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増税地獄 増負担時代を生き抜く経済学|森永 卓郎|庶民を救うべき政府は増税路線をひた走りさらなる増税地獄が

2021年度の税負担は「租税負担28.7%」、「社会保障費負担19.3%」で、合計負担率は、48%まで増加。一方庶民を救うべき立場のはずの政府は増税路線一直線。そして高額所得者ほど優遇されている事実に政府はどう答えるのか?半分近くを持っていかれる税金の話。

お金持ちほど負担が小さい所得税

第1章では国民負担がとてつもなく増えている事実を紹介したが、 さらにひどいのは、庶民に負担が偏っていることだ。

図2‐1は2021年の国会に立憲民主党の議員が提出したものだ。横軸が所得金額、縦軸が所得税の負担率になっている。

これによると、年間所得が1億円の負担率は 28・2%。日本は所得が上がると税率も上がる累進課税になっているので、所得が増えるにしたがって負担率も上昇していく。

ところが、年間所得が1億円を超えると逆に負担率が下がっていく。最終的には 18・8%になっている。

それはなぜか。実は労働で1億円以上を稼ぐ人はほとんどいない。金持ちはお金を右から左に動かして稼いでいる。年間所得が1億円を超えると株式等の譲渡所得の割合がほぼ100%に向かって急上昇していくのがわかる。

現在、上場株式の売却益や配当金の税率は一律 20%(所得税 15%、住民税5%) となっている。さらに東日本大震災からの復興財源を確保するための復興特別所得税が0・315%(所得税×2・1%) 加わるので、 20・315%の税金を支払えば納税が終わる。

結果、 金融所得が多い人の税負担率は庶民よりかなり少なくなる。

さらに社会保険料負担を加えると、不平等はさらに鮮明になる。年収 50 億~100億円の層が負担する所得税と社会保険料の所得に対する比率は、年間所得200万~400万円の普通のサラリーマンよりも低いことが図2‐2でわかる。

なぜそんなことが起きるのかと言えば、 社会保険料には負担の上限があるからだ。 たとえば、厚生年金の標準報酬月額の上限は 65 万円、健康保険の標準報酬月額の上限は139万円となっている。 それ以上はいくら稼いでも、保険料は一切増えない。 つまり稼げば稼ぐほど社会保険料の負担率が下がるのだ。所得税は累進課税になっている。ところが、 社会保険料に関しては逆進的な制度になっているのだ。

しかも、投資家が金融所得だけで勤労所得を得ていない場合、公的年金は国民年金になるから、納める保険料は庶民と同じ月額1万6590円だけだ。ここまでくると、「不正」を働いているとしか思えないのだ。

これはあまりにも不公平だ。岸田文雄総理も総裁選挙に出たときには、「金融所得課税をしよう」と言っていた。これに私は拍手喝采した。  岸田総理は看板政策として「新しい資本主義」を掲げている。私はその理念に大いに賛同していたのだ。日本経済は小泉純一郎政権以降の新自由主義政策によって、賃金が低下し続けてきた。

そこで岸田総理はキャッチフレーズとして「分配なくして次の成長なし」を打ち出した。分配の財源と位置付けたのが「金融所得課税」。投資で稼ぐ富裕層から税金を徴収して、庶民に分配する──。私はそんな政策に賛同したのだ。

社会保険料には負担の上限がある。年金や健康保険などには上限がありそこからは増えない。累進課税は一定額までということだ。これを撤廃し高額所得者からもきっちり社会保険料を取れば財政は一気に潤うはず。しかし、金持ちは政治に影響力を持つ人も多く見過ごされてきた。そんな不平等な税制社会保険制度でいいのか?下々の人間は今こそ声をあげるべき。

日本とドイツは実質無借金経営

日本には 莫大 な借金があるといわれている。確かに国の財務書類を見ると借金、つまり負債は1500兆円ある。しかし、一方で資産も1000兆円ある。7割が金融資産で3割が不動産だ。差し引き純債務は500兆円となる。

これを家計に置き換えてみると、1500万円のローンは組んでいるけれど、預金と不動産で1000万円の資産を持っているから、実質的な借金は500万円、といった感じになる。

また、政府の借金は、国債を発行して買ってもらうことでお金を調達するが、国債を日銀に買ってもらうと、買ってもらった時点で借金は消えてなくなる。

なぜ消えるのか。たとえば、 10 兆円の国債を発行して日銀に買ってもらうと、政府は 10 兆円の資金が手に入る。 10 兆円の国債はいずれ償還期限(満期) がくるので、返済をしなければならないが、そのときに新たに 10 兆円の国債を発行して借り換えることができる。

利息は支払う必要があるが、借り換えを繰り返すことで元本の返済は必要がなくなる。また、日銀に利払いした分は全額、国庫納付金として戻ってくる。

国庫納付金とは、日銀が得た利益を最終的に国民の財産として国庫に納付するもの。 つまり、借金をしても実質的な負担はないわけだ。

私はそれを通貨発行益と言っている。 国債は日銀が買った瞬間に全額、通貨発行益として戻ってくる。その金額、つまり、日銀が保有している国債の金額が500兆円となっている。

前述の純債務500兆円と日銀が保有している国債の額を差し引きすると、ちょうどゼロになる。これはドイツも同じ。 日本とドイツは完全無借金経営なのだ。

こうした計算のもと国の負債は積み上げられているのだと思う。実質無借金だからいいよね的な考え方なのだ。それも危なくなってくると増税という話がててくるわけで、最近の防衛費拡大による補填のための増税なんかには反発もあるわけです。

増税地獄で国や国民が疲弊しているのに高額所得者は悠々自適な生活を送っている。そんな不平等を周知してもらうべく庶民にこそ読んでほしい書籍。

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