常に生活世界にあり、心が生活世界に開かれていれば、私たちは自在かつ柔軟に関わっていけるようになる。

①〜③までの心のあり方が「あるがまま」です。森田療法の治療の目標は、この「あるがまま」なのだ。

治療はどのように行われるのか

まず、絶望や悩み苦悩に寄り添いながらじっくりと聞き、とらわれ(悪循環)という視点からその苦悩を読み直す。そして、こうあるべきだ、こうあってはならないなど恐怖に基づく「べき」思考に生の欲望のエネルギーが奉仕して空回りする事態、そこから二重三重のとらわれを引き起こし悩む人を追い込んでいく構造を説明します。加えて「悩むことには意味がある」という発想を持つよう促し、「できないこと」「できること」を分けることを提案。さらに自分の生い立ちを見直し日常生活・社会生活の中での取り組みや実践を毎夕、日記に書いてもらう治療法を行う。自己の経験を描く作業は、回復に向かって自己を物語ることとも言え、回復を自らのストーリーとして語り書くことは患者の自己理解を深め、症状の再発を防止するため重要です。治療が進むと次第に面接が主となり、日記療法は一旦中止します。

「待つこと」「一拍おくこと」

待てるようになることは、悩む人が自分の苦悩や不安感を抱え込む能力を育ててきたことを意味します。つまり「待つ」という一見シンプルな心の態度は、そのまま症状の「コントロールの断念」から、「価値づけしないこと」へと、つまり「べき」思考の放棄へとつながっていきます。

たしかに何かをしなければならないと強迫観念に襲われているときや思考停止状態に陥っているときは、焦らず「あるがまま」〝待ってみる〟ことがかなり有効だ。焦って答えを急いだりすると悪い〝とらわれ〟の連鎖でよけい症状がひどくなることも。統合失調症でも効果がありそうな森田療法。投薬とカウンセリングによる治療と共に意識して実践してみようと思う内容だった。

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