51Blog

興味のあることや本の感想などを綴っていく雑記Blogです。

『逃げ切る力 逆境を生かす考え方』運はあなたを見放さない!

      2018/01/21

立ちはだかる規制の壁。同業他社からの横やり。「中国人」という壁と、浴びせられる心ない発言。夫の死。実の母親がつくった過酷すぎる環境──女性起業家で、弁護士、中国ビジネスのコンサルティングも行う馬社長の半生記である。次々と襲い来る逆境から抜け出すために、必死に今日を生きぬいてきた。そんな馬さんの「前向き思考」は、苦しい環境にいる読者にとって、大きな力になるだろう。日経電子版の好評連載を単行本化!

我が子に会わずに帰った父

中国の産院はさほど親切でないぶん、赤ちゃんを授かった家族や親戚は、妊産婦をとても大事にします。生まれた子が男児ならなおさらめでたいとされ、出産後1ヶ月くらいは「たっぷり栄養を摂って」という思いをこめて卵やにわとりを贈るのがならわしです。お祝いの食べ物をてんびん担ぎで病院に運び込む人もいたそうです。ところが母に家族のお祝いムードはなし、卵や鶏などの贈り物もなし。おじおば、義母も来てくれなかったそうです。ひとえに、産んだのが女児だったためです。母にしてみればなんとさびしい、望まれない出産か。頑張って産んだのに、私はこんな惨めな思いをさせられている。この子が「元凶」なんだーー。

日本では考えられないが、当時の中国はこういう家庭が多かったようだ。一人っ子政策で、望んだ男児が生まれないと悲劇的な結果に。日本でも家系を重んじる親だと男児を望む場合もあるが、ここまで歓迎されないのは稀だろう。出産後我が子に会わず帰るなんて酷すぎる。著者を産んだ2年後、母親は、第二子を出産、待望の男の子です。その後さらに女の子を産んだ。著者が5歳のときです。生まれて来た著者にはなんの罪もないのに、母親の態度は冷ややか。男尊女卑の考えを徹底し、弟には甘く女児である著者には辛く当たったと言います。女の子にお金をかけても結婚して家を出るだけ。あとで回収ができないので、教育などは無駄な出費であると考えられていたようです。

僕が中国の習慣で驚いたのは、妹の幼馴染みが、中国人と付き合っていざ結婚という段階で、娘にマンションを買ってほしいと要望を出してきたこと。もちろん断って、結婚も無しになったのだが、中国で暮らす日本人でそこそこ収入や財産があると、相手の親が吹っかけてくるようです。2人で築いた財産でマンションを購入するならわかるが、結婚を控えた状態でマンション買ってくれなんて考えられないほど図々しい。

アルバイトで味わった底なしの侮辱

あこがれの地、日本にやっとの思いで降り立ちました。誰も頼りになる人がいないなかで新生活が始まりました。一年間は日本語学校に通うことになっていました。いわゆる「就学生」で、その先の大学進学の保証はありません。就学生は観光や一時的な出張と違って、日本に住み、日本語を学ぶ語学学校の生徒を指します。出身国の通貨と日本円との貨幣価値が違うので、学費や生活費をまかなうために、多くの生徒は仕事をすることを余儀なくされました。

貨幣価値がどれだけ違うのか?当時のレートで、著者の父親の月給を換算すると、約900円。一方、同じ時期の日本での大学初任給は15万円強。今でもコンビニに行くとこうした就学生と思われる外国人が多く働いています。コンビニバイトは覚えることも多く、割りに合わないと日本人学生が敬遠するなか、留学生や就学生がその穴を埋めている現状があるようです。著者がコンビニバイトをしようと面接を申し込んだ際には「あなたを雇うと、日本人1人の雇用が奪われる」とわけのわからない理由で断られたこともあったと言います。現在では、深刻な人手不足からそのようなことはないのでしょうが。

人事担当者、内定をいいことに‥‥

50社くらいに応募したなかで面接までこぎつけたのは、希望していた商社と、保険会社のセールス職の2つのみ。そのうち、商社から内定をもらいました。やっとの事でもらった内定に、ようやく社会人として来春から歩み出せると安心したのです。その会社が内定者を集めてパーティーを催した時がありました。内定者は全員で5人ほどでした。その帰り、人事担当者(けっこう年が上でした)から「あなたの家でお茶したい」と言われたのです。時間は夜の10時をまわっていました。おかしい、今から私の部屋でお茶?もちろん、この意味するところは明白でした。

内定取り消しになる覚悟でこの誘いを断った著者。今では、こういったパワハラのような行為は、すぐに断罪される。ボイスレコーダーに会話の音声を録音してそいつの上司に送りつけてやればいい。そてでも隠蔽を図るような会社なら然るべき対応を取るべきだ。セクハラやパワハラは、一度許してしまうと継続的に行われることも多く、断らなかったがために不本意な関係を続けなくてはならなくなる場合も。

中国から1人日本へやってきて、成功した著者。一昔前の話とはいえ、苦労のレベルが違いすぎると思った。それでもひたむきに努力を続ければ、運はあなたを見放さないというメッセージには勇気付けられる。

 - Book , , , ,