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仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法|内田 和成|ビジネスマンの必須能力、それは分析ではなく、仮説

できるビジネスマンの必須能力、それは分析ではなく、仮説と説く。コンサルティングのプロが「仮説思考」を解説。それは情報不足や分析が足りない状態で自分なりの仮の答えを持つという考え方。結論から問題の全体像を掴み最善の解決法を見つけよう。

仮説思考の達人

プロ棋士、羽生善治は稀代の天才棋士であることはいうにおよばないが、仮にビジネスの世界に進んでいたとしても、かなりの確率で成功を収めたに違いない。なぜ、そんなことをいうかといえば、それは羽生が仮説思考の達人だからである。羽生の棋風はオールラウンドで幅広い戦法を使いこなし、終盤に繰りだす妙手は「羽生マジック」と呼ばれる。奇しくもオフトと同様、「マジック」の使い手ということになるが、こちらも妙手の秘密について著書『決断力』(角川書店)で言及している。羽生は将棋で大事なのは決断力だという。すなわち意思決定だ。決断にはリスクを伴うが、それでも「あとはなるようになれ」という気持ちで指すのだという。そのときの意思決定を支えているのが仮説思考である。将棋には、ひとつの局面に八〇通りくらいの指し手の可能性があるが、その八〇をひとつひとつ、つぶさに検証するのではなく、まず大部分を捨ててしまう。八〇のうちの七七、七八については、これまでの経験から、考える必要がないと瞬時に判断し、そして、「これがよさそうだ」と思える二、三手に候補手を絞る。これはまさに仮説思考だ。八〇のうちから、よさそうな三つの答えを出す。そして、その三つについて頭の中に描いた将棋盤で駒を動かして、検証する。網羅的にすべての手を検証してから意思決定しているのではなく、大胆な仮説を立て、「これがよいのではないか」と指しているのだ。  羽生は「直感の七割は正しい」ともいっている。直感は、それまでの対局の経験の積み重ねから、「こういうケースの場合はこう対応したほうがいい」という無意識の流れに沿って浮かび上がってくるものだと思う、と羽生はいう。こんなこともいっている。「判断のための情報が増えるほど正しい決断ができるようになるかというと、必ずしもそうはいかない。私はそこに将棋のおもしろさのひとつがあると思っているが、経験によって考える材料が増えると、逆に、迷ったり、心配したり、怖いという気持ちが働き、思考の迷路にはまってしまう。将棋にかぎらず、考える力というのはそういうものだろう」

情報を集めるには際限がない世の中。溢れる情報の中から有効な一手を探りそれを実行する決断力こそが大事。今必要な情報は何か瞬時に判断し得た情報を自分の中で咀嚼し自分の考えはどうかといった視点をのせていく。この作業の繰り返しで決断するわけだ。まずは関係なさそうな情報は排除する作業から。経験によって情報量が増えてしまい迷うこともあるだろうが、その精度は上がっていくものなので、何度も間違うかもしれないが臆せずチャレンジしていってほしい。

仮説は間違っていても構わない

最初に考えた仮説を実行し、それで課題解決にいたれば、これほどすばらしいことはないのだが、実際にはなかなか難しいだろう。なにより仮説は正解ではない。確からしい答えなのである。極論すれば間違っていても一向にかまわないというものだ。仮説は何らかの作業を通じて検証できるものでなくてはならない。仮説は検証することで、よりよい仮説に進化していく。仮説→実験→検証を繰り返すことによって、個人や組織の能力は向上するともいえる。したがって、仕事の中にこのプロセスを組み込むことができれば、比較的スムーズに業務改善を進めていくことができる。たとえば、ある自動車セールスマンが、「顧客の家の子どもが大学を卒業したり、結婚したりすると、自動車を買い替える可能性が高い」という仮説を立てたとする。次に、顧客の家の子どもが結婚しそうだという情報を聞き込むと、実際にセールスが行き、その仮説が当たるか否かを検証する。これを何度も繰り返せば、徐々に仮説が正しいものになっていく。そして、検証された仮説に基づいて行動すれば、セールスのヒット率は高まっていくことだろう。

仮説は正解じゃないということを始めに言っておく。仮説→実験→検証を繰り返すことでやっと課題解決に近づくわけだ。仕事のこのフレームワークを取り入れることができれば仕事の生産性は上がっていくことだろう。

相手の眼鏡をかけてみる

相手のメガネをかけてものを見る、すなわち相手の立場で考えることが、いままでと違う発想や、より建設的な提案につながる仮説を生むことになる。たとえば生産部門にいると、つい営業部門を批判しがちになる。営業の売上見込みの立て方がいい加減なために生産計画に支障をきたす、平気で返品してくる、在庫がどれだけあってもまったく気にしない、……といった具合だ。そして、営業が生産の悩みを理解して変身しないかぎり、生産部門の効率化は無理といった結論になりがちだ。こうした考え方は間違ってはいないが、これでは進歩はない。それよりも相手の立場になって仮説をつくる。これが自分の仮説の幅を拡げる練習になる。この場合、自分が営業部門にいたとしたらと考える。営業が余分に注文する理由は、顧客の急ぎの注文に生産部門が柔軟に対応できないためであり、在庫が多くても気にしないわけではないかもしれない。だとすれば、生産計画に柔軟性をもたせ、緊急注文に応えられるようにすれば、余分な注文はなくなる可能性がある。また、これまでの生産方式では人気商品ほど欠品になることが多かったので、営業では多めの注文を行なうのが常態化しているのではないか。それを防ぐには注文が確定している商品のみの生産方式に切り替えるか、あるいは人気商品に限っては割り当て式にするなどの対処ができるのではないだろうか。また、現在の生産計画は一カ月以上前に確定するため、実際のリードタイムは二カ月程度かかってしまう。結果的に営業の販売予測はかなり前もって行なうことになるので、精度が上がらないのかもしれない。だとすれば、生産計画の大枠はいままで同様に一カ月以上前に決めるものの、詳細な生産計画は生産にかかる前日に決定することにすれば、営業の販売予測の精度は大きく上がり、結果として売れ残りや在庫の問題は解消するかもしれない。このように相手の立場で考えると、いままでは考えられなかった仮説を構築できる。

よく会社にある風景として、他部署の悪口や仕事内容の批判。これはあまり建設的でないだけでなく部門間の軋轢を生むことになるので今すぐにやめた方が良い。

仮説→実験→検証を繰り返す。まずは仮説から始めれば作業量は激減する。資料を集めるのは良いがそこに時間を割き過ぎてしまうと議論する時間が減ってくる。そうならないための仮説思考。

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