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「新しい幸福論」小さな幸福を見つけられる世の中を

      2016/11/14

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1980年頃から2005年あたりまで日本の経済成長率は小さいながらもプラスだったが、人々の満足度(幸福度)は低下してきた。そうであるならば、経済成長率を上げるより、国民が心豊かな、幸せを感じられる政策を考える方が重要ではないか。ここ日本でも格差社会がますます深刻化してきている。どのようにすれば経済にダメージを与えずに貧富の差を縮小できるか、そして幸福度を上げることができるかを考える書籍。

プロスポーツ選手のや会社経営者の所得

毎年プロ野球選手になる人の数は70〜80人でそのうちレギュラーポジションを得る人は少数で、年俸が1億円以上に達する人はもっと少数だ。一軍として選手生活を送らずにこの世界を去る人もかなりの数がいて、育成選手だと年収は240万円程度とトップ選手との年収格差は想像を絶するほど大きい。プロ野球選手の年俸の推移を見てみると1980年代のトップ、巨人の王貞治選手の8,170万円、1990年代のクロマティ選手2億9,000万円、2013年の阿部慎之助選手5億7,000万円とこの30年で7倍弱となっている。国民の平均年収の伸び率が、1980年から2010年で年率2〜3%であることから一般よりもべらぼうに高い。

高額所得者という点で見ると会社創業者が成功して自社株などのキャピタルゲインを得るパターンも考えられるが、最近ではグローバル化が進み雇われの経営者でも日産のカルロス・ゴーン氏のように10億弱の役員報酬を得る場合がある。これは株による配当収入が少ないためバランスをとるためだ。なぜこれほどまでに格差が生じるようになったのか。一つにはアメリカの経営者の報酬が高いことが知られるようになり、日本の経営者の報酬が見直されたこと。もう一つは日本の企業においても経営トップの指導力ないし経営方針がその企業の経営業績の向上のため重要だという認識が高まったことなどが挙げられる。

四年制大学進学率

中卒、高校中退を除いた四年制大学進学率は年収200万円未満の家庭では28.2%、600〜800万円で49.4%、1,200万円超で62.8%と高くなっていて、家計収入の多寡が子供の進学率の差に大きな影響力があることは明らかだ。所得格差が直接子供の学力に影響するわけではないが、所得の高い親はなんらかの能力を持っていることが多く、それが子供になんらかの影響を及ぼすことは否定できない。

日本では、なぜ平等が好まれないのか

平等ないし格差との関係で野心や嫉妬心を考えると、平等社会ないし格差のない社会であれば、人びとが嫉妬心を抱く可能性は低くなる。しかし一部の野心のある人は、自分だけ上に立とうとする行動を起こす可能性はある。一方で不平等性が高い、すなわち格差のある社会であれば、劣位にいる人は嫉妬心からよからぬ行動をとるかもしれない。

野心や嫉妬心が良い方向に働き奮起することもあれば、嫉妬心が犯罪行為を助長するケースもある。ある研究によると800万円の年収を越えると幸福度はそれほど比例して上がっていかないというデータもあるので、累進課税でガンガン課税すれば良い。その上で強者は野心のままに振舞えばいい。稼いでいるのに税金が高いと文句を垂れるのは真の強者にあらず。

働くことに意義はない、人はそんなに働かなくてもよい

本当は「働くことは苦しい」「働くのはイヤだ」「働くことに意義はない」と思っているのが大多数ではないかと思うので、皆がそう思う理由を探求することに価値がある。少数派のそう思わない人には、大いに働いてもらえばよいのである。

これは興味深い見解だ。少数派のそうは思わない人とは虚栄心に満ちた人びとであろうか。日本の選択肢は二つアメリカ型の自立か、ドイツ型の福祉国家か。現在日本ではアメリカ型に憧れ自立型へ傾こうとしている感じがする。アメリカ偏向型は日本の治安が悪くなるのを推進するようなものだ。社会保障や福祉をおざなりにすると格差の拡大を招き嫉妬心が渦巻く住み辛い世の中が待っている。日本はどこに向かおうとしているのか、些細な幸福を見つけ日々過ごしていく、過度な嫉妬心を持たずに。全国民がこの幸福を見つけられる世の中の実現を目指して欲しい。

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