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「鳥獣害 動物たちと、どう向き合うか」で動物たちとの共存を考える

      2016/11/14

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高度成長の過程で、多くの若者たちが村を去り、里山も荒れ始めた。シカ、イノシシ、サル、クマがそこを新たな棲家とし急増。そして、動物たちは平然と村や町に姿を現し、田畑を荒らし、林地で好き放題し、時には人を傷つける。なぜ鳥獣害が急増したのか。各地の対策はどのようなものがあるのか。農業経済の研究者が、自ら田畑を耕すなかで考察する。

イノシシと共生すべく自衛策として取った対応

  1. 飼い犬をイノシシに向かっていかないようしつけをする
  2. クリーンステーション〔ゴミ収集場所〕の使用状況を自主的にチェック(ゴミ回収日の前日などその他の日にゴミが出されていないか)
  3. 当番でない時でもゴミが散らかっていたらクリーンステーションを自主的に掃除
  4. ビニール袋で物を持ち歩かずエコバックを使用(イノシシが食べ物だと思って近づくため)
  5. 不用意にイノシシに近づかない、知らないふりをして通り過ぎる
  6. イノシシを見てもそっとしておく、気に掛けない
  7. 庭に柵を作った
  8. 野外で犬を飼う(日本犬が良い)
  9. イノシシが来るので他の動物(タヌキやキツネ、シカ)にも餌付けを中止した

状況によって人は野生生物を可愛く思い、恐怖心を抱くこともある。田畑を荒らされれば憎しみも湧くだろう。都市・農村問わず人身被害や農作物被害により野生動物との距離の取り方が問われている。

クマの保護や共存

  1. クマにあわないため、山菜採りはほどほどにし、餌となる木の実のあるところへは行かない。頻繁に音を出して歩く。見通しの悪い場所は避け、ジョギングなどは時間帯を選ぶ。家の外に出る時は、クマがいないか確かめ、それを追い払ってから外出する。車庫や小屋には戸を閉め鍵をかける。
  2. クマを引き寄せないため、ゴミや食べ物をどこにでも捨てない。墓の供え物はそのまま置かずに持ち帰る。収穫予定のない柿や栗、ギンナンは撤去する。
  3. クマにあってしまったら、慌てず騒がずゆっくりと後退する。子連れのクマは特に注意する。攻撃が避けられない時は地面に伏せて両手で首の後ろをガードする。
  4. 目撃したら、すぐに役場や警察に連絡する。

クマとの共存にはこのような基本事項の周知徹底が必要で、クマ出没地域の苦悩が見て取れる。特に「攻撃が避けられない時は地面に伏せて両手で首の後ろをガードする」などの最終手段は命を守るためとはいえ怖ろしく、クマをやり過ごすまでの時間が長く感じることだろう。

サルの被害を回避するためサルの嫌いな作物を栽培する

【サルの嫌いな作物一覧】

唐辛子、蒟蒻芋、クワイ、ゴボウ、里芋、ピーマン、春菊、ウコン、葉大根、生姜

このような作物を栽培すると被害に遭いにくいとされ、住民にも周知された。

エゾシカと人間の共存の場所

人間は銃を撃ち、罠を仕掛け、知恵と技術によって、たちどころにシカやイノシシを全滅に追い込むことも可能である。しかしなんとか共存しようと知恵を絞り数百メートルにも及ぶ柵を設け、農地と住居をすっぽり覆ってみたり、対策が続けられてきた。それでも各地でシカによる被害が度々報告され、頭数も増加の傾向にある。狩猟によりジビエ(食用とする野生の鳥獣)とする試みも狩猟免許を持った若者が減り続け、ハンターの高齢化が進んでいる。頭数を許容範囲内に収めつつ保護も行うという微妙なバランスを保ちつつ共存するにはまだまだ人間の知恵が必要だ。

様々な地域の鳥獣害の実態とそれに付随する対策が時系列を追って解説されていて、動物たちとの共存の歴史が学べる書籍でした。都市部に住んでいると目に見えにくい(時折、イノシシやクマによる死傷者のニュースが流れているのを見る程度)鳥獣害。農家や畜産を行って生計を立てている人たちの苦悩が垣間見え、それらを口にする時は有難くいただくという心が必要だと感じた。

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